■第92回 1日違うだけで2倍のお金を払うはめになるお話
会社を退職するのは、
給料の締め日や月末が多いようです。
今日は、
この退職日にひそむ落とし穴
についてお話します。
月末に退職した場合、
その月までは
会社が社会保険料の半分を払ってくれます。
社会保険料は
会社と社員が半分づつ
負担することになっており、
その判断基準は
「月末時点で在籍している社員」
だからです。
一方、月半ばで退職した場合は
どうなるでしょうか。
予想がつくと思いますが、
その月の社会保険料は
全額労働者の負担になります。
まとめると、次のようになります。
・月末退職
=当月分まで、会社が社会保険料を半分負担
・月半ばの退職
=当月分から、労働者本人が
社会保険料を全額負担
悪質な会社になると、
月末の1日前に退職日を設定してきます。
言いくるめ方も、
「その方が得だから」
という意味不明なものです。
確かに、会社にとっては
「その方が得」なのですが・・・
そんな話にうっかり乗ってしまうと、
2倍のお金を払うはめになります。
1日退職日が違うだけで、
あまりにも落差が大きいと言うしかありません。
会社は、
「辞める人間には一切お金を払いたくない」
というのが本音です。
そこで、
社会保険料の会社負担分を節約する目的で
このようなことをよく行ってきます。
急に会社の方から
「月末1日前」
を退職日に指定してきた場合。
高い確率で、
社会保険料の節約を狙っている
と考えたほうがよいでしょう。
数万円とはいえ、
退職後のお金はより貴重です。
このような手に
引っかからないよう注意してください。
数万円あれば、
1ヶ月分の食費に匹敵します。
「国民健康保険料を払ったら、
食べ物を買うお金がなくなって
病気になった」
という冗談を昔聞いたことがありますが、
いまやこれは冗談では
済まなくなっています。
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2.Q&A
Q.月の途中で退職すると、
その月の社会保険料を
全額負担しなければならない、
という話ですが、
私が勤める会社は
20日が給与の締め日です。
私が勤務している会社では、
退職は慣例的に
締め日になっています。
理由は単純で、
給与の計算がしやすい、
ということです。
しかし、これだと
退職月の社会保険料は、
いつもの倍、
天引きされてしまうこと
になるのでしょうか?
いつも通りに勤務しているのに、
急に差し引かれる額が
2倍になるなんて、
あまりにも非人道的な
ルールだと思います。
会社の締め日で毎月
決まった額の社会保険料を
支払っているのだから、
締め日を基準に
社会保険料を納付するような
申請はできないものでしょうか?
A.確かに、会社は
「給与計算の締め日」
を退職日に設定したがります。
これは、
社会保険料の会社負担分を
カットしたい・・・
という悪意があるとは限りません。
ご質問者が書かれているように、
単純に「給与計算の単純化」
が目的の場合も多いのです。
このため、給与締め日が月末でない
企業にお勤めの場合・・・
締め日で退社することにすれば、
退職月の社会保険料は、
自己負担分に
会社負担分が上乗せされ、
いつもの2倍の額が
天引されてしまいます。
これは、避けることができません。
会社に悪意があろうがなかろうが、
退職月の社会保険料を、
会社は支払ってくれないのです。
では、この理不尽さを、
申請などで修正することができないか?
という二つ目のご質問についてですが・・・
残念ながら、これも認められていません。
社会保険料を会社負担する社員は、
あくまでも
「月末時点で在籍していた社員」
が対象となります。
毎月、決まった額を
給与締め日で計算して
納付しているのだから、
給与締め日が基準でも
おかしくないのでは?
という発想から出てきた
疑問だと思われます。
確かにそういった疑問は
ごもっともなのですが、
行政はそこまで細かくは
対応してくれません。
一律、月末で処理されてしまうのです。