■ 第39回 1分残業したら違法になる会社
1分残業したら、
それだけで違法になる会社があります。
「うらやましい」
「なんというホワイト企業だ」
そうと感じられた方も
いらっしゃるかも知れません。
ところが、
あなたが今お勤めの会社が
そうかも知れないのです。
「いや、残業は当たり前です・・・」
「残業代すら出ません・・・」
はい。
仮にそうであっても、
「1分残業=違法」
である会社に該当します。
これだけ聞くと、
ワケが分からないかも知れませんが、
分からなくて当然です。
意味不明なのは、
「会社の運営が
法律通りにされていることの方が少ない」
という異常事態に原因があるからです。
それでは、
その仕組みを説明していきます。
会社が社員に残業を命令するのは当然
と思われている方がほとんどです。
ですが、実際にはそうではありません。
会社と社員の間で、
会社「必要な場合は残業を命じますよ」
社員「いいですよ」
という合意がされていない限り、
会社は社員に対し、
残業を命じることはできません。
この取り決めを、36協定と呼びます。
そして、36協定を作成せず、
労働基準監督署に提出もしていない。
そんな会社では・・・
1分の残業でも法令違反になります。
休日出勤を命じるのも、
やはり違反になります。
つまり、あなたの会社が、
適切な手続きである
36協定を結んでいない場合、
あなたの会社は、
「1分残業しただけで違法になる会社」
なのです。
同時に、恐らく
「残業など日常茶飯事」=
「違法状態が蔓延している会社」
でもあるでしょう。
ほとんどの会社は、
「残業は当然」
という雰囲気があると思います。
ですが、
社員に残業をさせる権限があるのかどうか・・・
はまた別です。
小さな会社だとそういったルールの
存在すら知らない経営者も多くいます。
あなたの残業は、正当なものでしょうか?
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■ 編集後記
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36協定を結ぶきっかけは、
どの会社も似たようなものです。
それは、
「労働基準監督署に立ち入り検査をされた」
後です。
36協定を結んでいないのに、
残業をさせているのはマズイから
是正されるわけです。
と同時に、
今まで払っていなかった残業代を
社員に払うように命令されます。
社員にとっては嬉しいことなのですが、
経営者には「損した」という思いが残ります。
それでも、役所から「払え」と命令されている以上、
残業代を払います。
しかし、その後どういう行動に出るかというと・・・
ボーナスをごっそりカットしたり、
給料が高い社員を嘱託社員に追いやったりします。
結局、社員に渡す金額を減らすことで
帳尻を合わせようとするのです。
確かに、ボーナスは、
「利益を社員に分配する」
という側面が強いですから、
残業代を支払ったことで
利益が減った=ボーナスカット
は分からないでもありません。
一方、
残業代を支払ったからといって、
リストラをして人件費を抑えようとする、
というのはさすがにやり過ぎです。
これをやると、
人事権の濫用という、
新たな問題が発生する可能性が高いです。
しかし、
中小企業のオーナー社長というのは、
とにかく「俺がルール」
という人が多いですから、
こうしたルール無視の人事異動は、
日常茶飯事です。
かくして、
「残業代が支払われた!」
「社員大勝利!」
だったはずが、
「ボーナスカット」
「リストラの加速」
という恐ろしい事態を呼び込みます。
冗談にしか聞こえないかも知れませんが、
これは実際にあった話です。