1.就業規則がない=違法ではない
就業規則というのは、
職場の規則を定めたルールブックのようなものです。
始業が何時からで終業時間が何時だとか、
昇級はどのような基準で行うか
といったことが書かれています。
就業規則については、別記事があります。
より詳しい情報が必要な方は
上記をご覧ください。
今から会社を辞めよう、
という方にとって重要な情報は、
・退職の意思は、
退職希望日のどれだけ前に
言わなければならないのか
・退職金の規程はどうなっているのか
といったところでしょうか。
また、会社から
「お前はクビだ!」
と言われた場合には
・解雇されるのは、どういう場合か
が重要です。
こういったことが
明文化されているのが就業規則で、
ここで決められたことについては
たとえ社長であっても逆らうことはできません。
・・・建前上は。
ところで、
「私が勤めている職場には
就業規則がないから、違法状態ですよね?」
という質問をいただくことがあります。
答えは、「必ずしも違法とは限らない」です。
就業規則を作成する義務があるのは、
常時、社員10名以上の企業だけだからです。
10名未満の会社については
就業規則を作成しなくても
何ら法律違反にはあたりません。
「常時」10人未満というのは、労働時間の関係上、
パート・アルバイトの人は0. ×人とカウントされるからです。
ですので、
「勤めている延べ人数が10人だから
就業規則を作成しなければならない」
という認識も間違いです。
会社と戦おう!
と決意した方は
あれこれ会社の落ち度を探し始める
事が多いのですが、
違法でもないことに噛みつくと
逆にこちらの立場が不利になってしまいます。
違法状態は
会社の規模や業種・条件
によって違いますので、
あまり独断で攻撃材料にすると
自分にカウンターで跳ね返ってきてしまう
リスクも高いのです。
2.Q&A
Q.先日、転職して新しい会社に就職しました。
新しい職場では、就業規則が見当たりません。
小さな会社ですので、社長に直接聞くと
「就業規則は作って届けてある」
というのみです。
見せて欲しいと言うと、
「そんなことを気にしていては、
会社になじむことはできない」
などと言ってはぐらかされました。
就業規則は確か、
作っただけではダメで、
社員に配布しないと違法だと
聞いたことがあります。
社員数は20名を超えていますので、
小さいとはいえ決して
「就業規則を作らなくていい」
規模の会社ではありません。
単純に、勤める会社のルールを把握したい
だけなのですが、
なぜここまで警戒されるのでしょうか?
A.違法状態の会社、と断言できます。
就業規則そのものは作ってあるとのことですが、
これでは就業規則は有効ではありません。
なぜかというと、就業規則というものは、
「社員に周知している状態」
でなければ効力を発生しないからです。
その時点で、
社長の認識は間違っている
と言わざるを得ません。
恐らく、合法的な就業規則を作成しているが、
社員に見られると権利を主張されそうで嫌だ、
という程度の動機だとは思います。
これからどうするか、ですが・・・
会社の体質から考えると、
就業規則を見られたところで、
その通りの組織運営がされるとは
とても思えません。
よって、
やみくもに就業規則の閲覧を求めるのは、
会社の上からにらまれることにもなり、
得策ではありません。
どのみち、就業規則に関係なく、
労働基準法は守らなければなりません。
しかし、就業規則を軽んじる会社は、
この法律を無視しているケースが
非常に多いのです。
ですので、現時点では
労働基準法違反の事実を記録しておき、
将来の会社との争いに備えるのが
現実的な対処法になります。
そんな会社は早々に辞めてしまえばいい、
という意見もあるかと思いますが、
次の会社がまともな企業である保証は
どこにもありません。
いいところが全くない企業だったら
見切りを付けるのも手ですが、
そうでなければ上記の対策を行い、
今後の見極めをしていきましょう。