寝てるんだから、給料はなしだ 失業保険.comメルマガ

■第63回 寝てるんだから、給料はなしだ

労働時間が変則的な勤務の場合、

間に仮眠を取ることがあります。

 

ただ、仮眠をとっていても

【何かがあれば

即業務復帰をしなければならない】等、

とても熟睡はできない状況の方が

ほとんどのようです。

オフィスで仮眠中=労働時間?
オフィスで仮眠中=労働時間?

こうした職場でたまにトラブルになるのが、

「仮眠時間の給料が出ない」

といったものです。

 

雇い主の理屈としては、

「寝てるんだから、給料はなしだ。

働いていない時間に

給料が払えるわけないだろう」

というのが代表的です。

 

ところがこの理屈、

実は最高裁判所によって否定されています。

 

ポイントは、

「何かあったら

すぐに職務復帰しなければならないか否か」

です。

 

一切職場復帰しなくてもいいなら、

それは労働時間とは評価されません。

 

ですが、何かあったら

仕事に戻らなければならない場合、

それは

「雇い主に拘束されている時間」

という扱いになります。

雇い主からの拘束=労働時間
雇い主からの拘束=労働時間ですが、これは拘束し過ぎです。

こうした条件を満たせば、

仮眠時間でも労働時間扱いになります。

 

さて、世の中で

仮眠時間に給料を払っている会社

がどれだけあるかというと・・・

 

ごく少数派だと思います。

 

「最高裁判例」といっても、

世間に浸透していなければ

無視されてしまうのが現実です。

 

実際、不満には思っても

社長に文句を直接言う人は

少数派でしょう。

 

トラブルにならなければ、

進んで仮眠時間に対して

給料を払う経営者もいません。

 

こうして、社会はルール無視で回っていきます。

 

※今回の件に興味がある方は、

次の判例にあたってみてください。

 

「大星ビル管理事件:

最高裁判所平成14年2月28日」


関連記事:

休憩時間も電話番


 

■ 編集後記

今回取り上げた「仮眠」は

該当する人が少ないかも知れません。

 

ですが、

「休憩時間も社外に出るな。

お客さんが来たらすぐ対応しろ」

と命令されている方は

多いのではないでしょうか。

 

こういう勤務形態の場合も

労働時間として評価される場合があります。

 

休憩時間の外出を禁止するのは、

基本的にはアウトだからです。

 

(外出に所属長の許可を要する・・・

等の制限はありです)

 

Q&A

Q.今の会社は、

休憩時間を1時間もらえません。

 

その休憩時間も、

基本的には事務所で過ごすことを

義務づけられています。

 

昼食を買いに短時間外出すること、

までは認められています。

 

しかし、外で食べてくることは許されず、

事務所に持って帰ってきて、

社内で食べなければなりません。

 

事務所にいなければならない理由ですが、

もし来客があったり、

電話がかかってきたら

それに対応しなければならないから、

とのことです。

 

少人数で回している店なので、

説明を受けたときには

「それでも仕方ないのかな」

と思っていました。

 

しかし、実際に勤めてみると

予想以上に息苦しく、

自分なりに調べてみた結果、

顧客対応の義務がある時間は

休憩時間とはならない、

ということを知りました。

 

しかし、

上司に伝えるとなると

気が引けてしまいます。

 

どうやったら改善されるでしょうか?

休憩時間 外出禁止
休憩時間が外出禁止なので、こんなランチは夢のまた夢

A.まず、最初の

「1時間の休憩がとれない」

という点について。

 

労働基準法では、

1日8時間を超えて労働する場合、

1時間以上の休憩を与えることを

義務づけています。

 

6時間超~8時間以下の場合は、

45分。

 

1日の労働時間が6時間以下の場合、

休憩時間を与える義務は、

会社にはありません。

 

単純に、1日の労働時間で

違法かどうかが判定できるかと思います。

 

一方、休憩時間に

「来客や電話に備えて待機する義務がある」

というのは違法状態の疑いが強いです。

 

何かあったら、すぐに仕事に戻れるように待機する、

というのは「手待ち時間」といって、

労働時間としてカウントされるからです。

 

上司の方は労働法にうとい可能性が高く、

悪気はないのかも知れません。

 

しかし、現状で仕事を続けるのが辛いのであれば、

改善を求めるべきでしょう。

 

とはいえ、直接意見をしても

状況が良くなる見込みは低いです。

 

会社の中というのは、

法律的に正しいことが、

上司の圧力で潰される、

などということは当たり前にあるからです。

 

極端な話、労働基準監督署に通報、

という手段が

最も改善に結びつきやすいでしょう。

 

誰が告発したのか、

は秘密にしてもらえますので。

 

今回の場合は、

勤務先が小規模とのことで、

犯人探しをされた場合、

真っ先に疑われてしまう可能性が

否めません。

 

嫌われる覚悟で上司と直接交渉するか、

疑われる覚悟で労基に通報するか。

 

どちらを選ぶにせよ、リスクはあります。