1.結婚後失業保険申請中の妻は夫の健康保険に入れないのでしょうか
(2016年9月20日更新)
失業保険Q&Aサイトぶった切り。
今回は、教えてgooに投稿された
質問を取り上げます。
質問が長いので、要点だけをかいつまんで
ピックアップします。
1.失業後、扶養に入れないのか
2.3ヶ月の受給制限期間中は、
扶養に入れるのではないか
これに対する回答は、下記のようなものでした。
1.失業保険の受給中は、扶養に入れない
2.失業保険は、働く意思がある人が
もらうもので扶養家族はおかしい
1.2.ともに、残念ですが大間違いです。
まず1.ですが、失業保険の受給中でも、
扶養に入れる場合はあります。
具体的には、
1日あたりにもらえる失業保険の額が
「3,600円弱」なら
扶養に入れる可能性が高いです。
単純に、
「失業保険の額を収入として計算して、
それが扶養の範囲内におさまっていれば
扶養に入れる」
というだけの話です。
失業保険を3ヶ月しかもらえない場合であっても、
なぜか
「1日あたりにもらえる失業保険の金額×365で
収入が計算されてしまう」
のが個人的には理不尽だと思っているのですが・・・
また、受給制限期間の3ヶ月は無収入ですので
扶養に入っていても構いません。
「2.失業保険は、働く意思がある人がもらうもので
扶養家族はおかしい」
というのも、パートで働いていて扶養に入っている人が
実在するのを考えると
おかしな理屈であることは
すぐにご理解いただけるかと思います。
では、おきまりのフレーズで締めます。
このように、インターネット上のQ&Aサイトは
うっかり信じると深刻な事態に陥るような
回答が珍しくありません。
関連記事:
2.106万円の壁出現
2016年の法改正により、
扶養に入れる範囲が変わります。
変更は、2016年10月1日から。
大きな変更点は、年収の基準です。
今まで年収130万円未満であれば
扶養に入れたのですが、
その範囲が106万円未満に変更されます。
つまり、今まで年収106万円以上で
扶養に入っていた方々にとっては、
社会保険料の負担が増す分、
改悪となります。
もう少し詳しく:
の2. 2016年10月から出現「106万円の壁」 をご参照ください。
国は、
「年収130万円未満におさえるため、
働く時間を制限する人が多かった」
「扶養目当てで、女性が労働できる時間が
制限されているのは問題だ」
という見解で、今回の法改正に及びました。
しかし、それなら逆に、
扶養が認められる範囲を広げた方が、
「扶養目的で労働時間を制限する」
人を減らすことができるはずなのですが・・・
例えば年収250万円まで扶養が認められる、
でしたら、フルタイムで働こう、
というパートタイマーは
いくらでもいるはずです。
つまり、「一億総活躍社会」とやらを
本気で実現したいのであれば、
扶養に入れる年収制限は
低くするのではなく、
高くする方が有効です。
しかし、今回の法改正では、
なぜか逆の方向に突っ走っています。
矛盾しているように感じるのは無理もなく、
国の本音は、女性が活躍だとか、
そんなところにはないからです。
簡単にいうと、
「社会保険料を、一人でも多くの人から取り立てたい」
これが本音でしょう。
本当のことを言ってしまうと、
反感を買ってしまうため、
聞こえの良い表現で
ごまかしているに過ぎません。
なお、年収106万円以上から
扶養に入れなくなると行っても、
全員ではありません。
まずは従業員501人以上の企業から、
となっています。
この点では、例えば同じ120万円の年収で、
従業員500人の企業勤め=扶養に入れる
従業員501人の企業勤め=扶養に入れない
となります。
大企業に勤めている方が不利になるという、
ちょっと珍しいパターンです。