■第84回 会社が倒産。未払い賃金は?
お勤めの会社が倒産した場合、
まだもらっていない給与は
どうなるのでしょうか?
従業員の給与は、
他の一般債権者よりも
優先して支払われることになっています。
「銀行への返済や
仕入れ業者への支払いよりも、
従業員への支払いを先にすべし」
と法律が認めているのです。
蛇足ですが、こういうことがあるので、
銀行は土地建物を担保に取りたがります。
しかし給与が優先して支払われるといっても、
倒産するような会社ですから、
会社の口座には未払い給与分のお金すら
残っていないことが多々あります。
悪質な会社だと、
「経営者が事前にお金を抜き出している」
ことも珍しくありません。
このような場合、
どうすればいいのでしょうか。
「会社の財産をすべて換金した後、
その中から払ってもらってください」
以上です。
といっても会社の倒産ともなれば、
破産管財人を選んで
会社の資産・負債を計算して・・・
と、時間がかかるのが常です。
それまで給料がもらえないとなれば、
貯金が少ない人の生活は破綻します。
そこで、給与の8割を
立て替え払いしてもらえる制度があります。
上限額がありますので
高給取りの人の場合は8割になりませんが、
それでもないよりははるかにマシです。
支払ってくれるのは
「独立行政法人 労働者健康福祉機構」
になります。
しかし、申請書類は
労働基準監督署に置いてあります。
ややこしいですね。
実は、手続きもややこしいです。
ただ、こういった救済制度を知らずに
「倒産→結局ただ働き」
の憂き目を見た人は大勢おられます。
ひとつの防衛策として、
頭の片隅にでも置いていてください。
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■ 編集後記
立て替え払いをした後は、
「労働者健康福祉機構」
が会社に未払い給与を
請求していくことになります。
しかし当然のことですが、
倒産した会社にはお金がありません。
どれだけ回収できているかは、
簡単に予想がつきます。
穴埋めは税金で・・・
ということになるのでしょうが、
まだマシな使われ方ではないかと思います。
2.Q&A
Q.社長から、「お前は見込みがない」
と言われ、会社をクビになりました。
私としても、
自分に合う仕事でないと感じていたので、
それは受け入れたいと思います。
しかし、クビ宣告と同時に
「役に立っていなかったんだから、
今月分の給料はなしだ」
と言い渡されたことには
どうしても納得いきません。
会社に貢献していたかどうか?
で言われると、
確かに
「給料分ほどは貢献できていない」
ことは自分でも認めざるを得ません。
しかし、
会社に時間を拘束されていることは事実で、
給料なし、はおかしな話だと思います。
あきらめるしかないのでしょうか?
A.結論は簡単で、
「給料は、働いた日分、満額もらえる」
です。
もらえなかったら、
会社は労働基準法違反です。
あまりにも分かりやすい
労働基準法違反ですから、
外部に話が出たら、
困るのは会社の側になります。
しかし、
社長の口ぶりから推測すると、
そういった基礎的な
労働基準法も理解していないと
思われます。
よって、
会社に「労働基準法違反ですよ」
と言っても
「それがどうした」
「労基でも何でも連れてこい」
といった理不尽な回答が帰ってくるのが
関の山です。
残念ですが、
社長といっても頭が悪い人や、
社会的な常識に欠けた人は
いくらでもいます。
そういう人に直接交渉しても、
効果がないばかりではなく
不快な思いしか残りません。
よって、
会社を辞めた後に
労働基準監督署に告発、
というのが現実的な対処法になります。
労基はなかなか腰が重いお役所ですが、
給与未払いは重大な労働基準法違反です。
さすがに、
全く動かない、ということは考えにくいです。