1.会社役員は、失業保険はもらえるのか?
会社役員は、
失業保険をもらえるのでしょうか?
これは、実際に役員として勤務されている方自身
でもよく把握していないことがあります。
答からいいますと、
役員は基本的に
失業保険をもらうことはできません。
理由ですが、
役員というのは経営者側に立つ人間だからです。
失業保険というのは、
あくまで労働者が次の仕事を見つけるまでに
再就職活動に専念できるように
支給される金銭です。
このため、経営側である役員は、
失業保険の支給対象外となっているのです。
実際、役員は雇用保険料を払っていません。
払っていない以上、
失業保険の支給対象からも外れるのです。
ただ、これには例外があって、
「従業員的な性質をもつ役員」
にあたる場合は雇用保険にも入れますし、
失業保険ももらえます。
従業員的な性質をもつ役員というのは
訳が分からない表現ですが、要は
「肩書きは役員とついていても、
扱いは従業員に近い」
といったケースです。
役員というのは本来、
仕事に対して広い裁量が認められています。
仕事の段取りを自由に決められたり、
休む日を自由に決められたり、
正社員の採用権限があったりです。
しかし、世の中には役員といっても
そこまで強い権限を持たされている人
ばかりではありません。
むしろ、肩書きだけで
実際は
「従業員と何らか変わらない程度の権限」
しか持たされていないことも少なくありません。
こうした場合は、
会社を辞めた場合も
失業保険をもらうことができます。
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2.会社のインチキ役員認定
どんどん社員を役員にしてしまう会社があります。
役員になれた、
というと一見嬉しいことなのですが、
実際な会社の都合がいいようにされる
ことも珍しくありません。
例えば、役員にする目的が
「会社の借金を連帯保証させる」
ことだったりします。
役員が会社の借金を連帯保証することは、
特に問題ありません。
しかし、それはあくまで
「それだけのリスクを背負う待遇を得ている場合」
に限ります。
しかし、実際に与える権限は役職者程度で、
経営リスクの一部を背負わされている役員、
というのもかなりの数存在します。
これは、もともと社長が
連帯保証させることを目的に
役員に就任させたからです。
「そんなの、ムチャクチャじゃないですか」
と感じる方も多いと思います。
しかし、会社というのは私物化しようと思えば
いくらでも私物化できてしまいます。
このため、このような道理が通らないマネを
日常的にしていても、
問題がよほど大きくならない限り
表沙汰にならないのです。
もちろん、社内統治がしっかりしている企業
ではこのようなことは滅多に起こりません。
しかし、日本の企業の9割以上は中小企業です。
そこでは、法律など二の次の
「独裁政治」
が行われていることが珍しくありません。
似たような事例に、役職者への昇進があります。
なぜかどんどん係長に昇進する企業がありますが、
これも狙いは「残業代の抑制」です。
当然のことですが、
管理職に見合う権限も待遇もありません。
一時期大きな問題になった
「名ばかり管理職」
がこれに該当します。
役職がついたら残業代が出ない、
という「勘違い」をしている人は
2016年になって今でも大勢おられますし、
そこにつけこむ経営者も未だにいます。
名ばかり管理職の裁判では、
会社の主張する理屈は
ことごとく否定されました。
簡単にいうと、
肩書きだけ管理職にしても、
それに見合う権限・待遇
を与えていなければ、
「労働基準法上の」管理職
とは認められませんよ、
ということです。