1.職歴情報漏らした疑い 職安職員を逮捕
ハローワークの職員が、
調査会社に求職者の情報を漏洩していたという
信じられない事件が起きました。
逮捕されたのは、ハローワークの職員と、
その職員から情報を引き出していた調査会社の役員です。
調査会社が依頼元ということは、
求職者の情報を売っていた可能性が
非常に高いと思われます。
気になるのは、この調査会社に「どこが」依頼したのかです。
転職面接先の企業でしょうか・・・
こういった調査は違法なのですが、
違法承知でやる企業もまだ残っているということです。
もし、このような遵法精神のカケラもない企業に
就職してしまっていたとしたら、
情報を不正に取得された上に
違法行為を平然とやる企業に再就職したことになります。
被害者3名の方が、あまりにも気の毒ではないでしょうか。
以下、中日新聞からの引用記事です。
■職歴情報漏らした疑い 職安職員を逮捕
雇用保険の被保険者に関する職歴などの個人情報を
外部に漏らしたとして、愛知県警査2課などは1日、
国家公務員法(守秘義務など)違反の疑いで、
横浜市の公共職業安定所(ハローワーク)の相談員
西沢えみ容疑者(47)=神奈川県藤沢市今田=と、
調査会社役員藤田利恵子容疑者(51)=藤沢市菖蒲沢=
を逮捕した。
西沢容疑者の逮捕容疑は昨年11月2日から4日ごろ、
藤田容疑者から依頼を受け、
ハローワークの雇用保険適用課に設置された端末で、
雇用保険の被保険者である南関東の女性2人と、
福岡の男性1人の計3人の職歴などを閲覧し、
藤田容疑者に教えた疑い。
2人は容疑を認めている。
県警によると、
被保険者3人は
自分の情報が流出していたことに気付いていなかったという。
県警は、西沢容疑者が、
この3人以外の被保険者の職歴情報なども
藤田容疑者に伝えていた疑いがあるとみて調べている。
この事件は、どんどん新しい事実が表に出てきて、
すごい展開になります。
事件の顛末は、下記の記事をどうぞ。
上から順に読むと事件の経過が把握できます。
職歴情報漏らした疑い 職安職員を逮捕(この記事です)
2.職歴を調べる目的は?
この事件、
ぱっと読むと、
「求職者の職歴を漏らした」
ように読めます。
しかし、制度を知っていると、
そうとも限らないことが分かります。
「雇用保険の被保険者」
というのは、別に求職者に限りません。
会社で雇用保険に加入している全ての人が、
その範囲に入ります。
ハローワークの端末をいじると、
あらゆるサラリーマンの職歴が出てきてしまう、
ということです。
もちろん、その情報を引き出すことには、
強い制限が加えられています。
ハローワークの端末がどうなっているかまでは
分かりませんが、
一般的には、情報漏洩防止システムが備えられています。
具体的には、こんな感じです。↓
1.端末を操作できる職員の
範囲を制限する
2.「誰が」「何月何日の」「何時何分に」
端末に記録される
情報漏洩していたことが判明したということは、
何かしら、痕跡が残るシステムであったということです。
さて、この職歴調査、何が目的だったのでしょうか?
ここから先は私の推測になりますが、
可能性はふたつあったと思います。
まずひとつは、
採用を検討している人が
職歴をごまかしていないかの調査。
調査会社まで入れて職歴を調べるのですから、
ハローワークの求人ではなく、
高い給与を提示されて転職するパターンですね。
個人情報を漏洩された方々は、
ヘッドハンティングの対象者だったかも知れません。
ふたつめの可能性は、リストラ対象者のあぶり出しです。
社員に辞めてもらおう、というときには
職歴詐称を暴くのは非常に効果的です。
懲戒事由になりますし、その詐称が
「会社と社員の信頼関係を大きく損なうもの」
であれば、懲戒解雇も可能になります。
例えば、大卒以上が採用条件の職場に、
本当は高卒なのに
大卒と偽って入社していたようなケースですね。
まあ、こっそり調査会社を使って調べている時点で、
「会社の方が信頼関係を大きく損なう行為をしている」
と言われても仕方ないような気がしますが・・・
このように、ハローワークには
全てのサラリーマンの職歴情報が
集まっています。
そのデータを欲しがる人は必ずいますし、
データを提供して、お金に換えようとする人が
他にいても不思議ではありません。