■ 第28回 社長の勘違い4
前回まで見てきたことをまとめてみます。
前回記事:
「例え社長であっても、
好き勝手に
社員を解雇することは許されない」
「解雇するには、
事前に解雇理由を就業規則で
決めておく必要がある」
今日は、
「解雇条件にあてはまりさえすれば
解雇されても文句は言えないのか?」
という疑問を解決していきます。
「決められた理由にあてはまったのなら、
解雇されても仕方ないのでは・・・」
ほとんどの人が、
こう考えるのではないでしょうか。
実は、そうではありません。
解雇が正当なものとして認められるには、
次のような条件があります。
「会社が何度も社員を教育し、
能力が発揮できそうな部署に異動もさせてみた」
「しかしどうにもならず、見込もない。
辞めてもらうしか方法がない」
会社は、いったん採用した社員を
簡単に解雇で処理することは許されていません。
1.能力が足りないなら
=複数回にわたって教育する義務があります。
2.見込がない場合は
=能力が発揮できる部署に
異動させる義務があります。
普通の会社は1.はやるでしょうが、
2.までやっている余裕はなかなかありません。
その結果、解雇した社員から訴えられて
裁判で負けていることが非常に多いのです。
裁判の結果を見る限り、裁判所は、
「労働者が進んで会社を辞めることなんか、
そうあるわけがない」
という考えを持っているようです。
この理屈が正しければ、失業率は1%未満のはずですが・・・
まあ、浮き世離れした見解ではあります。
ですが、これはありがたい話です。
勤めている側にとって
有利な判断をしてくれているのですから。
「裁判官は世間知らずだから
判決は信用ならない」
という批判をする人もいますが、
中にはその世間知らずが
プラスに作用することもあります。
解雇はまさにそれがあてはまるケースで、
多くの企業経営者が痛い目を見ています。
もちろん、企業経営者も
何回も無抵抗に
やられているわけではありません。
きっちりと対策をとっている企業も
多くあります。
次回は「敵の手口を知る」という意味で、
「解雇を正当化する会社の手口」
を見ていきます。
このまま、下記の記事にお進みください。
■ 第29回 社長の勘違い5
前回まで見てきたことをまとめてみます。
「解雇事由にあてはまっていても
即解雇はできない」
「誰が見ても解雇やむなし、
という状態になって、
初めて解雇の正当性が認められる」
こう考えると、世の中の
ほとんどの解雇は
不当解雇になってしまいます。
関連記事:
当然、会社もされるがままには
なっていません。
しっかりと対策をうってきます。
今日は、解雇を正当化する
会社の手口を見ていきます。
いきなり結論からいきます。
「退職届を出させる」
これが正当化の常套手段です。
この場合、会社は
解雇すら認める必要がありません。
退職届の提出は、裁判でも
「自発的退職の意思表明」
と解釈されるからです。
早い話が、不当解雇のはずが、
自己都合退職になってしまうのです。
退職届さえもらっておけば、
会社は
「不当解雇で訴えられるリスク」
から解放されます。
このため、会社はとにかく
退職届を書かせようとするのです。
関連記事:
もしも辞めざるを得ない状況に
追い込まれて辞めるときは・・・
それはあなたの
自発的意思の退職とはいえません。
そんな場合は、
とにかく退職届は書かないことです。
「退職届は、自分から辞めるときに書くもの。
だから書きません」
とはっきり言っておかないと、
もらえるはずのお金を全部逃すことになります。
具体的に挙げていきましょうか。
●解雇予告手当(だいたい1カ月分の給料)
●失業保険
(勤務5~10年の場合、総支給額で2倍の差)
●退職金
(自己都合退職だと、退職金は大幅に減額される)
ざっと並べてみても、
以上のお金をもらいそこねることになります。
会社の言いなりになって大損するか、
ちょっと勇気を出して戦うか。
後から、大きな金銭の差になって
はね返ってくることだけは間違いありません。