失業保険・アルバイト・ばれる

1.失業保険・アルバイト・ばれる

失業保険を受給している期間であっても、アルバイトは禁止されていません。

しかし、ハローワークに申告することが義務づけられており、これに反すると不正受給となってしまいます。

不正受給、バレるの図。
不正受給がバレるの図。

さて、そうはいってもハローワークにアルバイトを申告すれば、その日の分の失業保険が出なかったり減額されたりといったマイナスが発生します。

それを嫌って、あえて無申告でアルバイトする人は後を絶ちません。
見つかったら、即不正受給認定されるコースです。

さて、このような危ない橋を渡っている人は結構な数に上ります。

そして、ハローワークは「不正受給は絶対にばれます」と主張しています。

すでに失業保険の受給説明会(ハローワークで手続きをしてから、おおむね1週間後に開催されます)に参加された方であれば、しつこいくらい不正受給に関して警告を与えられたことと思います。

本当に、ハローワークは無申告で行っているアルバイトを「確実に」発見できるのでしょうか?

答えは、「確実に発見できる」です。

なぜかというと、「会社が誰にいくらの給料を支払ったのか」というデータは、全部ハローワークに集まっているからです。

アルバイトをして報酬を受け取れば、当然、アルバイト料を稼いだ記録が残っているのです。

このため、ハローワークは「無申告のアルバイトを、必ず見つけることができる」のです。

では、必ず見つかってしまうかというと、話はそう単純ではありません。

これについては長くなりますので、次回でお話したいと思います。

2.失業保険の不正受給がバレる理由

1.に引き続き、失業保険の不正受給がバレる仕組みについて見ていきましょう。

アルバイト先の会社からハローワークへの「誰にいくらの給料を支払ったのか」という申告から、アルバイトをしていることは筒抜けになるというところまでお話しました。

では、こっそりアルバイトをしている人たちは一網打尽に不正受給がばれて、どんどん3倍返しの処理をされているはずです。

しかし、実際のところは発覚して処分を受ける人の数は極めて少数です。

失業保険の不正受給に実際に手を染めている人の割合から考えると、恐ろしく低い確率でしか摘発されることはありません。

悪いことをしてるのにおとがめなし
悪いことをしてるのにおとがめなし

なぜかというと、失業保険を受給している人のデータと、会社から提出される「この人に、この金額の給与を支払いました」というデータが連動しているわけではないからです。

つまり、失業保険を受給している人の中から「この人は、何か怪しいな」という人がいれば、チェックして見つけ出すことは簡単です。

しかし、そもそも「どうも不正受給をしている可能性が高い」と思われることがなければ、調べられることすらありません。

ハローワークは限られた数の職員で多数の求職者をさばいているため、自発的に調査するような余裕はどこにもないからです。

このため、データとしては手元にあるにも関わらず、それを不正受給の摘発に活用できているとは言い難い状況が続いています。

さて、では失業保険がもっとも発覚しやすいのはどのような場合でしょうか。

これはもう、圧倒的に「周囲の人からの密告」です。

周りの人に「失業保険もあるし、アルバイトもしているから当面はお金に困らない」などと話してしまい、ハローワークにちくられてしまう人は本当にたくさんいるのです。

一度目をつけられると、ハローワークには「無申告のアルバイトを証明するための資料」が全部そろっているため、あっさりと不正受給がばれてしまいます。

また、近年ではSNSの発達により、面識もない人に通報されてしまうという事態も相次いでいます。

SNSのアカウントと本名をひもづけるのが容易になってきたことが大きな理由です。

 

3.アルバイト・パートでも雇用保険に加入する

「アルバイト・パートは雇用保険に加入させなくていい」

このように考えている会社は少なくありません。

また、そのような会社で働いたせいで、「雇用保険に加入できない」ことを当たり前に考えている人も大勢います。

しかし、これは大間違いです。

間違いどころか、立派な労働基準法違反です。

 

パートでも雇用保険には加入できます
パートでも雇用保険には加入できます

なぜかというと、雇用保険に加入するかどうかは、雇用形態には左右されないからです。

雇用保険へ加入できる条件はシンプルで、労働時間と雇用見込み期間だけです。

「週20時間以上の労働時間」と「継続して31日以上の雇用見込み」があれば、アルバイトであろうがパートであろうが、会社は雇い入れた人を雇用保険に加入させる義務が発生します。

この場合、義務を課されるのは会社である、ということに注目してください。

なぜこのようないい加減な俗説がまかり通っているかというと、以前は年収が90万円以上ない場合は雇用保険の加入対象とならなかったからです。

それが、平成13年の法改正によって、この条件が撤廃されました。

しかし、法改正があったこと自体を知らない会社も多く、昔ながらのやり方で労務管理を続けているのです。

会社が雇用保険への加入手続きをしてくれなかった場合、ハローワークで、「被保険者資
格取得の確認請求」を行うことで加入を認めてもらえます。

書類として、雇用契約書の提示を求められますので、入社のとき、あるいは契約更新のときに作成したものを持参しましょう。

4.まとめ

・失業保険の不正受給は、その痕跡を完全に消すことは難しい。

・ハローワークは不正受給をほぼ完全に暴くことが可能。

・しかし、不正受給として摘発される割合は少ない

・失業保険の不正受給が暴かれるルートは圧倒的に「周囲の人間からの密告」

・SNSの発達により、ちょっとした知り合い程度からも不正受給を告発される可能性が高くなっている

・会社は、アルバイト・パートであっても雇用保険に加入させる義務がある。