1.選考試験対策
ほとんどの職業訓練コースには、「選考試験」というハードルが待ち構えています。
試験の内容は、学科試験と面接試験。
たまに、適性検査の受験も課されることもあります。
学科試験は、国語と数学です。
このように「試験がある」というと、学校の勉強が嫌いだった人は「もうダメだ」とあきらめたくなるかも知れません。
しかし、職業訓練の選考試験は、さほど難しい内容ではありません。
はっきり言えば、中学生レベルです。
国語は、主に漢字の読み書き、数学は計算問題で、応用力を問われる内容ではありません。
高校レベルの問題が出る職業訓練もありますが、それは1年以上の長期コースに限られます。
また、合格ラインもさほど高くはないので安心してください。
なぜかというと、職業訓練の場合、学科試験の成績は重要度が低いからです。
職業訓練の合否は面接重視で判定されていて、学科試験はよほど絶望的な点数を取らない限りは致命傷にはなりません。
実際、学科試験が3割程度しかできなかったのに合格したという人は珍しくありません。
余裕をもって考えても、合格ラインは半分を確保できれば十分です。
残った気力と時間は、全て面接対策に費やしましょう。
なお、選考試験がどうしても嫌、どうしても自信がない、という人は、書類選考だけで合否を判定する職業訓練コースを探すとよいでしょう。
訓練期間が3ヶ月など、短期間の職業訓練の場合、よく探すと書類選考だけのところが見つかります。
入りやすい職業訓練コースをどうやって見つけるか?
は、以前に掲載した記事
をご覧ください。
2.職業訓練には優先枠もある
職業訓練に通うことで失業保険を延長しようという場合、訓練のスタート日時点で一定日数の支給日数が残っていなければなりません。
このため、選考試験に失敗してしまうとそのまま職業訓練をあきらめざるを得ない人も多いのです。
職業訓練には、合格するまで何度でも応募できますが、失業保険の日数の方が先に尽きてしまうからです。
ですので、何としても初回で合格することを目指したいところです。
さて、自分が有利な職業訓練を選ぶのに、ひとつ有効な判断基準があります。
それは、「優先枠」を狙うことです。
職業訓練の中には、高齢者や母子家庭の母親など、特定の属性の人に優先枠を設けています。
優先枠を使えば、合格できる可能性が必ず高くなりますので、優先枠が使える人は是非とも利用しましょう。
なぜ「合格できる可能性が必ず高くなる」のかというと、優先枠で漏れても、通常の枠でまた選考されるからです。
ちなみに2,014年現在、優先枠は次のふたつが設定されています。
・年齢が45歳以上の求職者
・母子家庭の母親
失業保険は「退職時の年齢」を基準に判定されますが、職業訓練は申込時の年齢が基準になっています。
このため、退職してから45歳になった人も優先枠を利用することが認められています。
3.会社都合退職すると職業訓練を受けやすい
引き続き、職業訓練の選考試験に合格しやすいポイントを見ていきましょう。
意外に思われるかも知れませんが、職業訓練の選考では「退職理由」も大きく影響します。
会社都合退職した人が優先的に合格し、自己都合退職した人は後回しになってしまうのです。
もちろん、選考試験の結果も考え合わせて合否判定を行いますので、自己都合退職をした人は職業訓練に合格しないという意味ではありません。
そこまで極端な扱いではありませんので、自己都合退職された方も絶望しないでください。
また、会社都合退職の中でも、より「悲惨な退職」をした人の方が有利に取り扱われる傾向があります。
有利な順から、会社の倒産、リストラ解雇、その他会社都合退職になります。
属性としては、もっとも職業訓練の選考で有利なのは倒産によって職を失った人、ということになります。
また、自分が住んでいるところから職業訓練施設までの距離も影響するといわれています。
なぜかというと、遠方の職業訓練校に通う訓練生には、それだけ「通所手当」という交通費にあたるお金がかかるからです。
他の職業訓練生に比べると経費が多くかかるので、その分選考も渋くなります。
ある意味、差別的な取り扱いなのですが、抗議をしたところでどうにもなりません。
年齢などはどうにもなりませんが、退職理由はコントロールすることも可能です。
もし、あなたがまた会社を辞めていないのであれば、ぜひ会社都合退職を狙ってみて下さい。
失業保険も職業訓練の選考も、退職後に起きるあらゆることを有利に運ぶことができます。
4.まとめ
・職業訓練を受講するには選考試験を突破する必要があるが、さほど難しいものではない。
・どうしても試験が苦手な人は、筆記試験がなく書類選考だけの職業訓練もあるのでそういったコースを狙うのもひとつの手段。
・職業訓練には、母子家庭の母親など、優先的に合格できる枠がある。自分が該当する場合は、優先枠が設定されている職業訓練コースを狙うと有利。
・会社都合退職していると、職業訓練の選考でも有利になる。