1.失業保険は何日もらえる?
失業保険は何日間もらえるのか?
1日あたりの金額よりも、むしろこちらの方が気になる人が多いかも知れません。
失業保険が何日支給されるかは、会社を辞めた理由や、辞めたときの年齢、離職日時点でどのくらいの期間雇用保険に加入していたか?といった複数の要素で決定されます。
こう書くと難しそうですが、実際は単純な場合分けですので、悩む必要はありません。
失業保険がもらえる最低日数は90日、最高は330日となっています。
なお、例外的に、障害などで就職困難な場合、失業保険が360日支給されることがあります。
まず、退職理由による分類です。
自己都合退職で会社を辞めた場合、失業保険がもらえる日数は「雇用保険に加入していた期間」だけで決まります。
つまり、離職時の年齢については考慮されません。
65歳未満であれば、何歳であっても、同じです。
(失業保険は、離職時の年齢が65歳以上だと受給できません)
雇用保険の加入期間が10年未満・・・失業保険をもらえる日数は90日
雇用保険の加入期間が10年以上20年未満・・・失業保険をもらえる日数は120日
雇用保険の加入期間が20年以上・・・失業保険をもらえる日数は150日
次に、会社都合退職や倒産などが理由で退職した場合です。
離職時の年齢が30歳未満の場合
雇用保険の加入期間が1年未満・・・失業保険をもらえる日数は90日
雇用保険の加入期間が1年以上5年未満・・・失業保険をもらえる日数は90日
雇用保険の加入期間が5年以上10年未満・・・失業保険をもらえる日数は120日
雇用保険の加入期間が10年以上20年未満・・・失業保険をもらえる日数は180日
離職時の年齢が30歳以上35歳未満の場合
雇用保険の加入期間が1年未満・・・失業保険をもらえる日数は90日
雇用保険の加入期間が1年以上5年未満・・・失業保険をもらえる日数は90日
雇用保険の加入期間が5年以上10年未満・・・失業保険をもらえる日数は180日
雇用保険の加入期間が10年以上20年未満・・・失業保険をもらえる日数は210日
雇用保険の加入期間が20年以上・・・失業保険をもらえる日数は240日
離職時の年齢が35歳以上45歳未満の場合
雇用保険の加入期間が1年未満・・・失業保険をもらえる日数は90日
雇用保険の加入期間が1年以上5年未満・・・失業保険をもらえる日数は90日
雇用保険の加入期間が5年以上10年未満・・・失業保険をもらえる日数は180日
雇用保険の加入期間が10年以上20年未満・・・失業保険をもらえる日数は240日
雇用保険の加入期間が20年以上・・・失業保険をもらえる日数は270日
離職時の年齢が45歳以上60歳未満の場合
雇用保険の加入期間が1年未満・・・失業保険をもらえる日数は90日
雇用保険の加入期間が1年以上5年未満・・・失業保険をもらえる日数は180日
雇用保険の加入期間が5年以上10年未満・・・失業保険をもらえる日数は240日
雇用保険の加入期間が10年以上20年未満・・・失業保険をもらえる日数は270日
雇用保険の加入期間が20年以上・・・失業保険をもらえる日数は330日
離職時の年齢が60歳以上65歳未満の場合
雇用保険の加入期間が1年未満・・・失業保険をもらえる日数は90日
雇用保険の加入期間が1年以上5年未満・・・失業保険をもらえる日数は150日
雇用保険の加入期間が5年以上10年未満・・・失業保険をもらえる日数は180日
雇用保険の加入期間が10年以上20年未満・・・失業保険をもらえる日数は210日
雇用保険の加入期間が20年以上・・・失業保険をもらえる日数は240日
45歳以上、60歳未満のゾーンが一番優遇されていることがお分かりいただけると思います。
2.定年は自己都合退職?会社都合退職?
定年退職の場合、自分の意思に関係なく、その年齢に達したら会社を退職することになります。
さて、この場合、自分で辞めたくて辞めるわけではありませんから、会社都合退職の扱いとなるのでしょうか?
