1.ハローワークの求人はブラック企業しかないのか
退職後の職探しは、ほとんどの場合、ハローワークが出発点になります。
失業保険をもらう手続きのために、まずはハローワークに出向かなくてはならないからです。
しかし、ハローワークの機能はそれだけではありません。
ハローワークの本来の役割は失業者の再就職支援ですから、当然仕事を探すことも可能です。
「ハローワークにある求人情報なんか、ブラック企業ばかりだ」という話をよく耳にしますが、それは正しくありません。
求人情報を一定期間観察していると実感できますが、ハローワークにも、まともな求人は出ています。
しかし、そういった企業の求人はやはりすぐに応募者が多数になってしまい、検索結果などから消えていきます。
ずっと残る求人というのは、どういう求人でしょうか?
それが、「離職率が高く、年中人手不足に陥っている会社」「人を雇う気がほとんどなく、いい人がいたら雇ってもいい、程度に考えている企業」です。
これらの会社の求人情報は延々と残り続けますから、結果的には「ハローワークにある求人情報には、ロクなものがない」という印象が強くなってしまうのです。
しかし、ハローワークも再就職した人がまたすぐに失業して戻ってくることはもちろん歓迎しません。
このため、就職することを勧められない企業については、相談するとそれとなく教えてくれることが多いです。
勘が良い人は気付いたと思いますが、職業相談の窓口をうまく利用すれば、ブラック企業を避けてそれなりの企業に絞り込むことも可能になります。
こうした一工夫でハローワークの求人情報も使えるものになるのです。
しかし、こうした一手間が面倒と感じるのであれば、本気で求人している会社だけが集まる民間の転職メディアの方がよいでしょう。
2.ハローワークで見つけた求人に応募
ここでは、ハローワークの求人に応募するときの流れを説明します。
まず、ハローワークの求人に応募するには、求職申込みを済ませていることが前提となります。
といっても、ほとんどの人は気にしなくて大丈夫です。
なぜなら、失業保険をもらう手続きが終了していれば、同時に求職申込書も提出済みとなっているからです。
別途手続きが必要となるのは、まだ会社を辞めていない時期からハローワークの求人に応募したいといった場合に限ります。
さて、求人情報を検索していき、希望の求人が見つかったとしましょう。
ハローワークの情報端末に表示されるデータは、あくまで一部で、より詳しいデータが蓄積されている場合があります。
もっと詳しく知りたい場合は、職員に情報開示をお願いしましょう。
さて、応募する企業が決定したら窓ロで紹介依頼をかけます。
紹介依頼をかけると、職員が企業に連絡をとってくれます。
ここが、第一接触ポイントです。
といっても、この段階ではあなたは電話に出る必要はありません。
連絡が終わると、窓口職員の人が「紹介状」を発行してくれます。
これで準備は完了です。
なお、年齢や経験など、応募条件を自分が満たさない場合でも、あきらめるのは早いです。
求人票にある条件はあくまで目安ですから、満たしていなくても面接を受けられることは案外多いものです。
窓口で相談すれば、職員が面接を受けられるよう、会社に推してくれることも多いのです。
繰り返しになりますが、ハローワークとしては一刻も早く再就職して欲しいので、そのための協力に限って言えば、けっこう親切に対応してくれます。
3.人材派遣業
就職先を探すことができるのは、ハローワークのような公共機関だけではありません。
民間でも就職先の紹介や人材の派遣は盛んに行われています。
むしろ、無料で求人情報を掲載できるハローワークよりも、掲載に費用がかかる民間企業の方が「本気で求人したい」会社の割合は多いでしょう。
さて、民間の就職先を紹介する会社としてすぐに頭に浮かぶのが人材派遣業でしょう。
これは、労働者派遣法という法律に基づいて、厚生労働大臣から認可を受けた会社だけに認められている業務で、労働者を他社に派遣する一連の業務を取り扱っています。
派遣社員というと聞きなれた言葉ですが、その就労形態を正確に把握している人は意外と少ないです。
派遣「元」会社が、直接雇用する社員を、派遣「先」会社に派遣して、派遣「先」の仕事を遂行するという形態で働いているのが派遣社員であり、これらの条件を満たしていない場合は派遣法違反となります。
派遣社員として働いている人でも誤解していることがあるのですが、派遣社員の雇い主は人材派遣会社です。
つまり、給料も人材派遣会社から出ますし、加入する健康保険や年金もその会社の制度に加入します。
福利厚生なども人材派遣会社のものを利用することになります。
たまに、派遣先の企業で「社員食堂が利用できない、ひどい差別だ」「社員食堂を利用すると、自分たちだけ値段が高い」といった不満の声を聞きます。
しかし、これは労働者派遣の仕組みから考えると当たり前の扱いで、感情的には理解できますが、不満を言うのはお門違いといえます。
会社の福利厚生は、その会社の社員のために用意したものですから、派遣「元」会社からきている別会社の社員に提供する義務はないからです。
4.まとめ
・ハローワークにもまともな求人はある。しかし、そういう求人はすぐに応募者が集まってしまうため、目につく機会は少ない。いつも目に付くのは、離職者が多いか、実は採用する気がない企業、という傾向は確かにある。
・すぐに人が辞めてしまうような会社はハローワークも警戒していて、そこを受けたいと希望するとそれとなく教えてくれる。また戻ってこられるのは、ハローワークも嫌だから。
・ハローワークの端末で応募したい仕事を見つけたら、まず職員に連絡を頼む。募集要件に満たなくても、面接してもらえることは多い。
・派遣社員の雇い主は、あくまで派遣会社。勤務先の会社とは雇用関係がないため、福利厚生が受けられないのは仕方ないと考える。