■第61回 とある運輸会社
大手運輸会社が、
労働局から是正勧告を受けていた
と報道されました。
ドライバーの労働時間記録を
改ざんしていたというのが理由です。
ドライバーは、
勤務開始時に
携帯端末の電源を入れることに
なっていました。
電源を入れている時間=労働時間
として記録されるようになっていたようです。
実際のドライバーは
記録よりも長い時間働いており、
勤務時間の記録が改ざんされた疑いが
強いとのことです。
似たような事例は
タイムカードを使って
労働時間管理をしている会社でも
起きています。
典型的なのが、
「定時になったら、タイムカードを押す」
です。
もちろん、
タイムカードを押したからと言って、
家に帰っていいわけではありません。
(本当は帰るべきですが)
そこから、
「労働時間が記録されない」
残業時間が始まるのです。
このように、
一見、労働時間をしっかり管理している・・・
ように見えて、実は改ざんしている、
という企業は世の中にあふれています。
残業時間にうるさい世の中になってきた、
しかし、残業時間を減らしたら仕事が回らない
人を補充するほど余裕もない・・・
という会社は、
【労働時間の改ざん】
という、ことごとく同じ行動をとります。
運輸会社自身が
詳しいコメントを避けているので
詳細は不明です。
が、是正勧告を受けた以上、
サービス残業の事実はあったと思われます。
こういう報道を受けて、
恐ろしいことを考える
企業経営者の方がおられます。
「勤務記録の改ざんがマズイのなら、
勤務記録をつけなければいいじゃないか」
大企業に勤務されているような方だと
信じられないかもしれませんが、
ワンマン社長の中には
本当にタイムカードを廃止したりする人が
いるのです。
こういった社長は、
「企業には、従業員の
労働時間を正確に管理する義務がある」
という最低限の知識が欠落しています。
労働時間の記録を怠っていれば、
サービス残業の強要と同じく
労働基準法違反です。
私に相談いただく方も、
「サービス残業代を請求したいんですが、
タイムカードがないから無理ですか」
という方がいらっしゃいますが、
見事に社長の思惑にはまっています。
記録しないのは
会社の怠慢・法令違反でしかありません。
そのツケを
なんで従業員が払わなければならないのか、
という話です。
ちょっと面倒ですが
残業代を取り戻すこともできますし、
こんな会社嫌だ!と思えば
会社都合退職することもできます。
(それなりに戦略を立てる必要があります。
特攻したら自己都合退職がオチです)
今回の運輸会社の報道を見て、
ワケのわからない方向に走る社長が
また増えるのでは・・・と少し心配です。
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■ 編集後記
一応、緊急情報を。
このメルマガで何回か告知していますが、
10月1日に雇用保険法が改正されます。
その中で、「教育訓練給付」制度も内容が変わります。
教育訓練給付については、メルマガの33号で解説しています。
今までは最大20万円の
給付金がもらえたのですが、
これが最大10円になります。
うれしくないほうの半額です。
実際は雇用保険の加入期間によって
細かく変わってきて、
勤務期間の短い人には
有利になる部分もあります。
しかし、勤務5年以上の方にとっては
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最大20万円の給付を受けることができます。
取りたい資格が明確な方は、
今月中にすべりこんでおいたほうがお得になります。
ただ、「何の資格を取ろうか迷っている」
場合は止めておいたほうがいいでしょう。
大して興味もない資格の講座に
慌てて申し込んでも、
挫折する可能性が高いです。
そして、途中で受講を止めてしまうと
1円ももらえません。