■第17回 就業規則って、何の役にたつの?3
前回は、
就業規則=労働基準監督署に
提出する義務がある、
だから、就業規則は
法律を守った内容になるという話をしました。
前回記事
仮に実態が、長時間労働や休日出勤が
常態化していて、
その上残業手当は未払い・・・
といった会社であっても、
就業規則上は、
労働基準法をしっかりと守っていることに
「なっている」
のです。
労働基準法を遵守している就業規則でないと、
労働基準監督署が受理してくれないからです。
就業規則の作成は、
社会保険労務士の先生が行うことが多いです。
なぜかというと、
社長は労働基準法なんか知らないので、
就業規則を一から作るなど不可能だからです。
この場合、社会保険労務士の先生は、
「適法な就業規則」
を作成します。
当たり前ですよね。
しかし、その就業規則は、
「社員の労働環境を適法にして、
労働者の権利を守る」
ために作成されたものではありません。
社長にしてみれば、
「労働基準監督署から、
しつこく【就業規則を提出しろ】
という督促の郵便が来ている」
から、仕方なく作成する書類に過ぎません。
つまり、就業規則は、
「提出するための書類」
でしかない、というのが
ブラック企業経営者の共通認識です。
このため、実際の労働環境を
「就業規則を守って」
運用する気などさらさらありません。
相変わらず、
労働基準法違反は社内で横行し続けます。
しかし、誰か目端の利いた社員が
就業規則を目にしてしまうと、
「何だ、この会社はルール違反だらけじゃないか」
と気付かれてしまいます。
法律無視で社員を酷使する会社は、
就業規則が社員の目に触れるとマズイわけです。
就業規則よりも
はるかに悪い条件で働かせていることが
バレてしまうからです。
ですが、就業規則が
職場にちゃんと備え付けてあるからといって
油断はできません。
一方的に、労働条件を
悪化させられることがあります。
「就業規則を改定して労働条件を悪化させる?
そんなことしていいのか?」
と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、
これは可能です。
「労働者側の代表社員」の承諾があれば、
労働条件の悪化もOKになっています。
(正確には、「労働者の過半数を代表する者」となっています)
では、この「労働者側の代表社員」が、
「会社の言いなり社員」だったら・・・?
就業規則は、会社の思いのままに
変更し放題になります。
当然、労働基準監督署が
受理してくれる範囲内という制限はありますが。
よくある手口は、
何も知らないような一般社員を
「労働者側の代表社員」にする方法です。
というより、多くの会社は
「言いなり社員」を代表にしたがります。
本来、会社が代表社員を指名するのは禁止なのですが、
実際はまかり通っています。
ここが、社員酷使を正当化する出発点になります。
就業規則の改定を企業に売り込んでいる
社会保険労務士の先生などは、
こういった知恵を経営者に授けています。
働く側からしてみれば全く迷惑な話です。
祝日を出勤日にされようが、
労働時間を1日7時間から8時間に増やされようが、
家族手当を廃止されようが、
黙って従わなければならないのですから。
じゃあ、対抗策はあるのか?
という話ですが、実は決定的な方法はありません。
ですが、「労働者側の代表社員」
が決まる前なら何とかなります。
次回は、就業規則改悪への
対抗策を考えていきます。
次回記事: