1.退職時、返却するもの
会社を辞める際には、会社に所有権が属するものは残らず返却する必要があります。
入社したときに、多くの備品を支給されています。
下記から、具体的に見てみましょう。
どのような会社でもほぼ支給されているのが、社員証、社章、名刺などです。
社員証も名刺は退職してしまえば会社にとっても必要ないものですが、それでも所有権は会社にありますので、勝手に持って帰らず、きちんと返却しておいた方が無難です。
社章は使い回している会社も多いので、返却しないとかなりの確率で回収をかけられます。
それ以外では、制服や文房具も返却対象です。
制服や文房具は、すべて会社からの貸与品という扱いになります。
制服はすんなり納得いくと思いますが、文房具もそうなのです。
スーツのポケットにボールペンをはさんだまま家に帰るなどして、文房具を家に持って帰ってしまっている人は多いと思います。
こういった文房具も、返却しないと厳密にいえば横領になってしまいます。
現実的には、制服はともかく文房具まで(PCなどの大物は別ですが)回収をかけられることはまずありませんが、後々つつかれるような要素は極力排除しておきたいところです。
また、在職中に仕事を通じて入手した取引先の名刺や社内資料も当然ながら返却対象となります。
社内文書は、機密事項扱いになっているものも多いので、こっそり持ち出すなどというのは言語道断です。
こういった書類を持ち出しておくと同業他社に転職するときに有利だろう・・・
などと考えて持ち出す人もいるようですが、思慮が浅いという他ありません。
そういったことを行う人は信用されることはありませんから、機密事項目当てで仮に転職できたとしても、その情報を得たら切り捨てられるのがオチです。
2.退職時、返却するもの まとめ
この記事では、退職時に会社に返却ものを一覧にしてみました。
最終出社日までに返し忘れがないかのチェックに使って下さい。
●健康保険証
退職日当日までは使えますので、退職時にまとめて有給休暇を取るような場合は有休消化が全部終了してから会社に郵送なり持参なりして返却します。
●社員証
会社に返却しても裁断処分されるだけですが、返しておかないと「辞めた後もウチの会社名を使っているのでは・・・」という無用な疑いを受けることがあります。
●社章
社章は、中途採用が多い会社だと使い回している会社が多いです。
返しておかないと会社から請求される可能性が高いので要注意。
●自分の名刺
これも返却後処分されるだけですが、社員証同様の問題を避けるために返しておきましょう。
●取引先の名刺
取引先の名刺は、会社に所有権があります。
名刺ホルダーごと持って帰るという恐ろしいことをする人がいますが、絶対に避けましょう。
特に、営業職で以前に転職経験がある人に見られがちな行動です(再就職後、以前の取引先に営業をかける目的)。
近年、会社は情報漏洩に過敏になっていますので、昔のように自由にはできないと考えて下さい。
●制服、作業着など
クリーニングしてから返却するのが一般的です。
●文房具や備品等の会社からの貸与品
うっかり持ち帰ったペンやファイルなども返しておきましょう。
●通勤定期
定期券の払い戻し期間が残っている場合は、精算して会社に返金する義務があります。
●会社の資料やプログラム等
自分で作成した書類も、所有権は会社にあります。勝手に持って帰るのは御法度です。
「自分で作った書類なんだから持って帰って何が悪い」と言いたいところですが、それは通用しません。
●経費等の精算
交通費などの経費を個人の財布から立替えている場合、忘れずに精算して受領しておきましょう
3.退職時、もらうもの
会社を辞める時、会社から受領する必要がある書類も複数あります。
なじみがない書類が多いので見落としても気づきにくいのですが、退職後の生活には非常に重要なものばかりです。
しっかりチェックしておきましょう。
●雇用保険被保険者証
会社を辞めた後、ハローワークで求職申込や失業保険の受給手続きに使う書類です。
再就職した場合は、新しい会社に提出する必要があります。
雇用保険被保険者番号は通常、一人に一つの番号しか与えられません。
(いい加減な会社が、適当な処理をした場合は複数存在する場合がありますが、そもそもルールに沿わない処理です)
この番号とは、サラリーマンを続ける限りずっとつきあっていくことになります。
雇用保険被保険者証についてもう少し詳しく知りたい方は、
以前の記事
をご覧ください。
●雇用保険被保険者離職票
会社を辞めた後、ハローワークで求職申込や失業保険の受給手続きに使う書類です。
退職日や退職前180日間の賃金額、退職理由などが記載されています。
退職後に、会社の担当者が会社の管轄のハローワークで手続きを行ない、退職後10日程度で送付されてきます。
退職日までの給与が確定しないと作成できない書類ですので、退職日に受け取ることはできません。
●源泉徴収票
退職時までに会社から支給された年間の給料の額。
そこからの社会保険料の金額、源泉所得税の金額が書かれた書類です。
前職を辞めて、同じ年に再就職したときは、新しい会社に提出すれば転職先で年末調整をしてもらえます。
再就職が年を越してしまった場合は、確定申告に使用することができます。
●年金手帳
国民年金の加入歴を管理する書類です。
再就職した場合は新しい会社に提出することになります。
●厚生年金基金加入員証
退職前の会社で厚生年金基金に加入している場合、返却されます。
ホチキスなどでとめられて、年金手帳と同一化している場合もあります。
将来厚生年金を受給するときに必要になります。
また、脱退一時金を受給するときにも使います。
4.退職時、もらうもの まとめ
退職時に会社から受領するものを下記にまとめました。
在職時には、お目にかかる機会がない書類ばかりです。
その分、「もらっていなかった」「会社から渡されていなかった」ということに気づきにくいですから事前にきちんとチェックしておきましょう。
いざ手続きをしようとして手元にないことに気づいたら、各種手続きが遅れてしまいます。
●雇用保険被保険者証
失業保険の受給手続で使用します。
再就職した後、再就職先に提出します。
●雇用保険被保険者離職票
退職後、10日前後で会社から送られてきます。
失業保険の受給手続に使用します。
●源泉徴収票
会社を辞めた年の年末までに再就職した場合は、再就職先に提出します。
この場合、再就職先で年末調整をしてもらえます。
年を越して再就職した場合、あるいは再就職しなかった場合も、確定申告の時に必要です。
●年金手帳
国民年金加入時に必要です。
再就職した場合は、再就職先に提出します。
●厚生年金基金加入員証
前職で厚生年金基金に加入している場合のみ返却されます。
ホチキスなどで、年金手帳に留められていることも多いです。
余談ですが、退職時に必要書類を受領していないことに気づかないで放置していたら、ほどなくして会社が倒産してしまって、途方に暮れたという人の例もあります。
このような場合、例えば倒産後に社長や人事担当者をつかまえたとしても解決は期待薄ですので注意してください(義務はあくまで会社にあり、その会社が消滅する形になるため)。