1.失業給付400万円詐取容疑7人逮捕
失業保険の不正受給者は後を絶ちませんが、
ここまで悪質なのは珍しい、
という事件が発覚しました。
組織的に
「働いていないのに、働いていた」
ように偽装して、
失業保険をだまし取っていたようです。
失業保険の不正受給がらみで逮捕までいくのは
こうした組織だった詐欺行為である場合がほとんどです。
こちらの記事で触れた事件も、
組織的な不正受給です。
併せてご覧下さい。
個人の場合は、せいぜい厳重注意か、
「失業保険の3倍返し」程度で終わります。
しかし、失業中に失業保険を打ち切られて、
「今までもらった失業保険を全額返してください」
「その2倍のお金も払いなさい」
というのは致命傷です。
アルバイトをして給料が出ているけど、
失業保険ももらおう、
などと考えるのは絶対に止めてください。
「失業保険の不正受給をして、
ばれない方法はないですか?」
という質問は何回もいただきますが、
不審感を抱かれて調べられた場合、
隠し通す手段はありません。
失業保険を不正受給してうまくいった、
というのは単純に
「スルーされているか、詳しく調べられていない」
だけです。
形跡を消すことは不可能だと考えてください。
以下、読売新聞からの引用です。
■失業給付400万円詐取容疑7人逮捕
富山中央署は7日、
雇用保険の失業給付金
約400万円をだまし取ったとして、
富山市豊田本町、
無職米沢孝之被告(38)(別の詐欺罪で起訴)を
詐欺容疑で再逮捕し、
住所不定、無職相庭茂容疑者(53)ら
男女6人を同容疑で逮捕したと発表した。
米沢被告は離職票を手に入れるため、
雇用時期を遡って雇用保険の加入申請をしており、
審査段階で不正を見抜けない
制度上の問題点を指摘する声もある。
発表によると、7人は昨年2月、
米沢被告が経営にかかわっていた
富山市の健康器具販売会社に、
相庭容疑者ら4人が
勤務していた事実がないにもかかわらず、
虚偽の離職票などを職業安定所に提出し、
失業給付金をだまし取った疑い。
金は仲間で分配していたとみられる。
7人のうち2人は米沢被告に
相庭容疑者を紹介したという。
同社は2010年12月に事実上閉鎖していたが、
登記上は存続。
米沢被告は同社の男性社長と知人関係にあり、
閉鎖後は同社の関係資料や印鑑を
自由に使える立場にあった。
同署は米沢被告が首謀者とみている。
2.Q&A
Q.失業保険の不正受給は、
組織的にやると逮捕されることが分かりました。
では、個人的に不正受給をするのであれば、
逮捕までは至らないのでしょうか?
最悪でも、3倍返しで済むのでしょうか?
A.何を企んでいるのかだいたい分かりますが、
止めておいた方がいいです。
失業保険の不正受給は、
確かに詐欺罪に該当します。
しかし、実際に逮捕まで至るのは、
ごく少数です。
今まで起きた逮捕劇だと、
【組織的に失業保険を詐取した】
ケースに限られています。
かといって、
今後も逮捕されない、
と考えるのは間違っています。
詐欺罪に該当していることには
違いないので、
ハローワークの胸先三寸で
逮捕されても不思議ではないからです。
現時点では、
「計画的・かつ組織的な」不正受給が
悪質として逮捕されています。
しかし、これがいつ
「計画的な」不正受給
に範囲が変わるかは誰にも分かりません。
簡単にいうと、
詐欺罪に該当しているには違いないので、
いつ「個人の逮捕第一号」
になってもおかしくないのです。
特に怖いのが、
マイナンバーの運用が軌道に乗ってからです。
今まで、個人の不正受給がおとがめなしだったのは、
ひとえに摘発する側の人手不足が原因でした。
マイナンバーにより、
この手間が大きく軽減されます。
このため、
ハローワークが、いつ「個人を徹底的に調べ尽くす」
方針に変更しても不思議ではないのです。
マイナンバーの運用なんか、まだまだ先、
などと考えるのも間違いです。
ハローワークは、
さかのぼって不正受給を摘発することがあり、
マイナンバーが稼働している現在では、
「今のうちに不正受給しておこう」
などと考えるのは間違っています。
「今のうち」
という安全遅滞はすでにありません。