■第43回 これでも詐欺ではないという恐怖
今日は、
会社に入社するときに遭遇するかも知れない、
少し怖いお話です。
一般的に、会社に入社するときは
以下のような手順を踏みます。
1.ハローワークや転職情報誌、
転職サイトなどで企業を探
2.応募
3.筆記試験、面接等の先行活動
4.給与・休日等、労働条件の確認
5.採用
ところで、4.の労働条件の確認で、
「募集に書いてあったのとは
全然違う労働条件を提示された」
ということが最近増えてきていると聞きます。
で、「この条件じゃないと採用できない」
と言われ泣く泣く同意してしまうのです。
つまり、応募媒体に示している条件は
いわゆる「釣り餌」です。
最初から本当の条件を提示すると
人が集まらない。
それで、人を集めるために
実際よりもはるかに良い労働条件を
提示しているんです。
「それって・・・詐欺では?」
と思われるかたも多いでしょう。
しかし、残念ですがそうではありません。
「会社が労働条件を提示して」
「面接者がその条件に同意した」
以上、その雇用契約は有効になってしまいます。
つまり、
「採用直前とはいえ、
実際の労働条件を提示している」
から、道徳的には問題がありますが、
騙したことにはならないのです。
もちろん、このようなことが明るみに出ると、
ハローワークからは指導をくらいます。
転職情報誌や転職サイトの規約違反ですから、
掲載を拒否されるかも知れません。
ですが、雇用契約自体は有効です。
これは近年、脱法手段としてどんどん広まっています。
問題大ありですが、
逃げ道がいくらでもあるためか、
有効な手法とされています。
企業経営者の中には非常に賢い人がいて、
このようにして人を安く集めていくのです。
(同時に性格が冷酷でなければできないと思いますが)
特に山奥で寮に住み込み、
工場勤務・・・といった場合、
「労働条件の説明は現地で」
という会社には注意が必要かも知れません。
そんな遠くにまで足を延ばしておいて、
1円も稼がずに帰るのは抵抗があるものです。
結果、「せっかく来たんだから・・・」
という感覚で悪化した労働条件でも
同意してしまう人が多いそうです。
こういう会社にあたってしまったら、
とにかく逃げるのが身のためです。
入り口の採用段階からこういうマネをする会社が、
社員をどう扱うつもりなのか・・・
そんなことは、考えなくてもすぐに分かります。
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■ 編集後記
勘違いしやすいので補足します。
「採用時に提示する労働条件」
と、「実際に勤務したときの労働条件」
が全然違う場合は、これは法令違反になります。
1.募集時に提示する労働条件
2.採用時に提示する労働条件
3.実際に勤務したときの労働条件
本文は、1.と2.が食い違っているケースで、
これはギリギリ違法ではありません。
とはいえ、
雇われる側にとっては、
完全に「だまし討ちされた」
という感覚でしょう。
このような不誠実なマネをする企業は、
あらゆる面で
社員から搾取することしか考えていません。
「ここまで来たのだから、
辞退してはもったいない」
などと考えると、後から
「あそこで引き返しておけば良かった」
と後悔することになります。
一方、
2.と3.が食い違っていると、
これは完全にアウトです。
しかし、「ギリギリ違法状態をついてくる」
場合と違って、対抗策は練りやすいです。
違法状態を放置する企業ということは、
そのほかの面でもガードが甘いことが多く、
戦う相手としては与しやすいからです。