■第151回 だまして違う仕事につかせる
宮城県内の運転手の仕事
だと言われて応募したら、
福島原発に連れて行かれた・・・
という報道がありました。
だまして、
募集内容とは違う仕事に就かせた
ことになります。
こうしたやり口は当然、違法です。
しかし、少し頭が回る業者だと、
巧みに違法性を回避してきます。
・募集要項と違っても、
契約前にちゃんと説明した
・募集要項と違う仕事であること
応募した人が納得して契約した
という場合は
違法にならないからです。
今回のケースでいえば、
下の条件を満たしていれば
違法ではありませんでした。
・面接のときに
「宮城の仕事ではなくて
福島原発の仕事です」
と説明した
・応募した人が
「それでもいいです」
と納得して雇用契約を結んだ
ここを巧みに
すり抜けようと思えば、
以下のような方法が考えられます。
・契約前に東北まで
連れて行ってしまう
・帰りにくくしておいて、
募集要項と違う契約を迫る
これは、数年前に本当に使われていた手口で社会問題化しました。
当時、安い労働力の確保に
悩んでいた各派遣会社が
編み出した方法です。
好条件を提示して人を募集、
簡単には逃げられないところに
連れてきてから、
派遣会社にとっての「本命業務」
に契約させようとしてきます。
今でもこの手口を使っている業者はあると思われます。
契約前になぜか遠いところに
連れて行かれそうになったら、
いったん警戒するべきでしょう。
■ 編集後記
なし崩し的に、
募集内容とは違う仕事
に就かせよとする会社は
結構な割合で存在します。
そういった会社は
敬遠するのが一番です。
「騙してでも目的を達成する」
姿勢が身についている会社に
入ってもロクなことになりません。
■ 第152回 会社を辞めたら損害賠償2,000万円
会社を辞めると言ったら、
「損害賠償請求するぞ」
と会社から脅されたという話を
たまに聞きます。
こういった話は、
ただの脅しであることが
多いのですが、
なんと本当に
2,000万円の損害賠償請求を
起こされた人がいます。
この人は、過労死寸前まで
働かされたため、
たまらず会社に
退職を申し出ました。
すると会社から
「辞めたら損害賠償してもらう」
と脅され、
退職後に本当に
2,000万円の損害賠償請求を
起こされたのです。
通常、こうした請求は
全く理屈が通らず
勝算がありません。
このため、会社のいう
「損害賠償請求するぞ」
は実行に移されることは
まずないのです。
弁護士に頼んでも、
「勝ち目はないですよ」
と体よく追い返されるケースです。
実際に会社を辞めた際に損害賠償
請求が認められないケースが
全くないわけではありません。
しかしそれは、
無断欠勤したり
引き継ぎ資料をわざと廃棄したなど、
よっぽど非常識なマネをした場合
ぐらいです。
その場合でも
実際に会社が損害を被った額以上は
請求できませんから、
どう考えても2,000万円という
請求額はムチャクチャです。
会社から
「辞めたら損害賠償するぞ」
と脅されても、まったく臆する必
はないのです。
■ 編集後記
こんな無茶な訴訟を引き受ける
弁護士などいないだろうから、
会社が本人訴訟を
起こしたのだろうな・・・
と私は思っていました。
本人訴訟とは、
弁護士に依頼せず、
裁判業務を行うことです、
日本ではこの本人訴訟の割合が
年々増えていて、
弁護士などの収入低下の
一案になっていると
言われています。
そのため、
何の仕事にでも飛びつく弁護士が…
そう、この事件、
どうやら会社側にも
弁護士がついているようで
びっくりしました。
依頼者さえいれば、
何でもありなのでしょうか。
確かに、相談段階で
「勝ち目ないから無理ですよ」
で終わらせてしまうよりも、
実際に訴訟を走らせた方が、
実入りは良くなります。
しかしそれは、
依頼を受ける弁護士の実入り。
訴えられた人も訴えた会社も、
こんな茶番に付き合わされる
裁判所も、
誰一人得していません。