1.職業訓練の試験に落ちたら
職業訓練を受講すると、失業保険の延長、受給制限期間の解除と、大きなメリットがあることはご理解いただけたかと思います。
しかし、職業訓練には選考試験があります。
この選考試験に合格しない限り、職業訓練を受講することはできません。
職業訓練の選考試験はさほど難しいものではありませんが、それでも倍率が1倍を超えている場合は誰かが落ちます。
さて、首尾良く選考試験に合格できた場合は問題ありません。
困るのが、落ちてしまった場合です。
すでにお話しましたが、失業保険の延長を受けるには、職業訓練の開講日時点で一定数の給付日数が残っていなければなりません。
職業訓練の選考試験は何回でも受けられますが、「次回の募集に応募しても、開講する頃には失業保険の残日数がなくなっている」状況に追い込まれる人も少なくないはずです。
さて、このような場合、どのように対処するのが有利でしょうか。
多くの人が思いつくのが、「わざと失業認定日を欠席して、失業保険が切れる日付を先送りしよう」という手段です。
しかし、これはお勧めできません。
理由ですが、失業認定日の欠席は、ハローワークを激怒させる結果につながるからです。
職業訓練を受けることで失業保険の延長特典を受けるには、「ハローワークの指示を受けて」職業訓練を受けることが大前提です。
延長特典目当てで失業認定日をわざと欠席する人間がいることはハローワークも知っていますので、それをやった後ではもう「職業訓練の受講指示」をもらえないかも知れません。
何にせよ、決定権を持つ相手を怒らせることは避けたいものです。
わざと欠席するのがダメなら、他に手段はないのか?
これについては次回お話したいと思います。
2.職業訓練の試験に落ちたら(続)
前回に引き続き、職業訓練の選考に漏れてしまった場合の対策です。
再確認ですが、重要なのは「職業訓練の開講日時点で、失業保険の受給日数が一定数残っていること」です。
いったん落ちると再受講は数ヶ月後になりますので、この時点であきらめてしまう人も少なくありません。
前回お話したように、失業認定をわざと欠席するのは褒められない方法です。
ハローワークににらまれないようにするには、他の方法をとった方がよいでしょう。
その方法とは、「アルバイトをすることで、その日の失業保険をもらわない」ことです。
知らない人が多いのですが、失業保険をもらっている期間であっても、アルバイトは禁止されていません。
単に、ハローワークに黙ってアルバイトをすることが禁止されているだけです。
アルバイトで収入を得た日の取り扱いは、得た報酬額によって二通りに分かれます。
1.失業保険が減額して支給される。失業保険をもらえる日数は減る
2.その日の失業保険はもらえない。しかし、失業保険をもらえる日数は減らず、先送りになる
狙うのは、この2.のパターンです。
つまり、アルバイトをすることで失業保険の受給残日数が減るペースを落として、職業訓練の開講日まで持たせることを狙います。
注意点としては、あまり長時間働いていると、再就職扱いになってしまう可能性が出てくることです。
具体的には、週の労働時間が20時間以上で、31日以上雇用の見込みがあると会社はその人を雇用保険に加入させなければなりません。
これは、正社員だろうがアルバイトだろうが関係なしです。
雇用保険に加入してしまうと、再就職扱い。
つまり、失業保険は完全打ち切りですので、この落とし穴に落ちることだけは避けなければなりません。
選ぶアルバイトは、週の労働時間が20時間未満か、30日以内で終わる短期アルバイトに限定しましょう。
3.まとめ
・職業訓練には選考試験がある
・試験は何度でも受けられるが、1度に応募できるのは1コースのみ。
・このため、一度落ちると「次に選考試験があるときには、もう失業保険の延長が受けられない」という事態になりがち
・「失業認定をわざと欠席する」という方法は、ハローワークの心証を最悪にするので避けた方がよい
・お勧めの方法は「アルバイトをはさむことで、失業保険の受給残日数が減らないようにする」こと。
・ただし、働きすぎると「再就職」と見なされて以後の失業保険受給資格を失ってしまうので労働時間には注意を払う必要がある。