■第44回 「辞めろ」と言わなければ責任逃れは可能か?
ファミリーレストランで働く16歳の女性が、
解雇を撤回させたニュースがありました。
この方は茶髪を
「規則に反するから黒くしろ」と命じられ、
拒否したところ
「それなら一緒に働けない」
とそのレストランを辞めさせられました。
納得がいかなかった彼女は会社と戦い、
最終的に解雇を撤回させています。
さて、会社側の言い分はこんな感じでした。
「解雇通告というのは誤解」
「辞めろとは言ってない」
しかし、上司からの
「それなら一緒に働けない」
という言葉は、クビと同じです。
表現を変えているだけに過ぎません。
このように、
クビという単語を避ければ
責任を取らずにすむ・・・
と勘違いしている会社は
世の中にいくらでもあります。
上司「お前は向いてないんじゃないか?」
社員「辞めろということですか?」
上司「それは君が決めることだ」
といった具合です。
実際には、普通の人が
どう思うかが基準になります。
多くの人が「クビ宣告」と受け取るような
言い方をしていたらそれは「クビ」です。
「クビ」という単語を避けてさえいれば
責任逃れができるというのは
大きな間違いです。
会話は文脈で意味が変わってくる、
というのは当たり前のことです。
単語レベルで思考するなんて、
小学生でもやりません。
あなたがこういう上司に
「一緒に働けない」と言われたら・・・
遠慮なく「解雇された」と主張しましょう。
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Q&A
Q.会社を辞める気はないのに、
上司から圧力をかけられて困っています。
会社は私に辞めて欲しいようなのですが、
解雇にすると解雇予告手当など、
いろいろお金がかかるらしく、
解雇とは言ってきません。
その代わり、上司を使って
私に「辞めます」と言わせようと
追い込んできています。
最近は、上司から連日にわたって
「こんなに仕事ができない奴は初めて見た」
「周りが迷惑している」
「あいつを辞めさせて欲しいと俺が言われる」
などといった説教(罵詈雑言)を受けています。
しかし、辞めろとは言いません。
辞めろというと解雇扱いになるので、
「辞めろ」
というフレーズは
絶対に出してこないのです。
私に「辞めます」
と言って欲しいのです。
私も、他に再就職の宛てがあれば
今の会社を辞めたいのですが、
年齢的なこともあり、
そう簡単に辞めることはできません。
今のような嫌がらせを止めるには、
どのような手法が有効でしょうか?
A.嫌がらせを止めること自体は簡単です。
上司の行為は、「しつように退職を迫る行為」
に該当します。
この場合、
労働基準監督署など
公的機関を介入させれば、
きつくお灸を据えられますので、
露骨な嫌がらせはできなくなります。
しかし、陰湿な嫌がらせに変化する
可能性も高く、
手放しではお勧めできません。
転職先を見つけるのに時間がかかる、
というのが
退職に踏み切れない理由であれば、
いっそ辞めるのも手です。
予想よりも、
多くの手当をもらえる可能性が
高いからです。
この状況での退職は
「不当解雇」、
会社側に甘く判断しても
「退職勧奨した」
が成立します。
解雇予告手当がもらえたり、
失業保険を長くもらえたり、
といった状況で
再就職活動ができますので、
多少、時間がかかっても
生活が破綻せずに済みます。
不安であれば、
事前に転職サイトなどに登録して、
ご自身の市場価値を把握されてみては
いかがでしょうか。
■ 編集後記
私が以前勤めていた会社にも、
似たような手口を使う偉い人がいました。
「お前は向いてないと思うけどな」
「次を考えたらどうだ」
「俺に最終人事権があるわけじゃないけどな」
こうやって追い詰めて、
気に入らない社員を数十人単位で
会社から追い出していました。
幸い、私はターゲットにならずに済みましたが、
「危ないことやってんなあ・・・」
と思いながら見ていました。
その方が今どうしているか?
会社から去ったようで、
どうしているやら分かりません。