給料減額はどこまで許されるか? 失業保険.comメルマガ

■第95回 給料減額はどこまで許されるか?

橋下大阪府知事(当時)と

労組の団体交渉が大荒れのようです。

 

労組側は

「給与を10%も減らされたら生活設計が狂う」

と主張し、

給与減額に真っ向から反発しています。

 

これに対し、ブログや掲示板などでは

「大阪府の公務員の給与はもともと高すぎ。

10%ぐらいでがたがた言うな」

といった意見が圧倒的多数です。

給与減額はとにかくもめる
給与減額はとにかくもめる

しかし、10%というのは、

給与の減額幅としては限界点なのです。

 

法律では、月給で10%を超える給与の減額は

できないことになっているからです。

(労働基準法第91条)

 

大阪府の話は単なるとっかかり

(公務員は労働基準法が

そのまま適用されるわけではありません)

なのですが、

民間企業では10%を超える

給与減額もざらに起こっています。

 

辞めさせたい社員に対して、

嫌がらせとして行う企業も後を絶ちません。

 

しかし、既にご説明したように、

それは法令違反です。

 

社員がこの問題を社外に持ち出せば、

今度は困るのは会社の方になります。

 

しかし、この簡単な知識がないばかりに、

泣き寝入りしたり、

会社の思惑通り

自主退職してしまう人は非常に多いのです。


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■ 編集後記

10%以上の給与減額が正当化されるのは、

次のような場合です。

 

1.職種変更に伴う給与減額

2.成果給の変動(正当な範囲内)

 

頭の回る悪徳経営者なら、

給与を大幅に減らすと同時に

職種変更などの言い訳を作ってきます。

 

こうなると結構手ごわいですが、

そこまで対策してくる会社は多くありません。

職種変更 給与減額
職種変更を伴えば、給与減額は有効だが・・・

 

2.さらに悪質な給与減額の手口

本文1.で説明した通り、

10%を超える給与減額は、

正当なものとはいえません。

 

職種変更などの

「正当な理由」

が存在しない限り、

10%を超える給与減額は

認められていないからです。

 

職種変更を伴うと、

仕事の割り振りなども

大きく変更せねばならず、

事業運営に支障が出ることが多いです。

 

このため、

給与減額を目的として、

職種変更までやってくる会社は

少数派です。

 

しかし、

それでも

「人件費を圧縮したい」

という経営者の欲求は止むことはありません。

 

そこに、

社会保険労務士など、

専門知識を持った人が入れ知恵すると、

恐ろしい事態が起こります。

 

社会保険労務士は

労働法関連の専門家ですが、

本質的には企業から契約をもらって

報酬を得ています。

 

このため、

企業側に有利な提案を持ち掛けることで、

顧客である経営者にアピールします。

 

その恰好のターゲットが、

人件費圧縮。

 

早い話が、

「トラブルにならずにリストラする方法」や、

「合法的に大幅に給与を減額する方法」

などを経営者にレクチャーします。

 

そして、レクチャーされる典型的な手口が

「降格による給与減額」

です。

 

職種を変更すると仕事の割り振りが大変。

しかし人件費は圧縮したい。

 

このようなニーズに応えるには、

職種を変えず、降格してしまうことで

給与を下げるのが一番・・・

などと経営者の耳元でささやきます。

 

少しでも社員のやる気・士気といったことを

考慮する経営者であれば、

さすがにこういった話には

耳を傾けません。

 

しかし、例によって

このような「口車」に乗るような

悪徳経営者は一定数存在します。

 

あるいは、悪徳ではなくても

経営が苦しくて仕方なく、

差し伸べられた「うまい方法」

に飛びついてしまうかも知れません。

 

なにせ、

降格の理由など

いくらでもデッチ上げることができます。

降格 給与減額
降格と給与減額を言い渡され、茫然とする

 

外部から、

降格の目的が

給与減額であることを

証明するのは至難の業です。

 

指南する側の社会保険労務士も、

まともに顧客を得ている

優秀な方は、

このようなバカな方法を

本気で勧めたりはしません。

 

顧問先が少なく、

顧客獲得にやっきになっている

ごく一部の社労士が、

このような狂った提案を

持ってきます。

 

私が、会社員時代に

実際に会社に出入りしていましたから。

 

その当時、私が勤めていた会社には

顧問の社会労務士はいませんでしたから、

とにかくチャンスとばかりに

社長に気に入られようと考えたのかも知れません。

 

当時、社長の一番の関心ごとは

人件費抑制でしたから。