退職後に腹が立つこと 失業保険.comメルマガ

■第53回 退職後に腹が立つこと

辞めた社員が、会社を相手に

「在職中の残業手当を支給してくれ」

と訴訟を起こすことがあります。

 

なんでこういった訴訟の多くが

「元社員」によって起こされるかというと、

単純な理由です。

 

在職中はとても

「残業代をちゃんと下さい」

と言えない雰囲気の会社であっても、

辞めてしまえば関係ないからです。

おとなしかった社員が退職後に豹変
おとなしかった社員が退職後に豹変

残業代の時効は2年ですので、

辞めてからアレコレやっても

十分間に合います。


関連記事:実践!残業代請求


これに対し、

辞めてからでは遅い権利があります。

 

有給の消化です。

 

有給休暇というのは、

退職日で全て消滅します。

例え何日余っていたとしても消滅します。

 

そして、残業代のように

退職後に訴訟をしたところで、

どうにもならない性質のものです。

 

辞めた時点で有給休暇自体が消滅している。

消滅したものは消化のしようがない、

という理屈です。

 

ここをよく知っている会社は、

辞める直前の社員に

対してこんな要求をしてきます。

 

「退職日は○月○日にしてくれ」

 

「あ、だけど引継ぎはちゃんと行うように。

社会人としての責任だ」

引き継ぎでムチャぶり
引き継ぎでのムチャぶりは、有休消化阻止が目的かも知れません。

この組み合わせで、

「引継ぎをまともに終わらせようとしたら、

有給なんか取っている時間がない」

という状況にこっそり持っていきます。

 

実際、私の元に相談を寄せられる方にも

こうした悩みを抱えておられる方は

多いです。

 

ですが、そんなことで

悩む必要はまったくありません。

 

辞める社員の有給消化を

会社が阻止することはできません。

 

堂々と休んでしまえばいいのです。

 

会社にできることは、

せいぜい「人の道」や「社会人の心構え」

を説くことだけです。

 

「有給休暇分の給与を支払いたくない」

という本音を隠して

色々理由をつけているだけなので、

まともに聞いてはいけません。


関連記事:

残った有給休暇はどうなるの?

どうしても有給休暇が消化できない場合

退職時、有給休暇は使える?


■ 編集後記

私が以前勤めていた会社の社長は、

真面目な顔をして

「どうやったら、

合法的に有給を与えずに済むか考えろ」

と腹心に命令していたことがあります。

 

その後、

本当に退職時に1日も有給を使わない社員が

何名か出ました。

 

・・・調子よく乗せられたんでしょうが、

とても本当のことは言えませんでした。

 

「無知な人間は、身包みを剥がされる」

つくづく実感したことを思い出します。

 

2.Q&A

Q.会社に、退職を伝えました。

 

退職するに当たり、

今までたまった有給休暇を

消化したいと考えています。

 

しかし、

有休消化の希望を会社に伝えたところ、

拒否されました。

 

「あなたが有休消化すると、

代わりに働く人が確保できない」

とのことです。

 

私が勤めている会社はシフト制で

業務を回しています。

 

退職日までの間、

私もシフトに組み込まれており、

私が抜けたら、

他の人をシフトに入れるのが難しい

というのが拒絶の理由です。

 

「シフトが組まれた以上、

その業務を全うするのが

社会人として当たり前だ」

などと言われたのですが、

どう考えても納得いきません。

 

会社に有休消化を認めさせる、

いい方法はないでしょうか?

お店など、シフト制の勤務は有休消化も一苦労
お店など、シフト制の勤務は有休消化も一苦労

A.会社の言い分がムチャクチャです。

 

まず、会社には

「社員の有休消化を拒否する権限」

はありません。

 

代わりの労働力が確保できない・・・

といった事情は

会社が解決する問題です。

 

有給を取得する社員には無関係です。

 

会社は、有給を取る時期をずらすことを

社員に指示する、時節変更権という

権利がありますが、

これは退職時の有休消化には

使えません。

 

退職時にも時節変更件を認めてしまうと、

「有休消化の日程を退職日後にする」

などして、実質的に

「有給を消滅させる裏ワザ」

として使われてしまうからです。

 

今回のケースでは、

「退職日を延期する」か、

「有給休暇を買い上げてもらう」

のが現実的な解決方法になります。

 

1.退職日を延期する

2.すでに組まれたシフトは働く

3.有給を消化した後、退職

 

という流れです。

 

有給の買い上げですが、

『退職時に限り』

認められています。

 

会社には要求することができるのみで、

強制できないのが難点です。


関連記事:有給が残るときは買い取りを頼もう


これらの方法を提案し、

会社と条件をすりあわせてみてください。

 

今現在、会社から提示されている方法は

あまりにも違法性が高く、

会社に一方的に有利なものになっています。

 

そのまま受け入れると、大損します。