1.東日本大震災で、失業保険が延長された
宮城・岩手・福島の東北三県では、
震災が原因で失業した方の失業保険が延長されていました。
最大で210日延長されていましたが、
これ以上の延長は行なわず打ち切りとの決定がされたため、
再就職支援が急務となっています。
さて、この「失業保険の延長」、
当たり前のように言われていますが、
何が根拠なのでしょうか?
これは、特例延長期間といって、
「天災や特別な事情があって、再就職が著しく困難な状況であると認められる」
と国が判断した場合、
失業保険の受給日数の上限を増やす制度が根拠になっています。
ちなみに今回は、
実際に会社を辞めていなくても
「震災によって会社が事業停止してしまい、休業する以外に手がなかった人」
「会社が事業停止しているが、再開したら再雇用される予定の人」
にも失業保険が支給されていました。
原因が原因だけに適用範囲は広くなりました。
このように、
特殊な事情で「再就職が難しい状況だ」
という場合は、国がその判断で失業保険の支給日数を延長することができるのです。
決して、今回の震災で急に決められた制度ではないということですね。
東日本大震災関連は、下記の記事もご覧下さい。
2.熊本地震でも、失業保険の特別措置あり
2,016年4月の熊本地震でも、
職場に甚大な被害を受けた事業所がありました。
このため、5年前の東日本大震災同様、
失業保険に特例措置がとられています。
具体的には、下記のような施策が実施されています。
「休業者への、失業保険支給」です。
退職しなくても、失業保険の受給が認められます。
下記の条件を全て満たしている必要があります。
1.事業所が甚大な破損を受けて、事業が停止している
2.雇用保険への、一定期間の加入が必要(6ヶ月以上など)
この場合、
「事業再開後に、同じ会社に再就職することが決まっている」
場合であっても、失業保険の受給ができます。
普通、失業保険は
次の就職先が決定している状況で支給されることはありません。
そもそも、事業が再開されたらまた同じ会社で仕事をする、
のは退職ではなく休職です。
しかし、今回は事情が事情ですから、
休職した人であっても、
本来はもらえない失業保険が支給されるのです。
ただし、注意点があります。
「雇用保険の加入期間がゼロに戻る」
ことです。
普通は、失業保険を受給すれば
雇用保険の加入期間は0ヶ月にリセットされます。
今回、特例措置が執られたとはいえ、
ここは特別扱いになっていません。
つまり、
次に会社を辞めるときには、
雇用保険の加入期間が足りない、
という可能性があります。
つまり、
失業保険をもらえる日数が減ったり、
ひどい場合だと、
失業保険をもらえなくなったり。
このようなデメリットがあります。
「もらえるものはもらえばいいんだ!」
と単純に考えて飛びつくのは危険、
といえます。
災害が事情なので、
あらゆる面で配慮されると思いがちですが、
こうしたマイナス面もあることは、
しっかりと把握しておきたいものです。