失業率トリック

1.失業率トリック

日本の完全失業率は、

長く5%前後で推移しています。

 

この5%という数字、

ヨーロッパの10%を超える完全失業率と較べると、

はるかに低い数字で収まっています。

 

しかし、だからといって

「日本はヨーロッパの国々と較べると

まだまだ就職しやすい環境だ」

などと考えるのは短絡的すぎます。

完全失業率
みんな一応仕事には就けるんだ・・・けど・・・

そもそも、完全失業率の定義が違うので、

数字だけを並べて比較するのは

何の意味もないからです。

 

日本では、

完全失業率は低く出る傾向にあります。

 

なぜかというと、

月末の1週間、1時間でも仕事をしたら、

その人は「就業者」扱いになるからです。

 

つまり、

「月1時間働いている人」

が失業者に入らないのです。

 

失業中でも単発のアルバイトを入れて

生活費の足しにしている人は多いです。

 

これは、失業保険をもらっていて、

それでも失業者にカウントされていない人が

かなりの割合で存在することを意味します。

 

ヨーロッパと同様の基準で計算しなおすと、

日本の失業率は現在の2倍、

下手をすると3倍近くになると言われています。

 

ということは、ヨーロッパと大差がないということですね。

 

ヨーロッパでは職を求めて

若者がデモをすることは日常茶飯事ですが、

日本人はおとなしいので、

そういった表だった行動を起こすことは

滅多にありません。

抗議デモ
表だった抗議は滅多に起きません。

このため、表面上は

社会が平穏に動いているように

錯覚しやすいのです。

 

実態は、

「他国よりはマシ」

などと言っていられる状況ではありません。


失業率の関連記事は、下記をご覧ください。

日本の失業率は20%をはるかに超える

失業率8.8%


 

2.2016年現在ではどうか

2016年現在、

日本の完全失業率は3.1パーセントです。

 

2013年は4%でしたが、

年々低下し、

今では3%を切るかどうか?

というところまで来ました。

 

3%の完全失業率は、

おおよそ「完全雇用に近い」

といえる数字です。

 

しかし、そんな実感を持っている人は、

ほとんどいないのではないでしょうか。

景気がいい?
景気がいいと言われても、実感がわかない・・・

数字と感覚が一致しないのは

よくあることですが、

こと失業率に関しては違和感が強い、

と感じている人も多いかと思います。

 

この違和感の理由は単純で、

「職についている人は増えた」

けど、

「非正規雇用など、不安定雇用の人が増えた」

からです。

 

正社員の比率は年々減りつつ続ける一方、

非正規雇用で働く人の数は

増加の一途をたどっています。

 

正社員で働いている人が続々と

定年を迎えて引退していきます。

 

しかし、新しく雇用される人は、

正社員の身分に就けていない・・・

ということが分かります。

 

また、今まで正社員で働いていて

定年退職した方も、

再雇用で働き続けています。

 

そして、再雇用は

有期労働契約=非正規雇用扱い

になるのが一般的です。

 

正社員として雇われることは減って、

非正規で働く機会ばかりが増えているということですね。

 

こうなると、

皆将来に不安を持つので

消費せずにお金を貯めておこう、

となります。

 

日本がデフレを脱却できない

大きな原因ではないでしょうか。

 

失業率の数字だけを見ると

景気が良いように思えますが、

相変わらず、

その中身は厳しいといえます。