同業他社への転職禁止・・・は有効か? 失業保険.comメルマガ

■第85回 同業他社への転職禁止・・・は有効か?

退職者に対して、

「同業他社への転職を禁止」

としている会社は結構多いです。

 

会社の立場に立ってみると、

 

「社内機密を同業他社への

手みやげにされてはたまらない」

 

「顧客を持って逃げられては大損害だ」

 

という気持ちがあるのでしょう。

退職後の同業他社への転職
退職後の同業他社への転職禁止・・・は有効か?

こういった決まりがあるせいで、

「家業を継ぐ」

などの理由をつけて

同業他社に転職している人もいるようです。

 

さて、そもそもこの

「同業他社への転職禁止」

というのは有効なのでしょうか?

 

結論から言うと、有効になる場合は少ないです。

 

そもそも、労働者がいつ退職しようが、

それは自由です。

 

その後、

どこの会社に就職するかというのもまた、

労働者の自由です。

 

ですので、「同業他社への転職禁止」

という制限が認められる条件は

かなり厳しくなっています。

 

裁判所で争われるときは、

「転職制限をするデメリット」と

「その代償として退職者に与えられるメリット」

が釣り合っているかどうかで

総合判断しています。

同業他社への転職禁止 対価
同業他社への転職禁止が有効となるには、対価が必要です

つまり、

「転職に制限をかけるなら、

十分な代償を払いなさい」

というわけです。

 

しかし、退職者の行動にまで

制限を加えようとする会社は、

体質的に社員のことなど考えない、

というところが多いです。

 

よって、

「退職者に与えられるメリット」

など一切なく、

単に禁止するといった

一方的な条件提示になっていることが

ほとんどだと思います。

 

そのような一方的な契約は、

守る必要はありません。

 

退職後に同業他社への転職がバレて、

「訴えるぞ」と言われても

恐れる必要はないのです。

 

訴えてしまえば、

その「同業他社への転職禁止」

自体が無効であると判定されてしまいます。

 

これでは、訴えようがありません。


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■ 編集後記

退職者に

「同業他社へ転職するな」

という会社でも、

「中途採用は業界経験者のみ」

というところがほとんどです。

 

入ってくる人には、

「ライバル会社の新鮮な情報を期待する」、

出ていく人には、

「ライバル会社に転職するな」。

 

すさまじい矛盾だと思うのですが、

これが横行しているのが怖いところです。

同業他社へは転職禁止
同業他社へは転職禁止!でも求人は経験者のみ

Q&A

Q.会社を辞めて、同業へ転職予定です。

 

しかし、会社に

「同業への転職」がバレてしまい、

様々な圧力がかかるようになりました。

 

私は営業職ですが、

顧客を他社に持って行くのでは?

と警戒されているようです。

 

同業への転職を中止しないと、

退職金を全部カットする、

と脅されています。

 

しかし、会社としては、

私が同業他社で培った

営業スキルや顧客に

期待して内定をくれています。

 

逆にいうと、

こういった貢献ができない企業へ

転職しようとしても、

そもそも採用されるか怪しいですし、

待遇も著しく低くなることは

間違い有りません。

 

この場合、涙を吞んで、

会社がいう

「退職金全額カット」

を受け入れる必要が

あるのでしょうか?

 

このような取り扱いは、

あまりにも理不尽に思えるのですが・・・

 

A.本文でも書きましたが、

同業他社への転職禁止が

有効となるには、

かなり厳しい条件があります。

 

基本的には、

「同業他社への転職を禁止する代償」

として、

「十分な対価を社員に与えているか」

どうかで判定されます。

 

では、今回のケースが

これに該当するかどうか

考えてみましょう。

 

結論から申し上げますと、

十分な対価を提示している、

とは言えません。

 

よって、

「同業他社への転職=退職金ゼロ」

という会社の言い分は、

筋が通りません。

 

退職金は、もともと退職する社員に

支給される賃金であり、

それを減額するのは「ペナルティ」です。

 

同業他社への転職禁止を正当化するなら、

退職金の上乗せを行うなど、

「会社側が」対価を支払うべきなのです。

 

このようなやり口は、

多くの企業で常態化しています。

 

しかし、

何ら根拠がないものですから、

まともに聞いて大切なキャリアを

停滞させてはいけません。