1.個人情報書類別人に 下関職安が誤って交付
山口のハローワークで、
離職票の写しを他人に
誤って送付してしまうという事件がありました。
実はこの手の「誤送付」は
ハローワークの典型的なミスで、
年間数件は報道されます。
個人情報保護に神経質になっている企業も多い中、
どうしていつまでたっても改善されないのか
不思議でたまりません。
こういう誤送付が起きると、いつも出てくるコメントは
「再発防止に努めたい」なのですが、
その割にはいつまでたっても繰り返し起きています。
ところで、個人情報保護法は
「自治体には適用されない」
ことは意外と知られていません。
つまり、自治体に個人情報を漏洩されたとしても、
個人情報保護法違反を根拠とした責任は追及できません。
非常におかしな話だと感じるのは私でけでしょうか?
以下、読売新聞からの引用記事です。
■ 個人情報書類別人に 下関職安が誤って交付
山口労働局は2日、
下関公共職業安定所(下関市)が、
失業者の氏名、住所、離職した事業所などの
個人情報が記載された雇用保険被保険者離職票の写しを、
別の失業者に誤って交付したと発表した。
同職安は写しを回収し、2人に謝罪したという。
山口労働局によると、
同職安で4月5日、
失業者の女性が雇用保険の受給手続きをした際、
窓口の職員が本人確認をしないまま、
手元にあった別の女性の離職票をコピーして交付した。
同日、写しをもらった女性が
誤りに気付いて連絡し、発覚した。
山口労働局は県内九つの公共職業安定所に
個人情報の管理徹底を文書で指示。
事案の発生から
約1か月後の発表となった理由については
「公表について、厚生労働省との間で
協議に時間がかかった」
と釈明している。
ハローワークの誤交付関連のニュースは、
下記でもお読みいただけます。
しょっちゅう、起きていますね・・・
2.わけが分からない個人情報保護法の成り立ち
1.でも少し触れたのですが、
そもそも個人情報保護法は、
お役所には適用されません。
もちろん、
実際に個人情報が漏洩した場合、
被害者に対して謝罪などは行っています。
しかし、
・ミスをした担当者に何らかの処分がある
・被害者に賠償がある
といったことは法律上、ありません。
法律上、と書いたのは、
組織内で担当者に減給などの
処分がある可能性は
ゼロではないからです。
しかし、それはあくまで自主的な反省。
例えば被害者の方から処分を求めたくても、
個人情報をもらした組織は
それに応じる義務はありません。
民間が同じことをしたら
「個人情報保護法違反」
として法律で取り締まられるのとは
対照的です。
さて、この個人情報保護法、
もともとはお役所に適用される法律として
提案されました。
役所に集まる個人情報の量と質は、
民間企業の比ではありません。
また、マイナンバーの稼働などもあり、
あらゆるデータを個人と結びつけやすくなっています。
そうした時代を見据えて提案された
個人情報保護法だったのです。
しかし、できあがってみれば、
なぜか民間企業にだけ適用。
お役所は適用外となったのです。
これは、
「自治体に適用すると、大きな責任が発生するから」
という懸念があったからだ、と述べる人もいますが、
真相は分かりません。
単に、法律を作る側=法律を適用される側
ですから、
「自分たちにとってだけ」
甘い内容に変更されただけ、
という可能性が高いと、私は考えています。
もう、最初の主旨はどこかに行っているのですね。
結果として、
ハローワークが個人情報漏洩を繰り返しても、
何の処分もなし。
上位のお役所である労働省から
指導書が出て終わり、
という状況は長年変わっていません。
これでは、ミスが減るはずもありません。
本当に、ワケが分からない状態になっています。