1.すぐに失業保険をもらう
自己都合退職すると、失業保険に3ヶ月もの受給制限期間がついてしまいます。
このため、最初の失業保険が振り込まれるのは最初にハローワークに行ってから4ヶ月後という、気の遠くなるような時間がかかります。
4ヶ月というのは、普段ならどうということもない期間ですが、無収入でこの期間を過ごすのは精神的に非常に重い負担になります。
しかし、これには抜け道があります。
自己都合退職した場合であっても、会社都合退職したのと同じように、3ヶ月の給付制限がつかない場合があるのです。
給付制限期間が解除されるという点では、会社都合退職と同じように思えるかも知れません。
しかし、会社都合退職のように、失業保険の給付日数が増えたりはしません。
下記に、「すぐに失業保険をもらう条件」をまとめておきました。
・体調不良、心身の障害、知覚(視力や聴力など)の障害によって、現在の業務をこなせなくなった
・妊娠・出産・育児を理由とした退職(ただし、受給期間延長措置を90日以上受けた場合)
・身内の看病や介護などの必要に迫られ、やむを得ず退職に至った場合
・配偶者や扶養義務がある家族と別居し続けることが困難になる事情があって退職した場合
・結婚により転居し、通勤が困難となった場合
・保育所の利用のため、転居を余儀なくされ、通勤が困難となった場合
上記のような理由があれば、3ヶ月の給付制限期間を解除できます。
しかし、これも「窓口で言うだけ」では認められないことが多いのが現実です。
転勤であれば辞令など、自分の主張を裏付ける証拠を用意しておくべきです。
退職前から準備をしておいた方が、すぐに失業保険をもらえる確率はグンと上がります。
2.職業訓練ですぐに失業保険をもらう
「職業訓練を受講すれば、3ヶ月の給付制限が解除される」
「だから、すぐに失業保険をもらえる」
このことを知っている人はずいぶんと増えました。
しかし、もくろみ通りに行っている人は、実は非常に少ないのが現実です。
なぜかというと理由は単純で、「職業訓練に申し込んでから、実際に訓練が開始されるまでに、かなりのタイムラグがあるから」です。
どの職業訓練を受講するかを吟味して申し込み、選考試験を受けて合格通知を受け取り、受講が実際に始まるまでは、少なく見積もっても2ヶ月。
通常は3ヶ月は見ておいた方がよいでしょう。
つまり、これは受給制限期間と同じだけの時間を無収入で過ごさなければならないということです。
これでは、「3ヶ月の受給制限期間が解除される」という職業訓練の大きなメリットを受けることはできません。
どうせ、誰も利用できないから、虫のいいメリットをつけているだけなのでしょうか?
いえ。これを回避する単純な方法があります。
それは、「退職前に職業訓練の選考試験を受けておき、合格通知を受け取ってから退職してしまう」ことです。
実は、職業訓練は、「訓練がスタートする日までに退職することが確実」な場合は、在職中であっても選考試験を受けることができます。
この方法をとると、それこそ退職後、即失業保険の受給をスタートさせることが可能になるのです。
といっても、この方法は少しでもスケジュールが狂うと「訓練開始日に、まだ求職手続きが終わらない」という悲惨なことになりがちです。
いい加減な会社だと、「退職後10日以内に送ってくる」はずの離職票がいつまでたっても届かず、ハローワークでの求職手続きに行けないといった事態になることが多いからです。
このように、ギリギリで見切ろうとするとわずかなアクシデントで計画全部が台無しになります。
2週間程度は、余裕をもっておいた方が安全ですし、精神衛生上もよいでしょう。
3.給付制限期間のアルバイト
失業保険の受給がスタートしてからアルバイトをすることは、正式に認められている、というお話はすでにしました。
ハローワークへ申告することと、雇用保険への加入義務が発生しない程度の労働時間や期間におさえることがその条件でした。
一方、失業保険の支給開始前、3ヶ月の受給制限期間中のアルバイトはどのような扱いになるのでしょうか。
こちらは、失業保険をもらっている期間よりも、制限がゆるくなっています。
失業保険の支給が始まる前に終了するような短期アルバイトの場合、いくらやっても何らおとがめなし、というハローワークが多いのです。
あまりおおっぴらには言えませんが、雇用保険への加入義務が生じる条件のひとつ「31日以上の雇用契約見込み」ですが、2,3ヶ月程度の短期アルバイトの場合、守っていない会社が多いのです。
このため、雇用保険に加入することなく、3ヶ月の受給制限期間を切り抜けることはさほど難しくない状況になっています。
といっても、例え受給制限期間中とはいえ、アルバイトを行う場合はハローワークに申告しておく義務があります。
「どうせ1円ももらっていない期間なんだから、関係ないだろう」
と考えて黙ってアルバイトしていると、いきなり別室に連れて行かれてきついお説教をされる可能性がありますので要注意です。
また、求職申し込み後、待機期間の7日間ですが、この期間にアルバイトをすることは認められていません。
詳しく言うと、アルバイトをしたからといって怒らることはないのですが、「失業の状態ではなかった」として、待機期間が1日目から再カウントになってしまうのです。
なお、ハローワークによっては「アルバイトは月●日まで」と規制しているところもあります。
受給制限期間中にアルバイトをしたい場合は、ハローワークに事前に確認しておくのが一番安全な方法です。
4.まとめ
・自分の都合で退職しても、すぐに失業保険がもらえるケースがある。しかし、給付日数は増えない。
・職業訓練校に行けば、開講日から終了日まで失業保険が支給される
・3ヶ月失業保険がもらえない、いわゆる給付制限期間中のアルバイトは自由。
・しかし、労働時間が多いと雇用保険への加入義務が発生し、その時点で再就職とみなされるので注意する。