1.ワタミの件。
2006年、
ワタミに勤務していた女性社員が自殺し、
過労死認定された件が報道されています。
月100時間を超える残業を強いられ、
入社2ヶ月後に自殺したというものです。
ネット上では「ワタミはブラック企業」
といった論調が多く目につきます。
ブラック企業かどうかはここでは論じません。
しかし、
「労務管理に落ち度がなかったと認識している」
というワタミ側の見解は完全に間違いだと、
個人的には考えています。
なぜかというと、
月100時間を超える残業をした場合は、
「産業医による保健指導」を受けさせるよう、
決められているからです。
正確にいうと、
厚生労働省労働基準局長が出した通達で
上記のようなことが定められています。
そして、産業医の判断によっては
健康診断を受けることになっています。
産業医というのは、
社員の健康管理・指導を任された
お医者さんのことです。
ワタミは、
これら一連の処置をしていなかったようです。
この状況で社員が過労死した場合、
「業務との関連性が強い」
と判断される可能性が高くなります。
そして、今回はその通り
過労死として労災が認定されました。
一般的に過労死は、
心臓疾患などによる突然死を指しますが、
精神的に追い詰められての自殺であっても
過労死認定されます。
まとめると、
「産業医を介入させなければならない状況なのに、
何もせず働かせ続けた」
ことが一番の落ち度でした。
1ヶ月に100時間とか、
数ヶ月連続して80時間残業させられた場合、
過労死ゾーンに入っているのです。
もし、あなたの残業時間も
このラインを超えている場合、要注意です。
社員の方が自殺されたのが2006年。
労災認定されたのが2012年。
これを見ただけでも、
「労災認定は遠く険しい道のり」
であることが分かります。
実際、労災は申請された内の
2~5%(!!)
しか認められていないという集計があります。
この割合を考えると
「死んだら労災を勝ち取ってやる」
だと、
「労災認定にすらたどり着かない」
可能性が大です。
「死んでも不思議でない
残業時間をこなしているので、
体が壊れていないかチェックしてもらおう」
と考えるのが現実的です。
その他、長時間労働が問題になったニュースは、
下記の関連記事をどうぞ。
2.離職票が届くまで
退職日を過ぎ、
完全に会社員の身分をなくしました。
すぐにでも失業保険の申請
に行きたいところですが、
足りない書類があります。
それが離職票です。
離職票というのは、
退職後に会社から届けられる書類です。
会社から届くのですが、
作成はハローワークです。
つまり、ハローワーク→会社→自分
という流れで届くことになります。
この離職票には、
失業保険の日数や
1日あたりの金額
を計算するのに必要なデータ
が掲載されています。
退職理由によって
失業保険の扱いで
「自己都合退職」か「会社都合退職」
の区別が変わります。
また、
失業保険の1日あたりの額
を計算するのに必要な
退職前の給与も書かれています。
こういったデータを元に、
ハローワークは
失業保険の支給額や支給日数を決定します。
この離職票、退職から10日までに作成し、
退職者に渡すように決められています。
10日というのは
10営業日と混同しがちなのですが、10日です。
つまり、
土日祝や正月休みなどをまたいだ場合であっても
10日以内に手続きしなければなりません。
しかし、この「10日以内に交付」というルール、
さっぱり守られていない会社が多々あります。
2週間程度でくれば良い方で、
1ヶ月待ったのに離職票が送られて来ない、
という話も割と頻繁に耳にします。
冒頭に書いたように、
離職票がなければ
失業保険をもらう手続きにすら行けません。
無収入で耐えなければならない期間が
それだけ長引くのですから、
黙って待っているのは損です。
会社に請求しても
「忙しいから~」
で煙に巻かれることが多いですが、
期限を守らないのは立派な違法行為です。
10日以上待っても離職票が届かない場合、
違法行為であることを指摘し、
至急送付するように連絡しましょう。