グッドウィルに見る謎の天引き金 失業保険.comメルマガ

■第49回 グッドウィルに見る謎の天引き金

コムスンの件が

連日報道されています。

 

介護保険の虚偽請求が明るみになり、

撤退を余儀なくされています。

 

バッシングの常ですが、

親会社のグッドウィルも

やり玉にあげられています。

 

その中のひとつに、

「データ装備費」なる費用がありました。

よく分からないお金が天引きされている
よく分からないお金が天引きされている

1日200円とはいえ、

20日働けば1ヶ月で4,000円!

もの減額になります。

 

会社は、「任意だ」といっていたそうですが、

拒否すれば仕事を回さないなど、

無言のプレッシャーをかけていたという証言が

多く寄せられています。

 

さて、あなたがお勤めの会社には、

こういった不思議な天引き金は

ないでしょうか。

 

ワンマン社長の会社に勤めていると、

割とあるようです。

 

このような

根拠がよく分からない天引き金

は有効なのでしょうか?

 

結論から言うと、アウトです。

 

労働法では、

給与は全額現金払いが

原則になっています。

 

税金や保険料以外を差し引くには、

労働組合などとの労使協定が

必要になります。

(労働基準法第24条)

 

グッドウィルはやっぱりというか、

何の労使協定も

結んではいなかったそうです。

 

しかも「要求があれば返金する」といい、

舌の根も乾かぬ内に

「会社としての正式発表ではない」

「だから返金には応じない」

といってさらなる反感を買っています。

 

このデータ整備費も、

コムスンの件があったから

問題が表に出ただけです。

 

世の中には表に出ない

「怪しい天引き金」

がたくさん存在しています。

怪しい社長と怪しい天引き金
怪しい社長と怪しい天引き金

在籍中に刃向かったら

「もう来るな」で終わりでしょうが、

給与明細を取っておけば、

辞めてから請求することも

比較的容易です。

 

「積立金」として、

退職後に遠慮なく請求しましょう。


関連記事:

会社に損害を与えたら全額弁償か?

会社に損害を与えたら、保証人に請求がいくのか? 


2.Q&A

Q.仕事で、

会社に損害を与えてしまいました。

 

上司からは、

会社に損害を賠償しろと言われています。

 

結局、支払いは次の給料から12万円を

引かれるということにされました。

 

しかし、さすがに12万円もの金額を

一度に給料から引かれてしまうと、

私としても生活に困ります。

 

友人に言ったら、

「賃金は全額現金払いしなければならない」

から、この天引きは違法だと言われました。

 

しかし、ネットで詳しく調べると

「天引きは、労使協定であらかじめ決めてあれば可能」

とも書いてあるのを見つけました。

 

会社が労使協定を結んでいるかどうかは不明ですが、

もしやっていればこの天引きは合法ですか?

 

調べるうちに、何が正しいのか分からなくなってきました。

知恵を貸してください。

 

A.結論からいきましょう。

 

会社の行為は

「労働基準法違反だらけ」

です。

 

当然、この天引きも違法です。

 

まず、労働基準法では、

賃金は全額を現金払いする、

ことが定められています。

 

「全額」というのは、

税金や社会保険料以外は、

全額、労働者に渡しなさい、

という意味です。

 

そして、

例外的に天引きが許可されるのが、

「労使協定であらかじめ決められたお金」

です。

 

ここだけ見ると、

今回の天引きも合法に思えそうです。

しかし、全くそうではありません。

 

「労使協定であらかじめ決められたお金」

の天引きが認められているといっても、

それはあくまで

「あらかじめ決められた金額」

についてだけ認められるのです。

 

損害に対する賠償金というのは、

まさにケースバイケースです。

 

賠償金の金額をあらかじめ想定して、

定額を設定しておく、

などということが不可能な以上、

賠償金を天引きすることは

労働基準法違反なのです。

 

ちなみに

『労働基準法24条違反』

に該当します。

 

よって、

今回の天引きは根拠がありません。

なかなか言いづらい
こちらが正しくても、上司にはなかなか言いづらい

上司にはなかなか言いにくいのが

現実ですが、

こちらの言い分が正しいのですから、

言い方は柔らかく、

しかし主張ははっきりと・・・

という方針で交渉してみましょう。

 

もし、それでクビにされるようなら

退職後に労働基準監督署に告発して、

報復してしまいましょう。

 

違法の証拠は

大量に手元に集まるのですから、

こちらの勝ちは動きません。

 

少し脱線して、

「賃金は全額を現金払いする」

の「現金払い」の部分について

補足しておきます。

 

「振り込みだから現金払いじゃないぞ」

と疑問に思われる方もおられるでしょうが、

振り込みでも現金払い扱いです。

 

要するに、現金以外のもの、

例えば自社商品を給付して

「これで給料5万円分ね」

というのが禁止という意味です。