■第46回 盗聴する社長
今日のお話は、
大企業に勤めている方には
ちょっと信じられない内容かも知れません。
オーナー企業に勤めた方に話を聞くと、
不思議なくらい共通することがあります。
事務所に盗聴器がしかけられている・・・という話です。
実は、私が勤めた会社にも
そういった盗聴器があるという
ウワサが絶えませんでした。
社長が某社員の反乱を
事前に察知できていなかったので、
ウソだったと思いますが・・・
また、私が現在相談に乗っている方の中にも
「社長が事務所に
盗聴器をしかけているとしか思えない」
とおっしゃる方もいます。
このような話を初めて聞いた人は、
「うわ、気持ち悪い」
「オフィスで盗聴なんて、信じられない」
「本当のことなんですか?」
といった反応を示します。
いや、気持ち悪いと感じるのは
全く普通の反応で、
私も気持ち悪いと思います。
とはいえ、
職場での盗聴が違法であるかどうか?
とか、是正を求められるかは
「気持ち悪い」という感情的なこととは、
また別問題です。
さて、こういった職場の盗聴について、
社員は文句を言えるのでしょうか?
残念ですが、これは無理です。
社員の家に盗聴器をしかけたら
確かに大問題ですが、
事務所に盗聴器をしかけること自体を
罰する法律はありません。
事務所の所有者は会社であり、
会社の支配者は社長です。
いわば、
自分の部屋に
防犯カメラをつけるようなもので、
そのこと自体には違法性はありません。
実は「盗聴」というのも言葉のあやで、
実際には監視カメラに近いものです。
一応、「業務上、特別な必要性が認められる場合」
という制限がありますが、
この業務上の必要性というものは、
会社にとっては作りやすいものです。
もしも盗聴器が仕掛けられている部屋で
社長の悪口をガンガン言っていたら・・・
適当な理由をつけて
降格処分・減給処分
にされても不思議ではありません。
あなたが会社の不正と戦おう!
と思っていて、
上の人がいないときに
同僚と打ち合わせをしていたら、
「その会話が完全に上層部にもれている」
可能性は否めません。
社長に聞かれたらまずい会話は会社の外で。
自分の身を守る基本です。
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■編集後記
たまには社長を擁護したいと思います。
事務所に盗聴器をしかける社長
=変質者というわけではありません。
本文中にも書きましたが、
そもそも自分の事務所での
できごとを録音していたとしても、
それは盗聴というよりは、
防犯目的の監視カメラに近いものです。
とはいえ、
普通の感覚を持った人間なら、
そういった不気味な行為は
ためらうものです。
しかし、意外なほどに
こうした仕掛けを行う社長は
多いのです。
さて、その背景には、
どういった事情があるのでしょうか?
盗聴を行う社長は、
過去に社員から
手ひどい裏切りを受けている場合が多いのです。
横領されたり、
社員が団結してクーデターを起こしてきたり・・・
こういう過去があって、
社員を信用できなくなっている社長が
盗聴に走るのです。
ただ、裏切られるにはそれなりの理由があります。
ずっとその社長の下で仕事をしたい、
と思えば社員は裏切ったりしません。
そういう自分の非を棚に上げて、
「全部社員が悪い」
という思考に陥りがちな社長が、
盗聴などといった気持悪い手段に頼るのです。
原因を根本から解決することをせずに、
表面的な「気に入らない現象」
を潰すことに集中する。
こういう発想に至る人間だからこそ、
人からどう思われるかも構わず、
盗聴という気味悪い行動に
走ることができるのです。
・・・ごめんなさい、結局擁護になってませんね。