職業訓練のメリット

1.職業訓練のメリット

今回は、職業訓練のメリットについてお話していきましょう。

1.失業保険が訓練終了まで延長される

職業訓練の最終日まで、失業保険の支給が延長されます。

職業訓練は3ヶ月から6ヶ月の期間にわたって行われることが多いですが、失業保険が残り少なくなってから6ヶ月コースに入れば、失業保険を半年延長したのと同じ効果を得ることが可能です。

2.交通費が出る

毎月、交通費がもらえます。

上限は42,500円で、実費の範囲で支給されます。

職業訓練は、県外への「越境入学」が許可されています。

交通費が自腹では遠方の職業訓練は選択肢に入りませんが、支給されるのであれば幅広いコースから選ぶことが可能になります。

 

交通費支給。
交通費支給。

3.受講手当が出る

職業訓練受講生の間からは「弁当代」などと呼ばれている手当で、訓練1日あたり500円が支給されます。

4.寄宿手当が出る

家族の元を離れて遠方の職業訓練に通う場合にもらえる手当です。

支給額は毎月10,700円。

これは、世帯主が扶養家族を残して職業訓練を受講するために別居する場合に限られます。
扶養家族がいない場合は、対象外となります。

もちろん、職業訓練を受ける目的はスキルを身につけたり資格を取って就職に役立てることです。

しかし、そういった訓練に専念するには、当面の生活不安が払拭されていなければなりません。

職業訓練については、多くはなくても最低限度の生活は維持できる程度の金銭的な支援は整っているといえるでしょう。

ただ、制度があるのとそれを活用できるのは全くの別物です。

制度をよく理解して、自分から利用する意思を示さない限りこうした恩恵にあずかることもできません。

自分で考えて、目的に向かって行動することが、何より大切です。

 

2.職業訓練には2種類ある

一口に職業訓練といっても、大きく分けてふたつに分かれます。

ひとつは、都道府県など各自治体が運営している職業訓練。

もうひとつは、「高齢・障害・求職者雇用支援機構」という長い名前の独立行政法人が運営している職業訓練です。

「どこが運営していようが、受講する立場からは関係ないのでは?」
と思われるかも知れません。

しかし、これが大きな違いとなって現れてしまうのです。

なぜかというと、それぞれの運営母体によって、職業訓練コースの募集が別々に行われているからです。

このため、自分が住んでいる都道府県で受講できる職業訓練を探そうとうしても、一括で探せるホームページなどはありません。

自治体と高齢・障害・求職者雇用支援機構がそれぞれ提供している検索データベースを行ったり来たりして探さなければならないのが現状なのです。

非常に不便ではあるのですが、これを理解していないと、職業訓練を活用できずに終わってしまう可能性が高くなります。

例えば、自治体のホームページで職業訓練を探してみて、自分の希望に合った職業訓練が見つからなかったような場合を考えてみましょう。

「職業訓練を運営している母体がもうひとつある」
ということを知っていれば、「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が提供している情報をあたるという選択肢が思い浮かびます。

しかし、これを知らないと「希望の職業訓練は募集していないみたいだから」とあきらめてしまうことになります。

このような早とちりをしても、誰も間違いを正してはくれません。

しっくりくる職業訓練がない・・・は早とちりかも?
しっくりくる職業訓練がない・・・は早とちりかも?

「運営母体がふたつに分かれているため、職業訓練の情報は、一括して探すことはできない」ということを頭の片隅においておきましょう。

ここまで、職業訓練の運営母体は2つあるということをお話しました。

次に、それぞれの職業訓練の特徴について見ていきたいと思います。

●都道府県などの自治体が運営する職業訓練

都道府県などの自治体が運営する職業訓練は、常設の学校を保有しており、名称は「技術専門校」や「大学校」、「職業能力開発センター」などとなっています。

これらの職業訓練の特徴は、現場系のコースが豊富であることです。

例えば、電気工事、溶接、建築、機械加工などがあげられます。

技術系は、今も職業訓練の主流です。
技術系は、今も職業訓練の主流です。

こういった職業訓練は、実習を行うため作業服や安全帽などを購入することになるコースが多くなっています。

また、1年や2年といった長期の職業訓練コースを有していることも特徴です。

1年コース、2年コースは学費が有料になったり(といっても通常の専門学校に比べると激安といっていい金額ですが)、年齢制限が30歳リミットだったりと少々制限がきつくなります。

●独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が運営する職業訓練

「高齢・障害・求職者雇用支援機構」という長い名称の独立行政法人が運営する職業訓練コースです。

こちらも常設の学校を有していて、名称は「ポリテクセンター」が一般的です。

訓練期間が短いコースが多いのが特徴で、ほとんどのコースは3ヶ月~6ヶ月の間に収まってしまいます。

都道府県が実施する職業訓練コースに比べると、PC利用やITコースなど、比較的新しいコースが豊富なのが特徴です。

受講期間が短いということで選択肢から外す人もいるのですが、実は「選考試験なし」で入校できる職業訓練コースがあるので、選考試験対策が面倒な人にとっては狙い目です。

書類選考はありますが、筆記試験や面接が苦手な人は探してみるとよいでしょう。

選考試験なしで受講できるコースは、ほとんどが訓練期間3ヶ月です。

3.まとめ

・職業訓練を受講すると、失業保険が延長されるほか、交通費や受講手当など、各種手当ももらえる

・職業訓練の運営母体は大きく分けてふたつ。都道府県と、独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」

・サイトやパンフレットも分かれているため、片方を見ただけで「希望の職業訓練がない」とあきらめる人が多いが、もったいない話。