1.日本の失業率は20%をはるかに超える
(2016年9月5日更新)
日本の失業率は、
おおむね5%前後で推移しています。
この5%という数字だけを見て、
「ヨーロッパは10%超えが当たり前。
スペインなんか25%。
日本は恵まれている」
などと考えてはいけません。
日本とそれらの国では、
失業率の算出方法が違うからです。
一言で言うと、日本では
「失業」となる条件が
非常に厳しくなっています。
具体的には、
「その月の最終週に、
1時間でも仕事をしたら失業者でなくなる」
のです。
極端な話、月に1時間働いただけの人が、
失業率に入ってこなくなる・・・
これは「おかしい」と考えるのが
普通の人の感覚だと思います。
失業保険をもらっている最中でも
アルバイトは禁止されていません。
このため失業保険をもらいつつ
週に1日働いている人も、
本人の自覚とは関係なく
「失業者ではない」のです。
普通は、失業保険をもらっていたら
失業者です。
これだけではありません。
さらに失業率を減らす要素があります。
社内失業者と呼ばれる存在です。
雇用調整助成金という制度があって、
解雇せずに休職させた場合、
給与の一部を国から補填してもらえます。
この制度を利用する会社には、
「仕事がないけど、
国からの給付金のおかげで失業していない」
人たちが大量におられます。
もちろん、本人たちの責任ではありませんが。
さて、こうした事実上の「社内失業者」、
なんと600万人、
失業者の3倍存在すると言われています。
「言われています」
というと信用できないようですが、
給付金の受給者数から出た数字ですので、
明確な根拠があります。
となると、社内失業者と完全失業者。
あわせて失業率20%。
しかも、
失業者に該当する条件が厳しいですから、
「働いているといっても、
とても生活できない状態」
という人を含めれば
この20%をもはるかに超えていくことは確実です。
日本の失業率5%というのは、
とても信用できる数値ではありません。
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2.2016年現在、失業率はどうなっているか?
2016年になって、
失業率は大きく改善しています。
具体的な完全失業率は3%前後で推移していて、
これは完全雇用に近い状態です。
簡単にいうと、
「仕事を選ばなければ、誰でも働く口がある」
という状態ですね。
もう少し詳しく見ると、
2016年4月の完全失業率が3.2%。
5月も3.2%。
6月が3.1%。
7月が3.0%
と、継続して改善傾向にあります。
しかし、1.で述べたように、
「数字に表れてこない失業者」
の数は、当然これらの中にも含まれません。
つまり、雇用調整助成金で
何とか雇用されている人が大勢いる・・・
という問題は解決されていないのです。
また、繰り返し述べていることですが、
求人があるとはいっても、
正社員の募集は少ないのが実情です。
多くの求人は、
契約社員やアルバイトなど、
期間を区切られた非正規雇用
になっています。
こうした勤務形態で働く方は、
いずれ失業者に戻ってしまう確率が高く、
根本的な雇用改善につながっているか?
と聞かれると、
とてもそうは思えません。
統計の見かけ上、
雇用改善しているように見えます。
しかし、多くの方が
「景気ってそんなにいいかな?」
という違和感を抱いています。
理由は簡単。
「数字が政府に有利な方向に調整されている」
からで、その違和感は正しいといえるでしょう。