払い損 失業保険.comメルマガ

■ 第114回 払い損

失業保険をもらうためには、

雇用保険料を納めていなければなりません。

 

保険と名がつく以上、

保険料を払っていなければ

もらえないわけです。

 

さて、この保険料は

どこから出るのでしょうか。

 

労働者と雇い主が折半して出します。

雇用保険料 会社負担分
少額ですが、雇用保険料にも会社負担分もあります

 

少し雇い主の負担分の方が多いですが、

だいたい半分と考えて構いません。

 

雇い主は合計した雇用保険料を

国に納めます。

 

では、雇い主が

国に預かった雇用保険料を

納めていなければ、どうなるでしょうか。

 

答えは、「雇用保険未加入扱い」です。

 

つまり、退職しても失業保険はもらえません。

 

「給料から天引きされているのに、

それでは払い損ではないですか?」

 

と思われるのが当然です。

 

しかし、会社が社員から

雇用保険料を天引きしておきながら、

実際には国に納付していない事例は

後を絶ちません。

 

先日も、

福井県の会社で

 

「10年間勤めていたのに

雇用保険未加入になっていた」

 

として、

会社が訴えられた事件がありました。

 

雇用保険 未加入
雇用保険の未加入に気付いて、顔面蒼白

 

この場合、さかのぼって加入できそうなものですが、

実際には不可能です。

 

雇用保険は、

さかのぼって加入できるのは2年まで。

 

それ以前は時効になります。

 

つまり、自分には何の落ち度もないのに

不利益だけを押し付けられることになります。

 

これでは、払い損です。

 

このようなことは

ほとんど起きることはありませんが、

当事者になったときの

金銭的・時間的・精神的ダメージは

莫大なものになります。

 

会社を辞めよう・・・と思われたときは、

「自分は本当に雇用保険に

加入できているだろうか?」

と事前に確認されるとよいでしょう。

 


関連記事:

「うちの会社、社会保険ないから」は通用しない

試用期間中は、雇用保険に入れない・・・?

試用期間の社員は人間扱いされない?


 

■ 編集後記

なお、2年以上は雇用保険に

さかのぼって加入できないからといって、

救済策が全くないわけではありません。

 

会社の落ち度なのですから、

民事裁判での

損害賠償請求などを行うことは可能です。

 

ただ、それに伴う時間と手間のロスは

覚悟しなければなりません。

 

しかし、これは

「会社からお金をもらう」

という話になります。

 

裏を返すと、

倒産などで会社にお金が残っていない場合は

本当に払い損になります。

雇用保険未加入
倒産したら、雇用保険未加入に為す術なし

2.Q&A

Q.最近、新しい会社で仕事を始めました。

 

しかし、雇用保険に加入させてもらえません。

 

これでは、次に辞めたときに

失業保険がもらえなくなってしまいます。

 

会社に確認したところ、

雇用保険に加入させないわけではない、

と言います。

 

ただ、現在は試用期間なので、

社会保険は加入させない。

 

試用期間3ヶ月が終わって、

正社員採用になってから

雇用保険を含めた

社会保険に加入できるそうです。

 

何でも、

3ヶ月以内に会社を辞める社員が多く、

事務負担が大きいので

このようなルールが導入されたとか。

 

しかし、

何だか法律違反なのでは?

と疑ってしまいます。

 

法律的に問題はないのでしょうか?

 

問題がある場合、

どう対処すればいいのでしょうか?

 

A.まず、お勤めの会社で導入されているルールは、

完全な法律違反です。

 

雇用保険に限らず、各種社会保険は、

「入社1日目から」加入させる「義務」が、

「会社側」にあります。

 

これは、会社が勝手に変更していいルール

ではありません。

 

小さな会社だと、

こういった法律無視の運用はよくあります。

 

さて、会社が法律違反であることは、

明確に判明しました。

 

次に、どう対処するかの話になります。

 

会社の体質から予想すると、

まともに要求したところで、

受け入れられるとは思えません。

 

むしろ、

「会社に刃向かった不穏分子」

として追われる可能性が高いです。

 

このような体質の会社だと、

早めに見切りをつけるのも

良いと思います。

 

従業員を使い捨てにする体質が、

そこかしこに見受けられるからです。

 

しかし、仕事を続けたいのであれば、

「こっそりと」

労働基準監督署に通報するのが

よいでしょう。

 

給与が振り込まれているのに、

社会保険料が引かれていない、

というのは

雇われている人間の状態としては

まともではありません。

 

よって、労働基準監督署が

是正に動く案件となります。

 

誰が通報したのか?

という犯人捜しは

社内で必ず行われますので、

後輩が複数入社してきたような

タイミングで実行しましょう。

 

誰が通報したのか、

絞れなくなるからです。