厚生年金の対象者が、パート年収65万円以上に拡大

1.厚生年金の対象者が、パート年収65万円以上に拡大

政府は2月9日、

パート・アルバイトの健康保険/厚生年金

への加入対象を拡大する方向で

調整に入りました。

扶養
扶養から外される・・・?

以下の条件を満たす場合、

パートやアルバイトであっても

健康保険や厚生年金に加入することになります。

・勤務期間6ヶ月以上

・年収65万円

 

ちなみに、

学生はこれらの条件を満たしていても

厚生年金加入の対象外となります。

 

政府試算では、

加入対象者は

新たに300万人増加するとのことです。

 

現時点では、

平成27年度からの実施を目指しています。

(その頃、民主党政権が続いているかというと・・・極めて疑問ではありますが)

 

なお、

「いきなり300万人の対象者増は混乱を招く」

として、政府は

1.従業員301人以上の企業

2.従業員101人以上の企業

と段階的に適用していく意向を示しています。

 

具体的なメリット・デメリットを

見てみましょう。

 

メリットとしては、

パート・アルバイトの非正規雇用者でも

社会保険に加入できる点です。

 

給料が高くない場合、

国民年金や国民健康保険よりは

負担が少ないことがほとんどです。

 

デメリットとしては、

扶養に入る条件が

今よりはるかに厳しくなる点です。

 

国としては、

年金保険料を支払わずに

年金を受給する層を消滅させたいのでは?

と思えるほどの締め付けが実現することになります。

扶養
悪い役人「扶養に入る対象を減らしてやるぜ」

また、企業側の負担も大きくなります。

健康保険や厚生年金は、

企業の負担分があるからです。

 

学生は対象外となっていることから、

好んで学生アルバイトを優先採用する企業も出てくるでしょう。

 

主婦やアルバイトで生活している人にとっては、

「採用されるかどうかの選考段階で、学生より不利になる」

という問題点が出てくることになります。

どうも

「社会保険を手厚くしたら、

企業がその対象者の採用を控えるようになった」

という結果になる匂いがプンプンします。

現在の

「正社員の解雇規制を厳しくしたら、

企業が正社員を雇わなくなった」

と同じ論法に陥っているような気がしてなりません。


厚生年金の対象者拡大については、

続報があります。

厚生年金:非正規労働者へ適用拡大、経済界反発で慎重論

をご覧ください。


 

2.アルバイト・パートでも失業保険はもらえるの?

「アルバイトなのですが、

失業保険はもらえますか?」

これも、疑問に思われる方が多い点です。

 

答えは、「失業保険は、もらえます」

「アルバイトとかパートとか、

正社員とか派遣社員とか契約社員とかは関係ありません」

 

違う表現をすると、

契約形態によって

失業保険がもらえる・もらえない

の別が出ることはありません。

 

失業保険をもらえるかどうかの判定基準は

ただひとつで

「決まった期間、雇用保険に加入していたかどうか」

だけです。

 

ですので、

問題にするのはアルバイト・パートか正社員か

といったことではなく、

「雇用保険の加入期間を満たして働いているか」

になります。

 

しかし、実際は雇用保険の加入条件を満たしているのに

雇用保険に加入させてもらっていない

アルバイトの人が大勢おられます。

 

雇う側も、何の根拠もなく

「アルバイトだから、雇用保険には加入させなくてよい」

と思い込んでいる場合は多いです。

 

この場合は、

こっそり労働基準監督署に通報するなどして

是正勧告を出してもらうのがお勧めです。

 

あまり法律を守っていない企業というのは、

社長が「俺の言葉が法律」

といった精神構造をしていることが多く、

正面から法律違反を指摘すると

逆に会社から放逐されたりします。

 

まともにぶつかるのは避けた方が安全でしょう。

 

話を戻しますが、

アルバイト・パートだからといって、

即失業保険の受給資格がない、

というのは完全な思い違いです。

 

これを信じて、

もらえるはずのお金をもらえていない人はかなり多いです。

 

当ブログを読まれたあなたは

このような思い込みで損をしないでいただきたいと思います。

学生雇用保険
学生は雇用保険に原則加入しません

あ、ちなみに

学生アルバイト(夜間校の学生除く)の場合は、

仮に雇用保険への加入条件を満たしていたとしても、

雇用保険に加入させる必要はありません。

 

学生は、学業が本業であって

失業したからといって

失業保険を支給しなくても生活に困らないだろう、

というのが法律の考えのようです。