失業手当終了者の9割就職せず
東日本大震災が原因で職を失った方々の
9割が就職していないという報道がされました。
政府は被災者が受給する失業保険の期日を
2回に渡って延長しましたが、これを終了。
「今後は、再就職支援に力を入れる」
との見解を示していました。
しかし、残念ながら現時点では
再就職した方が多いとはとても言えない状況です。
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以下、福島民報からの引用記事です。
■失業手当終了者の9割就職せず
帰還見通せない現状影響
東日本大震災の被災者を対象に
2回にわたり延長された雇用保険の失業手当受給者のうち、
6月までに給付が終了した5225人の
ほぼ9割が就職や就職内定に至っていない。
厚生労働省の9日までの調査で明らかになった。
未就職者と未内定者のうちの2割は、
避難区域再編の見通しが立たないことなどから
求職活動をしていないことも分かった。
福島労働局は就業対策を強化しているものの依然、
雇用のミスマッチもあって効果は上がっていない。
■横ばい
震災と東京電力福島第一原発事故に伴い
広域延長給付の対象となった双葉郡8町村と
いわき、相馬、南相馬、田村、川俣、新地、飯舘の計15市町村
合わせて5225人の受給終了時点(6月22日現在)
の就職状況は【表】の通り。
就職したり、内定したりしたのは615人で全体の11.8%にとどまり、
未就職者・未内定者は4610人で88.2%に上る。
未就職者・未内定者のうち、
求職活動中は3413人で65.3%を占めた一方、
求職活動していない受給終了者も目立つ。
人数は1113人で全体の21.3%となっている。
残る84人(1.6%)は職業訓練中か受講予定者。
厚労省が3月16日現在で初めて実施した
受給終了者2019人に対する調査では、
就職者・内定者は12.5%(253人)、
未就職者・未内定者は87.5%(1766人)だった。
3カ月以上が経過しても、
就職者・内定者の割合は増えず、
横ばい状態が続いている。
■労働意欲
厚労省が就職が決まっていなかったり、
就職活動をしていない受給終了者に聞き取り調査したところ、
避難区域再編が進まず帰還を見通せないことが
大きな要因であることが分かった。
一方、福島労働局は企業側の事情として
「失業期間の長い人はブランクがあるとして、
採用を避ける傾向にある」
と分析する。
現状では避難区域で失業者が増加する懸念があるとして、
市町村と連携し就業対策を進めている。
しかし、成果は思うように表れていない。
大熊町とは共同で週1回程度、就職相談会を開いているが、
参加者は毎回数人程度で1人も来ない日もあるという。
町産業課の担当者は
「生活基盤をどこに置くか見極めが付かない上、
避難先で希望する就職先を見つけにくい」と、失業者を取り巻く現状を説明する。
■賠償
会津若松市の仮設住宅に暮らす大熊町の無職男性(40)は
原発関連企業で約20年間働いていたが、
原発事故に伴い昨年4月に仕事を失った。
失業手当は2月に受給期間が切れ、
東電による賠償金と貯金で生活している。
「区域再編の見通しが立たず、
どこで働いていいのか分からない」
と苦しい胸の内を明かす。
三春町の仮設住宅で暮らす富岡町上手岡の男性(64)は
5月で失業手当の受給期間が終了した。
求職活動を続けているが、
希望する運転手の求人がなく、
先が見えない状態だ。
「財物賠償でまとまった生活再建資金が得られれば、
新たな定住先を見つけ、職も求めやすくなる」
と話し、区域再編を含め
避難者の生活基盤を早急に確立する必要性を訴えた。
■背景
東日本大震災を受け、
厚生労働省は失業手当の給付期間を
最大120日延長した。
さらに、東京電力福島第一原発事故の影響が特に大きい
県内15市町村と震災の被害が甚大な岩手、宮城両県の計30市町村を対象に
90日再延長した。