■第90回 店長は管理職?
前回に引き続き、
偽装管理職のお話です。
前回の記事はこちら
最近、
自分が「偽装管理職」である
と気づいた方が、
次々と会社を相手どって
残業代を請求し始めています。
先日、SHOP99※の店長が、
酷いときには
4日で80時間労働を強いられていた
と報道されました。
※SHOP99は、ローソンに買収され、
現在ではローソンストア100
となっています。
会社からは
「管理職なので残業手当がつかない」
と言われ、残業代なしの
25万円の給与だったそうです。
この会社の言い分が正当かというと、
当然ですがそんなはずはありません。
以前にも書いたのですが、
会社は「管理職」の範囲を
拡大解釈していることが多いです。
参考:
会社での「管理職」と、
労働基準法上の「管理職」
の範囲は違います。
労働基準法上の「管理職」は、
次のような条件にあてはまる人たちになります。
・出勤時間や退勤時間に制限を受けない
・仕入れ先の選定や人材採用等、
仕事の手順について大きな裁量が与えられている
・会社の利益=自分の利益というふうに、
経営側の立場である
役員や工場を仕切っている立場でないと、
この条件は満たさないでしょう。
少なくとも一店舗の店長に
このような権限があるとは考えにくいです。
参考:
「管理職」という言葉に限りませんが、
法律上の意味と普段使っている意味は
大きく異なることが珍しくありません。
例えば「善意の第三者」というのは、
法律上は「いい人」という意味ではなく、
「事情を知らない人」であるといった具合です。
このへんの意味の違いを利用して、会社は
「払うべき対価」
を払わずに済ませてきたといえます。
■ 編集後記
残業代は、2年で時効にかかります。
ですので、
10年間「偽装管理職」をやってきた方も
請求できるのは2年分だけです。
私は以前まで、
「それでも、在籍中に会社に訴えるのは
さすがに無理だろう・・・」
と思っていました。
しかし、最近では在職中に
会社を相手とって残業代を請求する人も
増えています。
それだけ、会社に対する帰属意識が
薄れてきたのかも知れません。
残業代の請求は素人では
かなり難しいのが実情ですが、
弁護士に依頼すれば
高い確率で請求が認められます。
そういえば以前いた会社で、
辞めた社員が弁護士を立て、
残業代を請求してきたことがありました。
社長は激怒していましたが、
結局払っていましたね(笑)。
2.Q&A
Q.毎日、終電間際まで働いています。
当然のように、残業代は出ない会社です。
以前、上司に少し話してみたのですが、
「残業代は、営業手当に入っている」
「それが会社の考えだ」
と言われ、
ほとんど相手にされませんでした。
最近は、
在職中に残業代を請求する人が
増えている・・・とのことですが、
何か報復はないのでしょうか?
査定を下げられたり、
嫌がらせで転勤させられたり
といった報復をされるのでは?
と考えると
どうしても強くはでられません。
残業代請求は正当な権利なのだから、
それを理由に査定を下げるのは不当、
と書かれているブログも見ましたが、
そんなに理屈通りにいくものでしょうか?
A.ご相談者様の不安は、正しいです。
書かれているように、
残業代請求は正当な権利です。
正当な権利である以上、
残業代を請求したからといって、
業務の査定を下げるのは
禁じられています。
と、ここまでは理屈の問題。
しかし、会社は
査定を下げる理由を
いくらでもデッチ挙げる
ことができます。
営業成績が今イチだった、
リーダーシップが足りない、
同僚に迷惑をかけている、
上司への態度が悪い・・・
このような理由をつけて、
査定を下げられることは、
実際にあり得ます。
というより、
かなり高い確率で
起きる現象です。
要は、
「残業代を請求したことを理由に」
査定を下げるのはダメですが、
それ以外の理由で
査定を下げるのは
会社の正当な権利だからです。
正々堂々と
在職中に残業代請求を行った社員は、
多かれ少なかれ、
カウンターをくらっています。
在職中に残業代請求をするのであれば、
自分一人がターゲットになるような
方法をとるのはかなり危険だ、
というのが私の考えです。