1.雇用保険未納、4・5億円…過去20年で最高額
失業保険をもらうには、
雇用保険に一定期間、
加入していなければなりません。
雇用保険に加入している=
雇用保険料をきちんと納付する
という意味なのですが、
その雇用保険料が納付されていなかった
というニュースです。
制度改正によるもの・・・
ということですが、
不具合は労働者側が被りますので、
「以後気をつけます」
では終わりません。
もらえると思って当てにしていた
失業保険が出ない、
となるとその時点で
人生が詰んでしまう方は
決して少なくないはずです。
過去2年分まではさかのぼって
雇用保険料を払うことができるので
対処は可能なのですが、
(会社が、雇用保険料を天引きしていたのに
納付していなかった場合は
2年という制限もなくなります)
「2年分の雇用保険料、一括払い」
というのも結構な負担です。
そして、誰からも
「さかのぼって雇用保険に加入できるよ」
と教えてもらえなかった人は、
やっぱり人生が詰んでしまうのです。
以下、読売新聞の記事です。
全国17労働局が行った
雇用保険料の徴収状況を巡り、
2011年度までの3年間に
約290事業者が
保険料計約4億4900万円を
納めていなかったことが
会計検査院の調査で分かった。
過去20年の調査で未納額は過去最大。
検査院では、
派遣労働者の「雇い止め」対策など
制度改正が相次ぎ、
事業者側が制度を
十分に理解していないこと
が原因とみている。
検査院は例年、
全国47労働局の約3割を抽出し、
事業主と労働者が費用負担して
国に納める雇用保険料を検査している。
10年度までの各年次報告書によると
未納額は2億~3億円で推移しており、
最も未納額が多かったのは、
06年度調査の3億4600万円だった。
雇用保険の加入要件は、
雇い止めなどの救済のため、
09年4月に「1年以上」の雇用見込みから
「6か月以上」に、10年4月には「31日以上」
にそれぞれ変更され、対象が広がった。
未納額の増加は
こうした制度変更も背景にあるとみられ、
厚生労働省は
「各地の労働局を通じて制度の周知徹底を進める」
としている。
関連記事:
2.雇用保険を盗む悪い会社
雇用保険料が未納だと、
失業保険がもらえません。
毎月支払っている雇用保険料ですが、
いくら負担しているかは、
給与明細を見れば分かります。
雇用保険料は、
毎月の給与から天引きされているからです。
実際は、天引きされている雇用保険料に、
会社がほぼ同額の負担額を足して
国に納付しています。
つまり、
国に納付される雇用保険料は、
あなたが負担している分の約2倍です。
さて、給与明細を見て
雇用保険料が天引きされている。
「何かあっても、失業保険がもらえる」
と安心します。
しかし、世の中には悪い会社があって、
「給料から雇用保険料を天引きしているのに」
「国には雇用保険料を収めていない」
ということがあります。
ブラック企業では、このような
「社員からの理不尽な徴収」
は基本です。
さて、このような場合、
あなたには責任はありません。
雇用保険料は会社を経由して
国に納付されるもので、
あなたは会社に対しては
雇用保険料を「天引き」
という形で支払っているからです。
この場合、
「全期間さかのぼって」
雇用保険に加入することができます。
「そんなこと、当たり前じゃないですか」
そう思われた方も多いかも知れません。
しかし、このように全期間さかのぼって
雇用保険に加入できるように
法改正されたのは、
実はごく最近のことです。
以前は、最大でも2年しかさかのぼることは
できませんでした。
失業保険は、雇用保険の加入期間が
5年、10年と長くなるにつれて
支給される日数が増えますから、
本来の額をもらえない人も
多かったわけです。
しかし、現在ではそのような
「会社の理不尽さのツケ」
が社員に回ってこないように
法改正がされています。
とはいえ、
雇用保険に加入していなかった
という事実が判明しただけで、
あっさりあきらめてしまう人も多いです。
それは致命的な大損に繋がりますので、
絶対に早とちりはしないでください。