■第48回 年金だけじゃない記録消失問題
最近、年金の記録が消失したとして、
大問題になっています。
主な原因は
・コンピューター化に伴う入力ミス
・転職や結婚・養子縁組による氏名変更
といわれています。
「保険料を払っていたのにそのリターンがない」
ということで関心も高いのでしょう。
さて、同じように
「保険料を払っていたのにそのリターンがない」
という憂き目に遭いかねない分野があります。
雇用保険です。
一般にいう失業保険ですね。
これは、長く勤めているほど
受給期間が長くなるのはご存知だと思います。
ところが、この雇用保険も、
「払った分がもらえない」
可能性があります。
その典型的な例が、
転職した場合です。
例えば、10年勤務→転職後10年勤務
といった場合。
間に失業保険を受給していなければ、
保険の加入者期間は通算できます。
意外なのですが、
雇用保険が通算できることを
知らない人も少なくありません。
雇用保険の加入期間については、
「前職を辞めてから1年以内に
雇用保険にまた加入した場合」
「失業保険を受給しなかった場合」
という条件を『両方とも』満たせば、
転職しても通算できるのです。
逆にいうと、
「転職するまでの間に失業保険をもらった」
「失業保険はもらわなかったが、
再就職まで1年以上ブランクが開いた」
という場合、
雇用保険の加入期間は、
また0ヶ月からのスタートとなります。
この辺りについては、過去の記事
雇用保険の加入期間は通算できるのか? 2
を参照されてください。
しかし、会社を辞めたときにもらう
離職票には、
「この会社に何年勤めたか」
しか記載されていません。
処理をする人が
テキトーに仕事を流している場合・・・
「直前の勤務期間」
だけで失業保険の受給期間を
決められることもあり得ます。
これでは、20年勤務→転職後1年勤務
といった場合、悲惨なことになります。
こういった極端なケースでは気が付くでしょうが、
受給期間が30日程度の差だと
気付かない人も多いかも知れません。
また、年金と同じように
「転職」「氏名変更」
で加入者番号が変わっている可能性もあります。
これは会社のほうが
いい加減な処理をしているのが原因です。
この場合、結びつけをしてもらわないと
加入期間の算定で不利になります。
会社を辞めようと考えておられる方は、
後から
「雇用保険の加入者期間をカットされた」
ということにならないよう、
事前に確認しておくことをお勧めいたします。
ちなみに窓口は年金事務所ではありません。
雇用保険の窓口は、
ハローワークになります。
■ 編集後記
失業保険の受給期間が、
「最後の勤務先の勤務期間」
だけで計算されると思っている人は
多いようです。
私に相談をいただいた方も
それで悩んでおられました。
「前職は5年勤めたが、
今の職場は1年で辞めたくなった」
とのことで、
失業保険をもらえる期間が短いと
気にされていたのです。
繰り返しになりますが、
転職の間に失業保険を受給していなければ、
加入期間の通算は可能です。
(他にカットされる要因もありますが、
あてはまる人が少ないので省きます)
ただ、申請しないと
以前の加入期間をカットされること
はあり得ます。
自己申告しなければならない・・・
というのはおかしな話ですが、
建前はともかく現状そうなっています。
世の中、必ずルールを守って
運営されているかというと、
恐ろしくいい加減なことになっている場合も
少なくありません。
結局は知識武装し、
自分の権利は自衛するしかないのです。