■ 第109回 失業保険をもらいながら扶養に入る条件
最近、複数の方から
「退職後、扶養に入る。
失業保険はもらえますか?」
という質問をいただきました。
ご存知の方も多いと思いますが、
扶養に入るためには
年収が130万円未満である必要があります。
「では、失業保険が1日5,000円、
90日支給で45万円だから
私は扶養に入れますね」
その通りです・・・
と言いたいところですが、
残念ながらそうではありません。
「え?扶養に入る条件は年収130万円未満ですよね?」
「年45万円の失業保険で、何でダメなんですか?」
そう思われるのもごもっとものなのですが、
残念ながらこの条件だと、
扶養に入ることはできません。
では、理由を説明していきます。
扶養に入れない理由。
それは、失業保険は、
「日額×365日」で年収換算されてしまうからです。
例え受給期間が90日であっても、
それは変わりません。
つまり、
失業保険をもらいながら
扶養に入る条件は、
日額を年間換算しても
130万円を超えないラインになります。
このラインは、日額3,600円程度。
失業保険の日額で
この額を超えてしまう方は多いですから、
失業保険をもらいながら扶養に入るのは
ハードルが高いといえます。
「130万円ももらえないのに、おかしい」
と感じられると思いますし、
そう思われるのも自然な感情だと思います。
しかし、なぜかこういう扱いになっているのです。
そして、制度に文句を言ってもどうにもなりません。
制限内でうまく立ち回ることを考えましょう。
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■ 編集後記
少しだけ救いのある話を。
失業保険をもらっていない期間、
例えば3ヵ月の受給制限期間など。
この期間については、扶養に入ることが認められています。
(1)退職→(2)受給制限期間→(3)失業保険受給中→(4)受給終了
の中で、扶養に入れないのは
(3)失業保険受給中
だけになります。
失業保険をもらい終わったら、
忘れずに扶養に入る手続きをしましょう。
■ 第110回 帰る場所を失わないために
世界的な景気悪化を背景に、解雇・雇い止めが止まりません。
特に企業側から
「雇用の調整弁」
として認識されていた
派遣社員の方の状況は深刻なようです。
私のところに寄せられる相談も
目に見えて増えています。
さて、解雇や雇い止めをされた場合、
会社の寮に入っていれば
そこを出て行くことを要求されます。
その瞬間に
「住所と仕事の両方を失ってしまう」
人の立場に立ってみれば、
たまったものではありません。
いったん住所を失えば、
正社員として入れる職場は
全く期待できないというのが現実だからです。
いや、アルバイトすら、
ごく一部の業界を除いては
厳しいでしょう。
(住み込み制度が充実している業界なら望みあり)
こうなると、
再浮上は極めて困難になります。
ということで、
身を守るための情報をひとつ提供いたします。
本日(2008年12月15日)、
全国のハローワークで
労働者への住居支援が始まりました。
簡単にいうと、
・住居確保の相談
契約途中で派遣契約を打ち切られた場合でも、
本来の契約期間まで寮に住めるよう、
ハローワークが指導する
という対策を打ち出しています。
他には、
・雇用促進住宅への入居をあっせん
~保証人や所得証明の条件を緩和
・住宅の敷金、礼金や半年分の生活資金の貸与
なども行われる予定です。
国がようやく重い腰を上げた感がありますが、
それだけ事態が深刻化している
ということなのでしょう。
この相談が行われるのは、
全国の主要ハローワーク187箇所です。
失業と同時に帰る場所を失わないために、
この支援制度の存在は
絶対に忘れないでいただきたいと思います。
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■ 編集後記
厚生労働省の試算によると、
2009年の3月末までに
解雇や雇い止めによって職を失う派遣社員は
3万人に及ぶといわれています。
(それよりはるかに多いとの話も)
一方、雇用促進住宅の空き戸数は
1万3,000戸。
寮以外から通勤されている方も多いのは
確かですが、
全員に行き渡るとは言い切れません。
「会社を辞めたら
寮を出て行かなければならない」
という方は早めのご相談をお勧めいたします。