安易な解雇は不当解雇になる

自分は会社を辞めようなどと

全く考えていなかったのに、

ある日突然、会社から

「辞めてくれ」

と切り出されることがあります。

 

これが解雇です。

 

いわば、会社側からの、

一方的は切り捨て

といっていいでしょう。

 

解雇されてしまうと、

その人は来月から突然、

収入ゼロに追い込まれてしまいます。

貯金がうなるほどある人なら

ともかく、多くの人は

さほど時間がたたない間に

生活に窮することになります。

 

こういった事態を可能な限り

回避するため、

会社が解雇をするには、

非常に厳しい制限が

加えられています。

これを言うと

驚く人が多いのですが、

解雇は、会社が

「気に入らない社員がいる」

「営業成績が今ひとつだから」

といって簡単にできるようなもの

ではないのです。

 

会社が解雇を行う場合、

労働法令と判例(裁判所の判決)により

会社に対して非常に厳しい
制限が加えられているのです。

例えば、

「営業成績が悪いなら、

別の職種で活躍の機会を与えたのか」

といった具合です。

 

また、会社自身の業績不振による

解雇の場合、

 

「まず、役員が

大幅な役員報酬減をしたのか」

 

「会社の資産を可能な限り売って資金を確保しているのか」

といった条件を満たしている

必要があります。

 

こうした条件を

満たしていない場合、

解雇は無効となります。

つまり、不当解雇です。

 

不当解雇の場合、

会社は従業員を職場復帰させ、

解雇を言い渡してから

職場復帰までの期間の賃金を

支払う義務を負います。

 

安易な解雇は、

会社自身のクビを

締めることになるのです。

 

これを分かっておらず、

安易に首切りを繰り返す経営者が

大勢いるのが問題なのですが・・・

 

■解雇されたら解雇予告手当をもらおう

前項は、

「会社はそう簡単に

解雇というカードを切ることは

できない」

と書きました。

労働法上、労働者は

「経済的に弱い立場なので、

保護されるべき」

とされているからです。

本来、経営不振になったら

末端従業員を解雇するのではなく、

まずは役員が

役員報酬を返上したり、

会社の資産を売却するなどして、

解雇を避ける努力をするように

求められているのです。

もちろん、こういったことが

実際には「絵に描いた餅」

になっているのは

社会に出て働いた経験が

少しでもある方には

分かってしまいます。

しかし、法律を知っておくことが

自分の身を助けることには

変わりありません。

正当な解雇であっても、

「明日から会社来なくていいよ。

最後の給料は

来月振り込んでおくから」

と言われて

納得してしまうようなことが

なくなるからです。

なぜ、上記のように言われて

納得するのがマズイかというと、

もらうべきお金を

もらっていないからです。

会社が従業員を解雇する場合、

「30日前に本人に解雇を予告する

または30日分の解雇予告手当を

支払わなければならない」

と定められています。

つまり、

「明日から会社に来なくてよい」

と言われている以上、

30日分の解雇予告手当を

もらえるのです。

労働法にうとい、

ワンマン経営者がいるような会社

だと、こうした

「明日から来なくていい」

「クビだ」

といった安易な解雇は

日常茶飯事的に行われているのが

現実です。

もちろん、

すでにお話したように違法ですから

不当解雇で争うことは可能です。

しかし、仮に

「もうこんな会社には

見切りをつけた」

と思っている場合でも、

解雇予告手当くらいは

もらっておきたいものです。

では、突然解雇を宣告されたら、

どう行動するのが

正しいのでしょうか?

まず、解雇理由証明書を

もらうべきです。

会社は嫌な顔をするでしょうが、

関係ありません。

労働基準法第22条により、

会社には解雇理由証明書の交付を

義務づけられているので、

拒否する権利がないからです。

これがないと、後から

「え?君は自分から辞める

と言ったんだろう?」

などと会社がとぼけてきた場合、

対抗策がなくなってしまいます。

この解雇理由証明書は、

不当解雇で争う場合であっても

使えます。

「会社が解雇を言い渡した証拠」

を手元に残しておけば、

会社の

「解雇するなんて

言っていませんよ」

という言い逃れを

完全に封じることができます。

つまり、解雇に従う場合は

「解雇予告手当の

踏み倒しを防ぐ」、

不当解雇で争う場合は

「解雇したことを

否定できないように追い込む」

のに役立ってくれる書類といえます。

解雇がらみの話が出たら、

まずは解雇理由証明書です。