■ 第134回 そろそろ気をつけたいこと
この時期になると、
意識していただきたいことがあります。
健康保険料についてです。
お勤めの方は、
健康保険料が毎月天引きされているかと思います
(ごく一部の業種で例外あり)。
この健康保険料、
給料に応じて額が変わることは
ご存じの方が多いでしょう。
しかし、給料に応じて
いちいち毎月計算し
直しているわけではありません。
毎年、その年の4~6月に支給された
給料の額に応じて決定されます。
つまり、この期間に長時間残業をするなどで
給料が高くなると、
その分健康保険料が高くなります。
ここで気をつけていただきたいのは、
「4~6月分に支給された給料」
であって、
「4~6月分に働いた分の給料」
ではない点です。
例えば、お勤めの企業が
月末締めで翌25日払い、
というスケジュールだと・・・
3月1日から3月末日まで働いた分の給与が、
健康保険料の計算に使われるのです。
給与そのものは、3月の労働に対する対価
ですが、
給与の支給は4月だからです。
このケースだと、逆に、6月にした労働は、
健康保険料の計算には使われません。
6月に支給される給与が
健康保険料の計算基礎になりますが、
この場合、6月に支給される給与は
5月に働いた分の給与になるからです。
「健康保険料の計算は、
4~6月の給与が元になる」
ということを知っている人は多いのですが、
あくまで「給与が支給される月」
を指しているところまで把握されている人は、
決して多くありません。
このため、プランが狂って
健康保険料の金額が上がってしまった・・・
という悲惨なことになった人も多いのです。
このような落とし穴にはまることだけは、
避けなければなりません。
今働いている分の給与が
4月1日以降に支給される人の場合・・・
そろそろ、
残業などを抑制しておかないと、
健康保険料が
グンと跳ね上がってしまいます。
年度末で忙しい方も多いかと思いますが、
できるだけ調整しておくと
余分なお金を払わずに済みます。
■ 編集後記
この件は毎年書いているのですが、
以前に出したとき、
時期が悪くて読者の方から怒られました(笑)。
「今さら言われても遅いよ!」
というご指摘でした。
反省して、今は対策可能な
3月に配信するようにしています。
■ 第135回 健康保険料で破産する
会社を辞めた後の健康保険は、
一般的に国民健康保険に
切り替えることが多いです。
しかしこの国民健康保険料、
金額を見たらほとんどの人が
「高い!!」
と叫んでしまうような額が
請求されてきます。
年収の1割、2割の国民健康保険料を
請求されることなどざらにあります。
しかも会社を辞めていますから
無収入なのですが、
その状態でこの金額の請求が来ます。
これでは国民健康保険料の支払いで
破産してしまいます。
そこまで無理をして支払う動機がありませんから、
多くの人が支払いを拒否して
問題になっていました。
対策として、この4月から
退職者の国民健康保険料は
「在職時の3割の所得」
で計算するようになりました。
この制度で計算すると、
・年収300万円の人の健康保険料が
23万3千円→8万5千円
・年収500万円の人の健康保険料が
34万7千円→14万8千円
になります(夫婦+子供1名の場合)。
会社を辞めた次の日から、
次の3月末が来るまで適用されます。
自動適用ではありませんので、
きちんと申請してくださいね。
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■ 編集後記
しかし、この制度も
自己都合退職した方には適用されません。
倒産や会社都合退職、
契約更新をされなかった派遣社員、
契約社員の方にだけ適用されます。
つくづく、自己都合退職者には厳しいです。
実際には
「辞めさせられたのに自己都合退職で処理された」
人は大勢いるわけですが、
国の見解としては、
そういった理不尽な現実は
ないことになっているようです。