労働基準監督署へ駆け込むときに用意しておくもの ほか 失業保険.comメルマガ

■ 第13回 労働基準監督署へ駆け込むときに用意しておくもの

前回まで、

会社は辞める人間には

有給を取ってもらいたくない、

という話をしました。


前回記事:

有給消化のタイミング


 

こういう場合は、

労働基準監督署へ

駆け込むのが一番です。

 

しかし、頭に血が上った状態で

駆け込んでも相手にされません。

 

労働基準監督署を動かすには、

職員を納得させるだけの証拠が要ります。

 

具体的には、給与明細です。

給与明細を無くした
給与明細が1ヶ月分、見当たらない・・・

多くの会社では、給与明細に

有給の残日数が書かれています。

 

さらに、タイムカードのコピーと

辞表のコピーを持っていく。

 

全部照らし合わせると何が分かるでしょうか?

 

●給与明細で、

有給の残日数が分かります。

 

●タイムカードのコピーで、

出勤の事実が分かります。

 

●辞表のコピーで、

退職日が分かります。

 

つまり、退職前に有給を消化できず、

出勤しているという証明ができます。

 

前回も書きましたが、

労働基準監督署の職員は

具体的な証拠を提示しないと

動いてくれません。

 

上の証拠は一例です。

 

これを用意しなければならない、

なんて決まりはありません。

 

要は、

「相手を納得させられるかどうか?」

だけが重要になります。

 

私が以前に勤務していた会社も、

退職者がよく労働基準監督署に

駆け込んでいました。

 

早い話が、今でいう

ブラック企業だったわけです。

 

しかし、たいていの場合は

相手にもされていませんでした。

 

感情的になってどなり込んでも、

労働基準監督署は絶対に動きません。

 

行政を動かすには、

「言ったもん勝ち」の発想は致命傷になります。

 

自分の主張を裏付ける客観的な資料を

用意してから仕掛けるべきです。

 

ところで、

こんな方もいらっしゃるかも知れません↓
「でも、有給を取っていたら

引き継ぎが間に合わない・・・」

引き継ぎしたら有給休暇は
後任者と引き継ぎ。本当なら、もう有給休暇の消化に入っていたはずだけど。

次回は、そういった場合でも

「有給を放り出さずにすむ交渉術」

を紹介していきます。

 

このまま、下の記事に進んで下さい。

 

■ 第14回 引継ぎをしていたら有給が消化できない場合

 

前回まで、

退職前に残った有給を

一気に消化するのは正当な権利である

と述べました。

 

また、会社が難癖をつけてきた場合の

対処法についても触れました。

 

ですが、中にはどうやっても

有給を消化しきれない方もいるでしょう。

 

引継ぎに時間がかかる業務を担当していた場合、

なし崩し的に出社し続けることになります。

 

その場合、有給はとれず、

丸損になるのでしょうか。

 

いえ、あきらめるのはまだ早いです。

 

有給を買い取ってもらう、

という方法があります。

 

通常は禁止されているのですが、

退職直前に限り、

有給休暇を買い上げてもらうことが

認められています。

 

しかし、有給の買い上げは

会社に課された義務・・・

というほどの強制力はありません。

 

ですから、会社に「依頼」はできても、

強要することはできません。

有給買取
このようにすごんでも、有給買取を会社に強要することはできません

引継ぎを急いでやると

いかに会社に不利益があるかを

冷静に交渉しましょう。

 

「引継ぎは社員の義務だ」

と言われるでしょうが、

「社員が希望した場合は

有給を消化させることは会社の義務」

でもあります。

 

拒否されたら、

仕事の手順をメモ書きして後任者に渡し、

とっとと有給消化に入ってしまいましょう。

 

会社の思惑とおり有給を放棄すれば

大損失になります。

 

有給休暇が法律で貯められる上限の

40日残っていたとして・・・

 

日給が1万円なら、

40万円の損です。

 

この金額を、軽々しく捨てる人は、

生活に困ったことが一切ない人でしょう。

 

このご時世、そんな人は滅多にいません。

 

 

とっとと有給休暇の消化に入った場合、

悪口くらいは言われるでしょうが、

気にする必要はありません。

 

道徳的には

確かに褒められることではありませんが、

それは会社も同じで、ひと言でいえば

「お互い様」ですから。

 

ただ、

同じ土地で同じ業種

に転職しようという場合は

少し考えた方が良いでしょう。

 

社長同士が知り合いだったりして、

後々の再就職が不利になることがあります。

 

本来、社員の個人情報を外部に漏らすことは

個人情報保護法違反になる恐れがあります。

 

しかし、裏ではこうしたやりとり、

親しい会社の間では

日常的に行われているのが現実です。

 

会社同士に関わり合いがなければ、

こういうことも起きにくいのですが、

狭い業界で働いていると、

転職先にブロックをかけられる恐れがあります。

 

会社とコトを構える際は、

こうしたことまで考慮したいところです。