失業保険をもらうには雇用保険に加入

1.失業手当をもらうには雇用保険に加入

会社を辞めると、失業保険がもらえる・・・

これはほとんどの人が知っていると思います。

雇用保険に加入「させる」義務は会社にあります。
雇用保険に加入「させる」義務は会社にあります。

しかし、「一定の条件をクリアしていないと、失業保険が出ない」というと、驚く人が大勢います。

「アルバイト、パートは失業保険が出ないのは判るけど、正社員で勤務していれば、失業手当はもらえるでしょう?」

残念ですが、不正解です。

正社員で働いているからといって、退職したら必ず失業保険がもらえるとは限りません。

また、アルバイト・パートだからといって失業保険が出ない、と決めつけるのも間違いです。

退職後に失業保険をもらうには、まず雇用保険に加入していなければなりません。

この雇用保険、一定の条件を満たした場合は、会社は社員を必ず加入させなければなりません。
(「雇用保険に加入させる」ことが会社の義務になっていることに注意してください)

この条件を満たしていれば、雇用形態は関係ありません。
つまり、正社員、契約社員、アルバイト、パートの区別はないのです。

そうなると、次に気になるのが「自分は雇用保険にきちんと加入しているのだろうか?」という点です。

この確認は簡単です。

給与明細を見て、「雇用保険料」という名目で天引きされているお金があれば雇用保険に加入済みです。

雇用保険料が天引きされていない場合、雇用保険に加入していない可能性が高いです。

さて、雇用保険に加入しているからといって、退職後、必ず失業保険がもらえるわけではありません。

失業保険をもらうにはさらに別の条件を満たす必要があります。

次回は、その条件を見ていきましょう。

 

2.失業保険をもらうには12ヶ月雇用保険に加入

前回、退職後に失業保険をもらうには雇用保険に加入している必要があると述べました。

雇用保険に加入さえしていれば、正社員や契約社員、アルバイト・パートといった雇用形態では差がつかないということもおさえておきましょう。

雇用保険に加入する手続きは必須です。
雇用保険に加入する手続きは必須です。

さて、失業保険をもらうには、さらに必要な条件があります。

それは、「一定期間、雇用保険に加入していること」です。

この一定期間というのは、次の通りとなります。

・会社都合退職の場合・・・会社を辞めた日以前の1年間に6ヶ月以上
・自己都合退職の場合・・・会社を辞めた日以前の2年間に12ヶ月以上

「2年間に12ヶ月以上」というのは妙な表現だと感じる人もいるかも知れません。

これは、雇用保険の加入期間は毎月ごとに判定されているからです。
もう少し具体的にいうと、月11日以上働いた場合に限り雇用保険の加入期間としてカウントされます。

つまり、週2日、月8日しか働かなかった月は、雇用保険に加入する義務は発生せず、従って、雇用保険の加入期間にもカウントされません。

勘違いしている人が多い「アルバイト・パートは失業保険がもらえない=雇用保険に加入していない」というのは、ここに該当する人が多いのが原因です。

裏を返せば、アルバイト・パートであっても、月11日以上の勤務を継続していれば、正社員と全く同じ条件で雇用保険の加入期間が加算されていく、ということでもあります。

企業によっては、労務管理をする担当者すらこの基本的なことを理解しておらず、一律でアルバイト・パートは雇用保険に加入させる必要はない、と勘違いしていることがあります。

会社が言っていることだから常に正しい、などと考えていると大きな不利益を被ることになりますので注意する必要があります。

なお、雇用保険の加入期間は、ひとつの会社で加入していた期間に限りません。

他の会社で加入していた期間も通算できます。

3.失業保険の金額はいくら

失業保険がもらえることがはっきりしたら、次に気になるのは「いくらもらえるのか?」ではないでしょうか。

失業保険の金額。自分で計算するのはややこしい。
失業保険の金額。自分で計算するのはややこしい。

これはざっと言うと、在職時(退職直前の6ヶ月)の5割から8割というのが目安になります。

まず、退職直前6ヶ月にもらった給与を180日で割ります。
つまり、日給に直すのです。

この給与にボーナスは含まれませんが、通勤手当や残業手当、役職手当などの各種手当は含まれます。

こうして算出された1日あたりの日給を、平均賃金日額といいます。

この平均賃金日額は、税金や社会保険料などを差し引く前の総額で計算します。

なじみのある表現を使うと、手取りではなく額面で計算するということです。

この平均賃金日額に、5割から8割の金額をかけて出てきた金額が、1日あたりにもらえる失業保険の金額となります。

5割から8割といっても、幅が大きすぎて全然目安にならないと感じる人が多いかも知れません。

この計算はかなり複雑で、自分でやろうとしても難しいというのが正直なところです。

ハローワークで聞くのが、もっとも正確な数字を知る確実な方法です。

少々面倒ではありますが、実際の失業保険の日額を計算するのもハローワークですから、もっとも正確な回答を得ることができます。

ネット上でも失業保険の計算機のようなものがありますが、データが古いままだったりしますので、あくまで目安として考えた方がよいでしょう。

ちなみに、在職中の給与が高い場合は5割、低い場合は8割に近づきます。

ざっと言うと、1日あたり5,000円~6,000円の範囲に収まる人が多数を占めています。