結論から言うと、残念ですが、定年退職は、自己都合退職と同じ扱いとなります。
つまり、失業保険がもらえる日数は、雇用保険の加入期間により、90日から150日の範囲となります。
定年退職される本人としては、何だか理不尽な扱いを受けたように感じるかも知れません。
しかし、会社都合退職として扱われるのは、「倒産や解雇などが理由で、『再就職の準備をする時間的な余裕もなく』離職を余儀なくされた場合」とされています。
定年退職の場合、年齢という予測可能な理由で退職となるのですから、この「再就職の準備をする時間的な余裕もなく」という条件を満たしていないのです。
このため、定年退職の場合は失業保険は自己都合退職を同じ日数しかもらうことはできないのです。
話が少しずれますが、定年退職された方の場合、そもそも失業保険をもらえないと思い込んでいる方も多いです。
しかし、これは勘違いです。
全く仕事をする気がないというのであれば、失業保険をもらうことはできないのですが、定年退職後であっても仕事を探す気があるのなら、遠慮なく失業保険を申請しましょう。
定年退職されたのであれば、雇用保険の加入年数もそれなりのことが多いでしょうから、失業保険も120日、150日といった期間もらえる人が多いはずです。
「定年退職したのだから、失業保険はもらえない」と思い込んで、もらえるはずだった給付金を取りこぼすのは本当にもったいないことです。
3.就職困難者と個別延長給付
失業保険の受給日数が60日延びるという、ボーナスをもらえる人がいます。
この延長措置は、個別延長給付といいます。
失業保険を330日もらえる人がこの個別延長給付を受けた場合、何と1年以上に渡って失業保険を受給し続けることが可能になります。
個別延長給付を受ける条件ですが、下記のようになっています。
・倒産、解雇による離職者である
・雇い止めによる離職者である
・離職時の年齢が45歳未満である
・再就職が困難であると、ハローワークが判断した
原則は上記の通りですが、一番やっかいなのが最後の「再就職が困難であると、ハローワークが判断した」です。
条件があいまい過ぎて、どういう状況であれば個別延長給付を受けられるのか、さっぱり分からないという人が多いでしょう。
実際に個別延長給付を受けた人の傾向を見ると、これは「真面目に求職活動をこなしていた」ことが条件になるようです。
つまり、頻繁に企業に履歴書を送付し、面接に臨んでいたような場合を指します。
こういった「真面目な転職活動」をしても、なお再就職先が決まっていないという状況で「再就職が困難である」と認められるのです。
単に、「面倒なので転職活動は失業保険をもらえる最低回数しかやっていなかった」ような場合だと難しいと考えて下さい。
そのほか、特別に失業保険の受給日数が増えるのが、「障害者などの就職困難者」です。
「障害者などの就職困難者」とは、身体の障害、知的障害を指します。
その他、社会的要因で再就職が著しく阻害されている人も含みます。
この場合、下記のように失業保険を受給する日数が増えます。
離職時の年齢45歳未満
被保険者期間1年未満・・・150日
被保険者期間1年以上・・・300日
離職時の年齢45歳以上65歳未満
被保険者期間1年未満・・・150日
被保険者期間1年以上・・・360日
4.まとめ
・失業保険をもらえる日数は、雇用保険加入期間、辞めたときの年齢、退職理由によって大きく変わってくる。会社都合退職が、自己都合退職より圧倒的に有利。
・定年退職した場合でも、失業保険はもらえる(65歳未満の場合)。しかし、失業保険をもらえる日数は自己都合退職した場合と同じ日数となる。
・失業保険を増やすあまり知られていない方法が個別延長給付。しかし、条件が多いため、狙って受給するのは難しい。
失業保険は、辞めたときの年齢や雇用保険加入期間に大きく左右されます。
ということは、あと少しで失業保険が増えるラインにいる人は今すぐ辞めては損をします。
退職後は当然ですが、給与という安定収入を失います。もらえるお金は少しでも多い方がよいのですから、事前の情報収入はしっかりと行いましょう。