1.時間外賃金7億円余未払い オークワ、8億円を特別損失計上
未払い賃金、
いわゆる残業代関連の報道がありましたので
お知らせいたします。
和歌山市のスーパー「オークワ」は17日、
従業員の給与約7億5千万円が未払いと判明し、
未払い給与に対する会社負担の法定福利費を合わせて
8億1500万円
を特別損失とし計上したと発表しました。
オークワは、平成22年6月に
和歌山労働基準監督署から時間外労働に対する賃金について
調査するよう指導を受け、23年9月から
嘱託やパートなどを含む従業員約1万6千人の残業時間を調査。
調査結果を受けて、
21年7月~23年6月の間に時間外労働の割増し賃金
約7億5千万円が未払いで、
未払い額に対する
社会保険や雇用保険などの会社負担の法定福利費
を合わせた額は8億4400万円。
うち8億1500万円を24年2月期決算で
特別損失として計上しました。
全社的にサービス残業が恒常化していると、
いざ表面化したときには重大なダメージを
企業に与える見本のような出来事です。
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2.Q&A
Q.先日、職場に労働基準監督署の調査が入りました。
時間外労働で、残業代を支払っていない疑いです。
多分ですが、退職した社員の誰かが、
労働基準監督署に通報したのだと思います。
報復目的でしょう。
それはともかく、
調査の結果、会社は労働基準監督署の指導を受け、
未払いの残業代が支払われました。
ここまでは良かったのです。
しかし、その直後に
信じられない事態が起きました。
ボーナスが前年までは2ヶ月強分出ていたのが、
今年は全額カットという通告が来ました。
理由が、
残業代を支払ったことによる赤字転落だそうです。
しかし、今回の件は
もともと支払う義務があった残業代を、
今期まとめて支払っただけの話です。
それで赤字になった=ボーナスカット
は納得がいかないのですが、
何か対抗する手段はないのでしょうか?
A.悲しいことですが、「対抗策はありません」
というのが回答になります。
理由は
「ボーナスを支払う義務は、会社にはないから」
です。
ボーナスというのは
業績に応じて支払われる性格の賃金です。
つまり、業績悪化している状態であれば、
ボーナスが全額カットになったとしても、
会社は何の責任も問われません。
もっというと、業績が良くても
ボーナスを支払う義務はありません。
あまり急激に待遇悪化を強行すると
別の問題が出てきますが、原則は上記の通りです。
これを今回の事例に当てはめてみると、
赤字転落の原因が未払い残業代とはいえ、
業績悪化していることは事実です。
確かに、
会社が本来払うべきだった金銭を一括支払い
したことで赤字になったことは、
全ての責任は会社にあると言っても良いでしょう。
しかし、だからといってボーナスを平年通り支払え、
と強制する根拠はどこにも見つけることはできません。
まずかったのは、
残業代を支払った直後に、
ボーナス支給時期が来てしまったことでしょうか。
ボーナスの支払い時期が終わってから
労働基準監督署の調査を入れれば良かったのですね。
通報した退職者は
迷惑なタイミングで動いてくれたものです。