■第59回 同じ日雇い、変わりはない?
2016年11月15日追記:
現在では、法改正により日雇い派遣は原則として禁止されています。
前々回で、
日雇い労働でも
各種保険に加入できることを書きました。
2ヶ月間で26日以上の労働日数があれば、
失業した場合でも1日あたり
4千円から7千円強の失業保険がもらえます。
ところが。
同じように働いていても、
こういった失業時のセーフティネットが
まったくない人たちがいます。
それは、
「日雇い派遣労働者」
に該当する人たちです。
会社が、保険に加入させようとしないのか・・・
というとそんなわけではありません。
日雇い派遣労働者を、
失業保険の対象外と決めているのは
厚生労働省です。
国が決めたことですから、
文句を言ってもまず勝ち目がありません。
私たちにできることは、
こういう「不利な立場」
に立つことを避けることだけです。
次に就職するまでの繋ぎとして、
日雇い労働をする方は結構いらっしゃいます。
ただ、その場合でも「日雇い派遣」
で働くことだけは避けたほうが安全です。
同じ日雇いでも、
派遣がつくかつかないかで、
生活の安定度は段違いです。
働けなくなった時点で
その日から収入が0になる。
その恐怖は並大抵のものではありません。
■ 編集後記
今年に入ってから問題になっている
「ネットカフェ難民」。
報道を見る限り、
「仕事がなくなった=即収入が0になった」
ため、家賃を払えなくなって
住居を失ったというケースが多いようです。
こうした人たちが
きちんと雇用保険に加入できていたら、
住居まで失っていたでしょうか?
少なくとも、ネットカフェ難民になる人の数は
大きく減っていたはずです。
このように非正規雇用に従事すると、
仕事を失うまで気づかないリスクもあります。
しかも、気づいたときには
手遅れになっていることがほとんどです。
関連記事:
日雇い派遣原則禁止、10月から改正法スタート 労働者保護目的だが、実際には改悪の懸念あり
Q&A
Q.現在、失業中です。
失業保険を受給していますが、
生活費が足りないのが正直なところです。
このため、アルバイトを考えています。
アルバイトをした場合は、
ハローワークに申請をしないと、
失業保険の不正受給になると
説明会で聞きました。
自分なりにいろいろ調べたところ、
失業保険の不正受給がバレるのは、
密告が一番多い。
その次が
雇用保険への再加入であることまでは
理解することができました。
密告は誰にも黙っていることで
解決します。
しかし、
雇用保険への再加入が
ネックになっています。
ここで、日雇い派遣だと
雇用保険に加入する義務がない
ことを知りました。
それなら、
日雇い派遣という形態で
仕事をすれば
雇用保険へ加入せずに済みます。
失業保険の不正受給がバレないで済む
よい方法だと思うのですが、
この計画には何か穴はありますか?
失業保険の不正受給がばれない方法など
書けない、と言いたいところでしょうが、
逃げずに答えて下さい。
こちらは真剣に生活に困っているので、
手段を選んでいられないのです。
お願いします。
A.失業保険の不正受給、
あなたが考えた方法では、確実にバレます。
と、ここで終わらせてもいいのですが、
多分ご納得いただけないと思いますので、
もう少し詳しく説明していきましょう。
まず、日雇い派遣が雇用保険に
加入しないからといって、
ハローワークが
「あなたが働いている事実」
を把握する手段がない・・・
と考えるのがまず間違いです。
雇用形態に関係なく、
給与を支払った雇い主は、
「●●という人に、●●円の報酬を支払った」
という賃金台帳を提出します。
提出先は、ハローワークです。
つまり、ハローワークに提出された
賃金台帳には、
あなたが「働いている事実」
が記載されています。
もちろん、多くの労働者に紛れている状態ですから、
絶対にバレる、とは言い切れません。
しかし、「日雇い派遣で働く」ことで
「失業保険の不正受給の証拠隠滅ができる」
などと考えるのは、あまりに短絡的です。