■ 第121回 退職金の罠
会社を辞めるときには、
複数の手続き書類への
署名・提出を求められます。
退職届や離職証明書などです。
その中で、会社が仕掛けてくる
恐ろしい罠があります。
「退職金を受け取る権利を放棄します」
という同意書が混ざっている場合があるのです。
就業規則に退職金の規程があれば、
会社は退職金を支払わなければなりません。
しかし、退職者本人が「退職金はいりません」
という書類に署名してしまえば、
支給しなくても構わないのです。
そこで、他の書類にこっそりと
「退職金を受け取る権利を放棄します」
という書類を混ぜてくる会社があります。
退職者も、書類が多くて
うんざりすることが多いですから、
内容をろくに確認せず、
署名してしまう人も少なくありません。
こうなると、後から水掛け論に巻き込まれます。
面倒でも、署名やはんこを押すときには、
「この書類にサインすると、
自分にどんな影響が出るだろう?」
と立ち止まって考えてみてください。
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■ 編集後記
似たような手口で、
「有給休暇を放棄します」
という書類にサインさせることもあります。
会社は退職者には
1円でもお金を使いたくない
のが本音です。
それはそれで仕方のないことです。
しかし、このようなやり口は
だまし討ちも同然です。
後から戦うことは可能ですが、
非常に面倒ですし、精神的にも疲弊します。
一番重要なのは「引っかからないこと」ですね。
■ 第122回 加入期間が足りなくても失業保険をもらえる方法
失業保険をもらうには、
雇用保険に一定期間加入している必要があります。
自己都合退職なら1年、
会社都合退職なら半年です。
では、それより短ければ、
失業保険はもらえないのでしょうか?
原則としては、もらえません。
しかし、
「それではいくら何でもあんまりだ」
ということでしょうか、
支援策がスタートすることになりました。
「対象の職業訓練を受講する」
ことを条件に、
雇用保険の加入期間が足りない人でも
失業保険の受給が可能になります。
職業訓練は3ヶ月から6ヶ月の期間です。
この期間中は、
月10~12万円の生活支援給付金
を受給できることになります。
この支援策は2009年7月29日スタートですが、
募集は14日から始まっています。
条件としては
・ハローワークを通じて応募
・選考を通る
ことが必要になります。
「雇用保険の加入期間が足りないので、
失業保険がもらえない」
と悩まれている方には朗報といえるでしょう。
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■ 編集後記
今回紹介した制度ですが、
すでに失業保険の受給資格を得ている方は、
検討される必要はないでしょう。
職業訓練を受けるということは
「時間の拘束を受ける」
ということでもあるからです。
(自分が身につけたい技能があり、
それに適したコースがあれば話は別ですが)
また、月10~12万円というのは多くの場合、
本来の失業保険よりは少ない金額になります。
■ 第123回 もらい損ね
出産をされると、1人につき35万円の
「出産育児一時金」がもらえます。
1人あたりですので、
例えば双子の場合は70万円になります。
(35万円は原則で、さらに金額が増えることがあります)
さて、意外だったのですが、この出産育児一時金、
「流産した場合はもらえない」
と思っている方が非常に多いのです。
しかし、仮に流産された場合でも、
出産育児一時金はもらえます。
条件は、次のようになります。
・妊娠4ヶ月以上で出産
・死産、流産でも支給可能
・4ヶ月というのは妊娠85日以上のことを指す
これを知らずに、
「流産だったので申請しなかった」
という方が実際にいらっしゃいました。
この方は少なくとも35万円を
損してしまったことになります。
申請しなければ支給されなくても
文句は言えません。
流産された後に
そんなことを冷静に考えられる人は
いないとは思いますが、
大きな金額ですので
記憶にとどめておかれることを
お勧めいたします。
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■ 編集後記
ちなみに、出産育児一時金を
請求できる権利の時効は2年です。
2年以内でしたら、
今からでも間に合いますので
是非申請されてみてください。