健康保険制度はひとつではない

1.健康保険制度はひとつではない

あなたは、

どの健康保険に加入されていますか?

 

このように聞かれて、

即答できる人は少ないと思います。

 

健康保険といえば、

会社に勤めている人なら

会社の健康保険に加入して、

そうでなければ国民健康保険に加入する

といった程度の知識で、

日常生活では十分だらです。

 

しかし、退職後にどの健康保険に加入するか?

を検討する場合はそういった知識レベルだと

思わぬ貧乏くじを引いてしまう可能性が

グッと高くなります。

健康保険
健康保険もややこしい・・・

今回から複数回にわたって、

「退職後、どの健康保険に加入すべきか?」

を見ていきましょう。

 

会社で加入する健康保険は、

大きく分けて2種類あります。

 

・社会保険事務所が運営している全国健康保険(協会けんぽ)

・企業団体等が運営している組合管掌健康保険

 

どの健康保険に加入しているかは簡単に分かります。

 

健康保険証に、

運営する組織の名称が書かれているからです。

 

さて、会社を辞めた後は、

会社員時代に使用していた健康保険証を

継続して使うことはできません。

 

その健康保険証は、

退職日に会社に返却する義務があります。


有休消化中は、

健康保険を継続して利用できますが、

退職日を経過すると、

その健康保険証ともお別れです。

 

詳しくは

退職日を過ぎたら

をご覧ください。


 

さて、退職後も

いずれかの健康保険に加入する義務があります。

 

「病院なんか行かない」

「保険料がもったいないので、

健康保険には加入しない」

という主張は残念ながら通りません。

健康保険未加入
健康保険から逃げて、保険料を節約している人

日本は、国民皆保険制度をとっています。

このため、全国民が

何らかの保険制度に強制加入となるのです。

 

さて、会社を辞めた後の健康保険をどうするか?ですが・・・

 

選択肢は5種類あります。

1.今まで加入していた健康保険の「任意継続」をする

2.国民健康保険に加入する

3.家族の扶養に入る

4.退職者医療制度に加入する

5.特定退職者医療制度に加入する

それでは、それぞれの制度ついて見ていきましょう。

 

2.「任意継続被保険者」になろう

今回は、任意継続被保険者について解説します。

任意継続制度は、

サラリーマン時代に

加入していた健康保険制度に、

加入し続けることができる制度です。


任意継続の概要は、以前の記事

退職後の健康保険と年金

の「2.退職後の健康保険」をご覧ください。


 

加入するために条件がありますので、

まずその条件を見てみましょう。

 

・退職前に、2ヶ月以上

健康保険に加入している期間があるか否か

 

実は、これだけです。

 

健康保険への加入期間が2ヶ月以上あれば、

それだけで任意継続制度を利用することが

認められるのです。

 

結構、甘めの条件だと思います。

 

しかし、任意継続制度は

ずっと加入し続けることは認められていません。

最長で、2年間までとなっています。

 

次に、任意継続の

加入手続きについて見ていきましょう。

任意継続
手続きに期限があるので忘れないようにしましょう

まず、サラリーマン時代に加入していた

「健康保険の運営者」

に、手続申請書を請求します。

「健康保険の運営者」

というと少し分かりにくいですが、

健康保険証を見れば

どこが運営しているかは簡単に確認できます。

 

なお、任意継続は加入申請が

可能な期間は非常に短く制限されています。

 

具体的には、

【退職日の翌日から20日以内】

に手続きを行なわなければなりません。

 

20日を過ぎると、原則加入資格を失います。
この20日は、20営業日ではなく日数で20日です。

 

つまり、長期休暇をはさむ

年末年始に退職してしまったような場合は、

日数制限はさらにきつくなります。

 

手順は保険者によって若千異なります。

 

保険者ごとにルールが異なる・・・

ということは自分で調べようがありませんので、

不明点は聞いてしまった方が確実です。

 

さて、次に気になるのが保険料です。
1.退職時の標準報酬月額か、

2.加入している健康保険の全被保険者の

平均標準報酬月額(協会けんぽの場合、28万円)

のいずれか低いほうの標準報酬月額になります。

 

標準月額報酬は、

在職中の4~6月の3ヶ月の平均給与と考えて

だいたい間違いありません。

(実際は●●円から●●円まではこのクラス、

という具合に等級分けしますので、

細かい金額は異なってきます)

 

標準報酬月額の自己負担分

プラス会社負担分があなたの保険料になります。

 

保険料は一度算出した後は、

任意継続制度加入中に変更されることはありません。

次回は、

国民健康保険についてお話しします。

3.まとめ

・退職後の健康保険制度には5種類ある

・主な選択肢は、任意継続と国民健康保険のふたつ

・任意継続は、今までの健康保険に継続して加入する制度。

保険料は今までの2倍になることが多い。