退職後の健康保険いろいろ

1.退職後の健康保険いろいろ

会社から支給されている健康保険証は退職時、

会社に返還しなければなりません。

 

勘違いしている方が多いのですが、

最終出社日に健康保険証を会社に返却する必要は全くありません。

 

というよりも、返却してはいけません。

 

退職時にまとめて有休消化を行う場合には、

その有休消化を全部終了して退職日が来るまで、

会社の健康保険証を堂々と利用して構わないのです。

 

有給消化中であっても、

その期間は会社員の身分であることには変わりがありません。
会社員の身分であるということは、

会社の健康保険の加入者でもあるということを意味するからです。

 

さて、退職日が過ぎた後は、

何らかの健康保険の制度に加入する義務があります。

退職後健康保険
退職後は、健康保険を自分で選びます

健康保険料がもったいないから入らない、

めったに病気なんかしないから病院で10割払った方がマシ、

という考えは危険です。

 

なぜなら健康保険に未加入の期間であっても、

後から「加入されていたこと」にされて

強制的に健康保険料を徴収されてしまうからです。

 

これは国民健康保険の場合、

銀行口座の差し押さえまでやります。

 

普通の人が考えている以上に、

健康保険料の取り立ては過酷なのです。

 

加入していない期間まで

どのみち健康保険料を持って行かれるのですから、

空白期間は作らない方が利口なのです。

 

これは、日本が国民皆保険という建前で制度を組み立てているからで、

「空白期間であっても、その分の保険料はさかのぼって払わせる」

という恐ろしい運用がされているのです。

 

ということで、

退職後の健康保険についても

「使わないから何もせずに放置する」

ことはできません。

 

どうせどこかの健康保険に加入して保険料を支払うのであれば、

少しでも保険料が安いところを狙うのが利口というものです。

 

次の記事では、

退職後に加入できる健康保険制度を紹介して、

それぞれの加入条件、メリット・デメリットを詳しく見ていきたいと思います。

2.退職後の健康保険各制度

さて、退職後に加入できる健康保険の制度ですが、

3種類に分類されています。

 

ひとつめは、

今まで入っていた健康保険に継続加入する方法です。
これは「任意継続」といいます。

 

任意継続を利用した場合の健康保険料は、

それまで給与から天引きされていた保険料の2倍

というのがだいたいの計算になります。

 

サラリーマン時代は、

健康保険料の半分を会社が出してくれていましたが、

その分も自分で支払うことになるので2倍です。

 

といっても保険料には上限が決められていますので、

誰でも2倍になるわけではありません。

 

自分で計算するよりは、

健康保険組合に問い合わせた方が確実でしょう。

 

任意継続を利用する場合は、

退職日の翌日から20日以内に手続きを行う必要があります。

 

1日でも遅れると加入させてもらえません。

 

また、

1度でも1日でも保険料の支払いが遅れると強制脱退扱いになるという、

融通が利かない面もあります。

任意継続
任意継続はダメ出し多し

ふたつめは、

自治体の国民健康保険に加入するという選択肢です。

 

保険料は、昨年の所得、扶養に入れる人数等によって決まります。

 

保険料は自治体により大きく異なりますが、

かなり高くつくことが多いと考えた方がよいです。

 

これは、認められる控除枠が少ないことが原因なのですが、

これもあれこれ自分で計算するぐらいなら

住んでいる自治体の国民健康保険課に聞いてしまった方が早くて正確です。

 

一応、退職日の翌日から14日以内に加入することになっていますが

任意継続と異なりゆるゆるです。

 

みっつめは、家族の扶養者に入る方法です。
最も経済的負担が少ない方法ではありますが、

失業保険をもらっている期間中は扶養対象外になったりと、

思わぬワナが潜んでいる方法でもあります。

 

失業保険は、税金はかかりませんが

扶養に入るかどうかを計算する場合には

なぜか収入扱いで計算される

(しかも90日しかもらえなくても1日あたりの支給額×365日で)

からです。


失業保険と扶養の関係は、

扶養に入ったら失業保険はもらえないのか

で詳しく解説しています。

扶養に入ることを検討されている方は、

上記記事もあわせてご覧ください。


 

3.まとめ

・退職後の失業保険には、国民健康保険と任意継続2種類がある

(扶養に関しては別記)

・3割負担は同じなので、単純に保険料の安い方に決めてしまってよい

・任意継続は、加入しやすく、脱退させられやすい。

・第3の選択として扶養に入るという手がある

・扶養に入ると、失業保険を受給できなくなることが多いので注意

(失業保険が収入と見なされるため、扶養に入る範囲から外れてしまう)