厚生年金:適用拡大「従業員501人以上、週20時間以上」 目標遠く 企業へ配慮の議員が抵抗
社会保障と税の一体化政策の一環として
重要な意味をもっていた
パートなど非正規雇用者の
厚生年金・健康保険加入ですが、
ひとまず決着がついたようです。
今回の決着に至る経緯は、過去の記事
パートが健康保険組合に加入すると、企業は5,400億円損をする
をご確認ください。
当初の370万人以上の適用から、45万人の適用と、
適用範囲が大幅に縮小されることになりました。
これは、勤めている会社の規模を従業員501人以上と限定したためです。
中小企業に勤めているアルバイト・パートの方は、
今回の改正案の影響は受けないことになります。
この政策に関しては物流や販売など、
アルバイト・パートを多く活用している
企業からの反発がすごかったですから、
それらの企業に配慮した形です。
なお、企業規模以外に、
「週20時間以上の労働」
という条件も加わります。
失業保険をもらうために必要な雇用保険への加入も、
週20時間以上の労働が必要です。
今後は社会保障制度に加入できるかどうかは、
「週20時間以上働いているか否か」
が分岐点になってくるようです。
以下、毎日新聞からの引用記事です。
パートら非正規雇用労働者への
厚生年金・健康保険の適用拡大案は、
当面の対象者を
「従業員501人以上の企業に勤める年収94万円以上」
の約45万人にとどめる案で決着した。
政府がゴールに想定する
「370万人」
にはほど遠い。
負担増を懸念する企業に配慮した
民主党経済産業部門会議の議員らが抵抗したためだが、
民主党政権は来年の通常国会に
全国民が同一制度に加入する
新年金制度の法案を提出する方針で、
整合性を問われそうだ。
現在、週の労働時間が約30時間に満たない人は
事業主も保険料を払う厚生年金や健康保険に入れない。
全額自己負担で給付も見劣りする
国民年金、国民健康保険に加入している人が多いため、
政府は要件を「週20時間以上」に広げ、
正社員と非正規の格差是正を図る方針を打ち出した。
「20時間以上」の全員を対象にすると、
新たな加入者は約370万人となる。
だが、企業の負担増が年間5400億円に上るとして、
パートを多く雇う流通、外食産業などが反発し、
呼応した経済産業系議員らは先送りを主張した。
ただ、適用拡大は「全世代型」をうたう
一体改革の中の数少ない現役支援策でもある。
推進派は先送りを強く批判し、
厚生労働省は中間をとって
当面100万人を対象とする案を示し、
次に50万人に絞った案を提示した。
しかし、経済界側は07年に自公政権が提出した、
適用対象を約20万人にとどめる案の採用を求め、
50万人案にも反対した。
その結果、対象者が自公政権案をどうにか上回る
45万人案で落ち着いた。
「全年金制度の一元化」を掲げる民主党は野党時代、
自公政権の20万人案を批判し、
廃案に追い込んだだけに、かろうじてメンツは保った。
それでも年金の完全一元化には、
事業主負担がなく保険料が跳ね上がる自営業者や、
負担の難しい失業者にも加入を義務づける必要がある。
同党は新年金制度法案を13年の国会に出した後、
早期にスタートさせる考えなのに、
今回の適用拡大案は16年度からだ。
3年後にさらに適用を広げるというが
それでは一体いつ新年金に移行するのか。
同党内からでさえ
「どう全国民を対象にするのか」
との冷ややかな声が漏れる。